宣戦布告


※短編「あの子が欲しい」「Trick and Treat」「まいごのおうじさま」の続編です。
(未読でも特に問題はありません)


お正月ムードもそろそろ薄れ、本格的な冬がやって来た。近頃では、日が落ちるのも随分早く、夕方にはもう外が真っ暗になってしまう。
そんな中、今日はとある用事でショッピングモールに買い物にやってきたのだが、しっくりくるものがなかなか見つからず、状況はやや芳しくなかった。

困ったなぁ。
今日中に買っちゃいたいんだけど…。

そんなことを考えながら、うろうろとモール内を徘徊していると、突如後ろの方で、複数人のざわつく声が聞こえてきた。咄嗟に後ろを振り向くと、私のすぐ横を一人の男が走り抜け、それを追いかけていたらしい男の人が、「引ったくりだ」と叫んでいる。反射的に逃げた男を追いかけようとした瞬間、男が先ほど走り抜けた私の側を、線を描くような氷塊と共に、見慣れた人物が通り過ぎるのを、視界の端で僅かに捉えた。

今の、って ───

かすかに見えたその人物が向かう先へ、自然と顔を向けようとすると、まるでそれを引き止めるかのように、おい、と低く気怠げな声が、私の耳を掠めていく。

「何しとんだ。こんなとこで」

先ほど見た人物とは異なるが、同じくよく知るその人物は、相変わらずの仏頂面で、私のことを見下ろしていた。

「爆豪くんこそ、なんでこんなとこにいるの?」
「あ?見て分かんだろ。パトロール中だ」
「あ、そっか。二人とも公欠だったもんね」

おかけで今日は、随分平和な1日だったよ、なんて言ったら、絶対キレられるので、それは心に留めておこう。

「お。やっぱみょうじだった」

背後から聞こえたその声に、今度こそ彼の方へと顔を向けると、相変わらずの淡々とした表情のその人物は、少しだけ眉を下げて見せた。

「お疲れ様、轟くん。奇遇だね。」
「あぁ。たまたまパトロールでこのショッピングモールに来ててな。みょうじは何やってんだ?こんなところで」
「え。あ、えーっと…その、か、買い物に…」
「はっ、買い物以外の理由で、ここに来る奴がいるかよ。馬鹿か」
「なんでお前は、そういう言い方しか出来ねぇんだ」
「あ!?てめぇにんなこと言われたかねぇわ!!」
「悪ぃ、みょうじ。言いたくなかったら、言わなくてもいいぞ。それより、さっき怪我とかなかったか?」
「あ、うん。全然大丈夫だけど…」
「おいコラ舐めプ!!無視すんなや!!」
「俺は今、みょうじと話してんだ。邪魔するな爆豪」
「どの口がほざいてんだこの半分野郎が!!」

もはやお決まりとなりつつあるこのパターンに、動揺しなくなってきた自分がいる。しかしそうは言っても、ここには私と同じように買い物を目的にやって来た、他のお客さんもいるわけで。

「ちょっと二人とも、お店の中だから…」

まぁ、聞く耳を持ってくれるとは、正直期待はしてないけど。

「毎回毎回、邪魔してくんのはてめぇだろうがよ」
「お前こそ、俺がこいつと話す度に割って入ってくるだろ」
「ほっとくとてめぇが調子に乗るからだろが!!昨日もクラス連中のいる前で、どさくさに紛れてベタベタしやがって!!」
「お前だってこの間、俺に隠れてみょうじのこと連れ出しただろ。似たようなもんじゃねぇか」
「俺はてめぇみたいにベタベタ触ったりしてねぇわ!」
「こそこそ二人っきりになるのはいいのかよ」
「あれはこいつが、夜一人で急に買い出しに行くとか言い出すから、ついて行ってやっただけだわ!」
「それを言うなら俺だって、みょうじが訓練中に足捻ったから、冷やしてただけだろ」
「触り方がやらしいんだよてめぇは」
「普段下心があることは認めるが、そん時はただ手当してただけだ。言いがかりつけんなよ。お前の方こそ、こいつに変なことしてねぇだろうな」
「てめぇと一緒にすんな!!」

途中でさらりと変態じみた発言が聞こえたような気がしたが、ひとまずそれは置いておこう。お馴染みのイベントとなりつつも、やはり周囲にギャラリーが出来始めると、さすがに気持ちが居た堪れないし、仮免許とはいえヒーロー活動をしている人間が、こんなところで騒ぎを起こせば、やはり印象は良くないだろう。

