香るイメージ

 日曜日、午後のカードキャピタル。
 アイチとなまえはファイトの真っ最中だった。
 なまえにターンが回ってきたので、一枚ドローする。
 そのタイミングでアイチが、すん、と鼻を鳴らした。
「なまえさん、もしかして今日、香水つけてますか?」
「え? あ、うん。ごめんね、気になった?」
 なまえは昨日、勇気を出して、生まれて初めての香水を買ったばかりだった。
 そして今日、その香水をつけてきていた。日曜日なので、実際につけてみるチャンスだと思ったのだ。
 香水を吹いた場所が手首だったから、カードを引いて手を動かした拍子に香りが漂ったのだろう。元より香水とはそういうものだ。
「いえ、そういうわけじゃなくて……むしろいい香りだなって。甘いけどしつこい感じじゃないし……僕この香り、結構好きです」
「そ、そそそそっか!」
 焦ったあまり、とても不審な返事をしてしまった。
「なまえさん? 大丈夫ですか?」
 突然挙動不審になったなまえにアイチが首を傾げているけれど――
「う、うん! 大丈夫っ!」
 だって、言えるはずがない。
(これ、アイチくんのイメージを伝えて選んでもらった香水なんだ、なんて……)