欲しいと思ったから、くれと言った。くれてやると言われたから、俺が貰った。それから、その男の目が青いのを知って、俺は大層ついていると思った。ただそれだけの話だ。青は好きだ。海の色だ。記憶に無いくらい小さな頃、俺たちは波の音がざあざあと聞こえるほど、海の近くに住んでいたらしい。だからかな、青はこの身によく馴染む。
故に、ぴったりだと思ったのだ。親父や祖父ちゃんにはいるのに、俺にはいない、俺を絶対に裏切らないひと。身体の真ん中、深く内側にその魂を居座らせる。文字通り、腹心というやつだ。あいつはどう思ってるのか何ぞ知る由もないし興味もないけど、俺はもうとっくにそう決めてしまった。その馴染ませた青を失くすことは腹を抉られることに等しい。だから、この前のあいつの行動に、俺は非常に腹を立てている。

「逆らうな。俺のために生きろ」

 憮然とした男を視線の先に、一息で吐き出す。言葉に出してみると、随分と子供っぽい欲だ。我ながら呆れてしまう。返事は無かったけど、素直に頷くとも思っていなかった。
 俺から何かを隠すのは別にいいけど、勝手に死なれるのは心底気に食わない。場所なら俺の隣があるのに、ちゃんと大事にしているのに、何が不満なのか万分の一も理解できない。理解に努める気も起きなかった。最初から思考回路が違うのは分かりきっている。理解してやれたところで、受け入れることはできないから、逃さないように搦め捕るしかないのだ。沈める先の腹の内が、渦巻いて暗いのはもうどうしようもない。

「蒼也、できるよな?」

 釘をさすために距離を詰める。近づいた分長身を見上げる形になったのも、己がまだ子供であることを曝け出されているようでちょっと気に入らない。でも、目の青が揺れたのが見えたから、ほんの少しだけ溜飲を下げた。