それに ───

「ね、ねぇ轟くん、さっきのひったくりの件、行かなくて大丈夫なの?」
「あぁ、それならさっき、ここの警備の人に頼んだから、大丈夫だ」
「そ、そう…。じゃあ…け、怪我とかは…大丈夫…?」
「あぁ。見ての通りだが、なんともないぞ」

そんなつもりはなかったのだが、轟くんは顔を綻ばせると、私の頭に優しく手を置いた。

「みょうじは優しいな」
「あ、いや…えっと…」

嬉しそうな顔を浮かべ、私の頭を撫でる轟くんに、なんだか少し照れてしまう。するとそれを見ていた爆豪くんが、彼が私に触れるその手を、パン、と勢いよく叩き落とした。

「何すんだ爆豪」
「何じゃねぇわ。てめぇマジでナメとんのか」
「……お前もやってほしいのか?」
「気色悪ぃこと言ってんじゃねぇよ!!」
「なんだ。違うのか?」
「どうやったらその発想になんだよ!!頭沸いてんのかてめぇは!!」
「じゃあなんの用だ」
「てめぇに用はねぇわ!!」

おそらく片方にそのつもりはないだろうが、再び言い争いを始めた二人に、そろそろ本気で止めなければと、口を開いたその瞬間、何かが肩にぽん、と置かれた。そっと肩に視線を落とすと、そこには轟くんでも爆豪くんのものでもない手があって、咄嗟に小さく声を上げると、その手は掴んだ私の肩を、そのままゆっくり引いてみせた。

「先輩たち、今は仕事中ですよ。色恋沙汰は帰ってからにしてくださいね」

穏やかな声が耳を掠め、自然とそちらに視線を向けると、声と同じくとても穏やかそうな少年が、私の肩を抱いていた。

「ダメじゃないですか。女性の目の前で喧嘩なんて、大人気ないですよ。彼女困ってるじゃないですか」

まるで同意を求めるように、私の方をちらりと見た彼は、綺麗な金色の髪に、碧眼の瞳の持っていた。すらっと背が高く、姿勢も綺麗なその人物は、まるで絵本の中に登場する王子様のような出で立ちをしていた。

なんか、轟くんをさらに王子様っぽくした感じだな…。

「あ、あの…えっと…」
「ヒーロー科1年の、本条といいます。今日お二人とパトロールをご一緒させていただいてまして」
「そ、そうなんだ…2年のみょうじです…」
「知ってます。お噂は伺ってますよ」
「噂…?」
「ヒーロー科屈指の実力者二人の心を射止めた女性だそうで。確かにとても可愛らしい方ですね」
「は、はぁ…」

にっこり笑いながら、そんなセリフを堂々と呟くその人物に、思わず顔が引きつった。一体どんな人生を歩んできたら、高1でこんな話し方になるのだろうか。

「良ければ今度、こっそり二人でお茶でもしましょうよ」
「は?」

間の抜けた声が咄嗟に漏れる。それとほぼ同時くらいに、私の左隣をめがけて、爆豪くんの拳が勢いよく飛んできた。少し驚いて肩を震わせると、ぐいっと腕を引っ張られて、そのまま流れに身を任せれば、今度は別の人物の手が私の肩を抱いていた。

「危ねぇだろ爆豪。みょうじに当たったらどうすんだ。…大丈夫か?みょうじ」
「う、うん」

いつもならここで、俺がそんなヘマなどするわけがないと、轟くんに怒鳴り散らしているであろう爆豪くんだが、一体どうしたことか、彼は轟くんに一切反論することなく、自身の拳をさらりと躱してみせた本条くんを、心底イライラした様子で睨みつけていた。

「全く…冗談じゃないですか。ほんと怒りっぽいんだから…」
「うるせぇわ。このスケコマシが。相変わらず舐めプ以上に鼻につくなてめぇはよ」

困ったように眉を下げ、やれやれといった様子でそう口にした本条くんに対し、爆豪くんは眉間のシワを深く刻みながら、彼に冷たく反撃した。

眉間のシワが、いつもの倍ぐらい深くなってる気がするんだけど…。

「ねぇ、轟くん」
「ん」
「あの二人って、何かあるの?」
「俺も詳しくは知らねぇが、まぁ簡単に言うと、兄弟弟子ってやつだな」
「あぁ、ジーニストの…」

ベストジーニストがヒーロー活動を再開したあと、エンデヴァーの事務所でインターン中だった爆豪くんは、そこでの実務もこなしながら、時折ジーニストの元へも足を運んでいるので、おそらくその際に、本条くんと顔を合わせる機会があるのだろう。

「人聞きの悪いこと言わないでくださいよ。僕は老若男女、平等に親切な男ですよ」
「胡散くせぇんだよ。ヘラヘラしやがって」
「爆豪先輩こそ、そんなにいつも怒ってばかりだから、みょうじ先輩に振り向いて貰えないんじゃないですか?」
「てめぇもっぺん言ってみろや!!」
「いつも怒ってばかりだから、好きな女性に振り向いて貰えないんじゃないですか?」
「うるせぇわ!!黙れカス!!」
「先輩が言えって言ったんでしょ」

口調は穏やかであるものの、内容的にはだいぶ刺のある言葉を発する本条くんに、爆豪くんはまるで般若のような顔を浮かべ、わなわなと両手を震わせていた。

「なんか、だいぶ仲悪いね…」
「そうだな」
「止めなくていいの?」
「言って聞くと思うか。あいつらが」
「……少なくとも、爆豪くんは無理そうだね」

轟くんとそんなやり取りをしている最中でも、依然として二人の攻防は繰り広げられており、いつもは攻防戦の最前線にいるはずの轟くんが傍観者に回っていることが、なんだかとても新鮮だった。

「てめぇ後輩なら後輩らしく、もっと下手に出ろや」
「そうすべき相手にはそうしてますよ?」
「俺に対してもそうしろや!!先輩だぞ!!」
「生憎ですが、僕は野蛮な人間は生理的に受け付けないもので」
「てめっ」
「ジーニストさんが仲良くしろと言うから、仕方なくこうして話をしているだけで、僕だって出来ることなら関わりたくありませんよ。あなたとなんか」
「それはこっちのセリフだわ!!」

立ち居振る舞いから察するに、正反対のタイプそうだし、日々の積み重ねもあるだろうが、そもそも相性が悪いのだろう。基本的に相性の良い人がかなり限られる爆豪くんだが、どうやら目の前にいるその人物は、中でも最たる相性の悪さを誇るらしい。

「いつまで続くのかな。あれ」
「まぁ、いつかは終わんだろ。たぶん」

呑気にそんなことを口にした轟くんの言葉を信じ、しばらくそのまま見守っていたが、一向に事態が改善されることはなかった。痺れを切らし声をかけようと、一歩足を踏み出した瞬間、彼ら三人が所持していた無線機のアラート音が鳴り響いたことで、終わりの見えないその戦いは、なんとか一時休戦となった。







「じゃあ、みんなパトロール頑張ってね」

私がそう口にすると、轟くんは小さく頷き、爆豪くんは仏頂面で顔を背けた。

「おう」
「楽勝だわ。こんなもん」

そんな彼らの一歩後ろに立つ後輩に、ちらりと視線をくばせると、本条くんは穏やかに笑って、軽く私に会釈した。

「本条くんも頑張ってね」
「はい。今日はお会いできて光栄でした。また是非機会があれば」
「はっ、ねぇよ。そんなもんは」
「僕は今みょうじ先輩と話してるんです。邪魔しないで下さい」

馬鹿にしたように笑う爆豪くんに対し、穏やかな笑みを崩すことなく、本条くんはさらりとそう言い放つ。

「てめぇホントにむかつく後輩だな」
「褒め言葉として受け取っておきますよ」

それにしても、この子ほんとに、怖いもの知らずだなぁ…。

「みょうじは、これからどうすんだ?」

ふとそんなことを考えていた私に視線を落とし、轟くんはそう尋ねた。

「私は…えっと、買い物の続きを…」
「そうか。あんま遅くならねぇようにしろよ。最近暗くなるの早ぇからな」
「うん。轟くんも気をつけてね」
「ん。じゃあ、俺ら行くから。行くぞ爆豪。本条も」
「命令すんなや!!」

今度はしっかり反論した爆豪くんに、なぜか少しだけ安心した。命令口調に対する拒絶は、最早反射に近しいものを感じる。

「自分だって、いつも命令口調なくせに」
「なんか言ったかこのガキ」
「空耳じゃないんですか?ほら、普段から怒鳴ってばっかだから、それで耳がおかしくなってるんですよ」
「てめぇマジいっぺん本気で泣かしてやるからな」
「後輩を泣かすのはダメだろ」
「黙ってろこの舐めプが!!」
「轟先輩、もっと言ってやってください」

轟くんが会話に加わったことで、爆豪くんへのストレスがだいぶ心配にはなったものの、このままここに居続けると、たぶん、いや絶対に、ロクなことにならない。さらに面倒臭くなる前に、私はそろそろお暇しよう。

「じゃ、じゃあ私はそろそろ行くから…三人とも仲良くね…」

申し訳程度の声量でそう声をかけ、そっとその場を離れる頃には、オレンジ色の太陽が、まもなく姿を消そうというところだった。







「どうしようかなぁ…」

さっきのショッピングモールでは、これといってピンとくるものがなかったため、場所を変えて買い物の続きをすることにしたのだが、なかなか期待通りにいかない現状に、その場で小さくため息をついた。
ここに入ってもう2時間。さすがにそろそろ決めないと、晩御飯を食べ損ねてしまう。

「随分熱心に見られてるんですね」

聞き覚えのある穏やかな声に、ふっと軽く振り返ると、つい先ほど別れたはずの、本条くんがそこにいた。

「思ったよりも、早い再会でしたね。みょうじ先輩」
「ふふ、そうだね。あの二人は一緒じゃないの?」
「一旦別行動になりまして。今は休憩中なんですが、あまりにすることがないもので、なんとなくぶらぶらしていたところです」
「そうだったんだ。休まなくていの?」
「はい。鍛えてますから」
「頼もしいね」
「恐縮です」

物腰の柔らかいその喋り方からは、育ちの良さをとても感じる。爆豪くんが関わらなければ、本来の人柄はこっちなのだろう。

「プレゼントですか?」
「え…」

微笑みながらそう尋ねる彼に、咄嗟に小さな声が漏れた。

「あ、すみません。聞かない方が良かったですか?」
「ううん。違うの。なんで分かったのかなって思って、ちょっとびっくりしただけ」
「何やら一生懸命悩まれているみたいだったので、そうなのかと思いました」
「友達にあげるプレゼントを選んでたんだ」
「彼氏じゃなくてですか?」

今度は少し意地悪な笑みを浮かべながら、本条くんはそう尋ねた。

「そ、そんなのいないわよ!」
「はは、冗談ですよ。みょうじ先輩にちょっかいかける人がいたら、あの二人が生かしておかないですもんね」
「さ、さすがにそこまではしないんじゃないかな…」
「そこまでいかずとも、半殺しくらいにはしそうでけどね。特にあの野蛮な人が」

心底嫌そうな顔をしながら、彼はちくりとそう口にした。

「爆豪くんのこと、嫌い?」
「嫌いではないです。ただ受け付けないというだけで」

それはもはや、嫌いと言ってもなんら遜色ないのではと、そんなことを思ったが、あえてそこには触れなかった。

「まぁ、確かに言葉とかはきついけど、あれで結局優しいところもあったりもするよ?」
「それは先輩が相手だからですよ」
「そんなことないよ」
「どうせ僕のことなんか、その辺にいるモブAくらいにしか思ってないです。あの人は」
「ごめん。それについては、正直否定できない」
「口を開けばダメ出しばかりで、言うだけ言ったらさっさといなくなりますし」
「ダメ出し?爆豪くんが?」
「はい。ほぼ毎回、会う度に言われます」
「へぇ…」

正直なところ、それはかなり意外だった。ダメ出しをするということは、それは即ち、彼に対して改善の余地があることを、爆豪くんが自分の口で伝えているということになる。見た目に反して細やかで、人の癖や特徴をよく捉えている彼ではあるが、それをわざわざ本人に伝えるようなことは、私の知る限りほとんどしない。

「僕だって、それなりに頑張ってるつもりなのに」

拗ねるように口を尖らせ、少し俯く本条くんに、とある考えがふと浮かぶ。

ひょっとして、この子は ───

「爆豪くんのこと、好きなんだね。本当は」
「は!?」

今までの落ち着いた態度はどこへやら、彼は顔を真っ赤にさせて、勢いよく私の方を見た。

「な、何言ってるんですか!!変なこと言わないで下さい!!」
「あ、ごめん。確かに言い方が悪かったかも。好きっていうか、憧れ…かな?」

追いつきたくて、認めて欲しくて、でも素直にはなれなくて。もしかしたらそんな気持ちが、彼にはあるんじゃないだろうかと、そんなことを思ったのだ。

「別に僕は、そんなんじゃ」
「そうなの?じゃあ私の勘違いか…。でもたぶん爆豪くんは、本条くんのこと気にかけてると思うよ。ものすごく分かりづらいけど」

あくまで予想の域を出ないが、率直な意見を伝えてみると、本条くんはパッと顔を明るくさせて、きらきらと目を輝かせた。落ち着いた雰囲気の第一印象とは異なり、まさに年相応の、夢を追う少年の目の色だ。

「ほ、ほんとですか…?」
「じゃなきゃダメ出しなんか、絶対しないもん」
「そう、ですかね…」

口では少し疑いながらも、顔はしっかり綻んでいて、すごく嬉しそうに見える。どうやら勘違いなどではなく、私の考えは的を得ていたらしい。

「やっぱり好きなんだね」
「だから…っ、そういう言い方やめてくださいよ…!」
「ふふ、可愛いなぁ」

思わずくすりと笑みを溢すと、本条くんは少しむっとした顔をしてから、何かを思いついたように声をあげて、にやりと口角を上げてみせた。

「そういう先輩こそ、どうなんですか?実際のところ」
「え?」
「みょうじ先輩が、あの二人のどちらを選ぶのか、かなり興味があります」

まるで仕返しとでも言うように、そんな反撃を繰り出す彼に、心臓がどくんと大きく跳ねた。

「わ、私は…別に…」
「僕の勝手な予想では、やはりあのルックスですし、轟先輩の方が優勢なのかと思っていましたが、今のお話を聞く限り、爆豪先輩も思ったより悪い印象ではないようですし」
「だから別に、そんなんじゃ」
「じゃあ、あのお二人のことは、なんとも思っていないんですか?」

なんとも思っていないと言えば、それはたぶん嘘になる。最初は少し面倒に思っていた二人との関係も、今ではすっかり日常になり、三人で過ごすことにも慣れた。二人はたぶん違うだろうが、少なくとも私自身は、この奇妙な関係性を、少し心地良く感じつつある。それが彼らの望む形でないことを、頭で分かっていながらも。

「それ、は ───」


私は、どうなりたいんだろう。


「きゃあああ…っ!!」

答えに詰まり、ようやくそこまで口にしたその時、突如別の店の方から、女性の悲鳴が聞こえてきた。私たちの横を、次々と人が走り去って行き、その人たちの表情は、ほぼ一貫して恐怖を浮かべている。すると少し離れたジュエリーショップから、片手にナイフを持ち、もう片方の手でそのショップの店員と思われる女性の腕を掴み上げる、若い男が現れた。顔は青白く、まるで泥酔しているかのような覚束ない足取りは、既にその人物が普通の状態でないことを表していた。

「今日はろくでなしのバーゲンセールか何かですかね」

その光景を目にした本条くんは、そんなことを口にする。爆豪くんの兄弟弟子なら、きっと優秀なのだろうが、まるで小説家のようなその言い回しに、彼の天職は果たしてヒーローなのか否か、ほんの少しだけ疑問が湧いた。
ナイフを持ったその男は、少しずつこちらに近づくと、微動だにしない私と彼を交互に見てから、じっと私の方を見て、にやりと口元を歪ませた。さっきの本条くんとは違い、明らかに悪意に満ちているその表情に、男が何を考えているのか、容易に想像することが出来た。

「そこの女」

ナイフを持つ手をこちらに向けながら、気怠そうに男は言った。

「私ですか?」
「他にいねぇだろ。ちょっとこっち来い」
「じゃあその人を離して下さい。そうしてくれれば、そっちに行きます」

間髪入れずにそう返すと、男は少しだけ意外そうな顔をしてから、掴んでいた女性の腕を、なんともあっさり手離した。

「これでいいだろ?」

再びこちらを見た男の方へ、一歩足を踏み出すと、少し不安げで穏やかな声が、静かに私の名前を呼んだ。

「大丈夫ですか」
「大丈夫。さすがにあの二人ほど強くないけど、私も一応ヒーロー科だから。それに、頼もしい後輩もここにいるし」

私がひっそりそう呟くと、男は痺れを切らしたように、チッと大きく舌打ちをした。

「何ゴチャゴチャ言ってんだ!!さっさとしろ!!」

静まりかえったその場所に、男の怒号が不快に響く。それを見ている周囲の人は、みんなとても不安げだ。

「必ず、助けますから」

頼もしいその一言に、こくりとひとつ頷いて、一歩また一歩と男に近づく。青白いその手がぬっと伸びて来て、私の手首に触れそうになったその瞬間、先ほどは不安げだったその声が、今度はとても力強く、私の名前を再び呼んだ。

「伏せてください!!」

言われた通りにその場に伏せると、シュッと空気を裂くような音が、静かにひとつ鳴り響く。私の腕を掴もうとしていたその男の手からは、ドクドクと血が溢れて出ており、持っていたはずの鋭利な刃物は、はるか向こうへと飛ばされていた。

「大丈夫でしたか?」

心配そうにこちらに駆け寄る本条くんの左手には、アーチェリーで使うような、金属で出来た弓のようなものが握られていた。

「うん。大丈夫だよ。……すごいね。ピンポイントでナイフを持つ手に当てるなんて」
「いえ、そんなことはな」
「気ぃ抜いてんじゃねぇぞ!!」

彼が全てを言い終えるその前に、よく聞き慣れた掠れた怒声が、私と彼の耳に届く。思わずパッと男を見ると、出血している方とは逆の手に、黒く不気味な輝きを放つ、小ぶりな銃が握られていた。手元は少し震えていたが、その銃口は確実に私の姿を捉えている。

やばい。撃たれる ───

ぎゅっと咄嗟に目を瞑る。すると一体どうしたことか、身体がふわりと浮き上がり、それほど時間が経たない内に、再び足が地についた。恐る恐る目を開けて、最初に視界に飛び込んだのは、さらりと揺れる紅白色の髪だった。その直後、これまた聞き慣れた爆音が鳴り響き、私を撃とうとしたその男は、パタリと床に倒れ込んだ。

「大丈夫か?」

淡々と尋ねるその声に、首を縦に降ろうとした時、すらっとした彼の長い足に、とある違和感を見つけてしまった。

「轟くん…足が…っ」

右の太腿辺りから、じわりと血液が広がっていく。おそらく先ほど私を助けた時に、避け切ることが出来なかったのだろう。その時に裂けたと思われる衣服の隙間から、痛々しい傷が覗いている。

「掠っただけだから大丈夫だ」
「ごめんね…私のせいで…」
「それより、お前は」
「え…?」
「みょうじは、怪我してねぇか?」
「う、うん。大丈夫だけど…」
「そうか。ならいい」

そう言って、優しく私の頭を叩く轟くんに、少し泣きそうになってしまう。痛いのは彼の方なのに、鼻の奥がツンとして、罪悪感で胸が痛い。

「先輩方…!大丈夫ですか!?」
「私はなんとも…でも轟くんが…」

私のその言葉に、本条くんは視線を移すと、轟くんの足を見てから、申し訳なさそうに俯いた。

「すみません。僕のミスです」
「見た目ほど大したことねぇから、気にすんな」
「それに、本条くんだけのミスじゃないよ。私も気づかなくてごめんね」
「いえ、相手を無力化してすらいないのに、気を抜いたのは僕ですから」
「分かってんじゃねぇかよ」

カツカツと床を鳴らしながら、爆豪くんが近づいて来た。私と轟くんの横を通り過ぎ、本条くんの目の前までやって来た彼は、気まずそうに俯く後輩を、馬鹿にしたように鼻で笑った。

「大口叩くのは、マトモに仕事こなしてからにしろや。この雑魚が」

ぴしゃりとそう言う爆豪くんに、本条くんは何も反論することなく、ただただ眉間のしわを深めた。

「ちょっと爆豪くん、そんな言い方しなくても」
「はっ、雑魚は雑魚だろ」

再び鼻で笑いながら、彼は俯くその頭を、少し強めに拳で突いた。

「だから言っただろ。てめぇは毎回ツメが甘いんだよ」
「すみませんでした」
「俺に謝ってたところで、なんも変わんねぇだろ。仕事のミスは仕事で取り返すしかねぇんだよ」
「……はい」

そう返事をした本条くんは、下唇を噛み締めた。悔しさが滲むその顔を見て、咄嗟に開きかけた自分の口を、慌ててきゅっと結びつけた。

私が何かを言うところじゃないな。これは。

今までの様子とは打って代わり、ひどく落ち込む本条くんに、爆豪くんは少しの間を置いてから、盛大な舌打ちをしてみせた。




「…………まぁ、命中率は少しはマシになったんじゃねぇか。少しだけどな」

ぽつりと呟くその言葉に、本条くんは小さく声を上げ、それを見ていた私と轟くんは、自然と顔を見合わせた。

なんだ。ちゃんと先輩してるじゃない。

言葉だけを切り取れば、けして甘くはないけれど、しかしとても彼らしい、不器用な優しさが込められているような、そんな気がした。

「先輩」
「ンだよ」
「ひょっとして、熱でもあるんじゃないですか?」
「あ!?」
「だって先輩が、僕のことを褒めるなんて有り得ません…!」

信じられないとでも言いたげな顔で、そう口にした本条くんに、ぶちっと何かが切れたような、そんな音が聞こえた気がした。

「褒めてねーわ!!てめぇ何勘違いしてんだ殺すぞ!!」
「いや、褒めてましたよね」
「耳鼻科行けや!!」
「いや、褒めてたよ。ばっちりと」
「俺にもそう聞こえたぞ」
「うっせぇぞてめぇら!!つーかさっさと病院行ってこいや!!」
「録音しておけば良かったです。惜しいことをしました」
「てめぇマジでいい加減にしろや!!」

感動的なラストかと思いきや、再び幕を開けた不毛な争いに、思わずひとつため息をついた。

「なんか…また当分終わらなそうだね」
「そうだな」
「爆豪くんもあぁ言ってたし、ひとまず病院行こうか。大丈夫だと思うけど、一応私付き添うよ」

そんな提案を私がすると、どういうわけか轟くんは、少し驚いた顔をした。

「いいのか?」
「うん。私のせいで怪我させちゃったし…」
「じゃあ、頼む」

口論を続ける二人に踵を返し、歩き出そうとしたその時、やはり傷が痛むのか、一歩踏み込んだ轟くんが、ほんの少しだけ眉を顰めた。

「良ければ肩貸そうか?」
「え」
「あ、でも轟くん背が高いから、逆に歩きづら」
「借りる」

彼は食い気味にそう言うと、私の肩に腕を回して、じっと私を見下ろした。そして何を思ったのか、そのまま私の顔を見ながら、ふっと軽く笑ってみせた。

「な、なんで笑うの…」
「いや、やっぱ小せぇなと思って」
「だからそう言ったじゃん!」
「怒るなよ。別に悪い意味じゃないから」
「じゃあどんな意味なの」
「可愛いなって思っただけだ」

さらりとそんなことを口にした轟くん、顔に一気に熱が溜まる。こういうところがほんとにずるい。しかもそれが無自覚なのが、さらにずるい。

「っとに可愛くねぇ後輩だなてめぇは!!」
「先輩だけには言われたくないですよ。というか、そんなに大声出さないでください。僕まで耳が悪くなるじゃないですか」
「俺の聴覚は正常だわクソが!!」

よく聞き慣れた怒声を背にして、ようやく二人で歩き出す。ちらりと彼を盗み見ると、再び互いの視線がぶつかり、咄嗟に顔を背けてしまう。そんな私を咎めることなく、轟くんは私の肩に置いた手に、ほんの少しだけ力を込めた。







病院を後にする頃には、すっかり夜も更けていて、昼間よりもさらに冷たい風が、突き刺すように頬へ触れた。

「わざわざ悪かったな。付き添わせて」
「ううん。全然」

本人もそう言ってはいたが、見た目よりも深いものではなかったようで、治療もそれほど時間はかからず、10分足らずで傷は治った。

「良かったね。直ぐに治してもらえて」

しかしそんな安堵感は、ほんの少ししか続かなかった。ひとまず安心したからだろうか。今まですっかり忘れていた"それ"が、急に頭に浮かんできたのだ。

「あ!!」

咄嗟に大きく声を上げると、珍しく目を見開きながら、轟くんがこちらを見た。

「どうした?」
「プレゼント買うの忘れた!!」
「プレゼント?」

彼に聞き返されたところで、ようやく自分がとんでもない実現をしていたことに気づいた。

内緒で用意するつもりだったのに…私のアホ。

「……ごめん。今の忘れて」
「いや、だいぶ無理ねぇか。それ」
「ですよね…」
「誰のプレゼントだったんだ?」
「へ?」
「誰にやるんだ。それ」

予想を裏切るその問いかけに、思わずぽかんと口を開けた。

え、待って。
もしかして、この人 ───

「轟くんもしかして、自分のお誕生日忘れてる…?」
「………あ」

かなり長めの間を空けて、彼は小さく声を出した。自分の誕生日を忘れるなんて、なかなか珍しいケースだと思うが、何故か轟くんの場合は、不思議とそれがしっくりきてしまう。

「じゃあ今日の買い物って、俺へのプレゼント選んでくれてたのか」
「うん。まぁ…。でも結局色々あったせいで、なんにも買えなかったけどね…ごめん…」
「別にいい。気持ちだけ貰っとく」
「いや、さすがにそれは私の気が済まないと言うか…怪我までさせちゃったし…」

いくら完治したとはいえ、怪我をさせたことに変わりはないし、彼は一言も言わなかったが、あの場ではかなり痛かったはずだ。

「だからお礼とお詫びも兼ねて、何かさせて欲しいの」
「俺が欲しいモン言ったら、くれんのか?」

いつもの淡々とした顔つきで、轟くんはそう尋ねた。

「あんまり高いものは、ちょっと…」
「大丈夫だ。金はかからねぇ」
「じゃあ全然いいよ。言ってみて」
「キスさせてくれ」
「は!?」

再び上げた大声に、彼は肩をぴくりとさせたが、その表情は相も変わらず、いつも通りの轟くんだ。

「な、何言ってんの!?」
「……キスさせてく」
「いや聞こえてたよ!そうじゃなくって!そんなの無理に決まってるでしょ…!」
「なんで」
「なんでって…」

確かにお金はかからないし、やろうと思えばすぐ出来る。人によってはすごく簡単で、大したことではないのかもしれない。でも。

「『いいよ』って、言ったじゃねぇか」
「い、言ったけど…そんなことだと思わなかったし…」
「今日は俺の誕生日だぞ」
「うっ」
「……あ、なんか急にまた足が痛くなってきた気がする」
「今それ言うの卑怯じゃない!?」

それを盾にされてしまうと、もはや何も言い返せない。誕生日なのも、怪我をさせたのも事実だし、それに対して何かしたいと言ったのも、紛れもなく私なわけで。

「それじゃないとダメなの…?」
「ダメだ」
「も、もっといい物にしたら?ほら、美味しいお蕎麦とか!」
「嫌だ。もう決めたんだ」

こうなってしまった轟くんは、爆豪くんよりさらに頑固だ。こちらが何を提案しても、彼の結論は変わらない。

「じゃあ…ほっぺなら…」

かなり躊躇いはあったが、その妥協案を提示すると、彼は不満げな顔をしたものの、「まぁいいかか」と小さく呟き、私に一歩近づいた。

「い、一回だけだよ?」
「ん」
「ほんとに一回だからね!」
「分かった」

轟くんは短くそう返事をすると、私の両肩にそれぞれ手を置いて、ゆっくり顔を近づけた。

「ち、近いんですけど」
「近づかねぇと出来ねぇだろ」

さらに近づくその顔に、ぎゅっと勢いよく目を瞑ると、ちゅ、と軽く音を立て、柔らかいものが頬に触れた。

「ふ、すげぇ真っ赤」
「うるさいよっ」
「可愛い」
「もう黙ってて…っ」

やけくそ気味にそう言うと、轟くんは軽く笑って、そっと私の頬に触れながら、再び顔を近づけた。

「ちょ、な、何…っ」
「もう一回だけ、ダメか?」
「だ、ダメっ!一回だけって約束だったでしょ…!」
「あと一回で、絶対終わりにするから」

その"一回"が、おそらく一回では済まないという確信が、なぜか私の中にはあった。だけど。

「いや、あの…でも…」
「そんなに嫌か?」

それなのに、強く突き放せないのは、一体どうしてなのだろう。

「どうしても、ダメか?」

返事をしない私に対し、彼は再び小さく笑うと、さらに顔を近づけてきた。ダメだと言わなきゃいけないのに、私を見つめるその眼差しに、上手く言葉が出てこない。

どうしよう。こんなの、どうしたらいいの。

轟くんの薄い唇が、あと数センチで触れそうという、その時だった。轟くんはぴくりと眉を動かすと、咄嗟に私と距離を取る。そうして出来たその隙間に、ひゅっと風を切るようにして、黒い何かが突如現れた。

「てめぇ人に報告押し付けといて、いいご身分だなぁ…この舐めプ野郎が」

地を這うようなその声に、急に現れた黒いものの正体が、爆豪くんの腕であったことを、そこでやっと理解した。そしてそのすぐ後ろには、困ったような笑みを浮かべる、彼の後輩が立っていた。

「何すんだ爆豪」
「それはこっちのセリフだわ!!てめぇこそ何してやがる!!」
「何って、誕生日プレゼント」
「あ!?」
「そういや、お前本条と仲直りしたのか。良かったな」
「うるせぇわ!!つーか話逸らしてんじゃねぇぞ!!」

いつもの様に言い争いを始めた二人を横目に、私の側まで本条くんが近づいてきた。

「いつもあんな感じなんですか?」
「うん。大体は…」
「大変ですね。みょうじ先輩」
「もうだいぶ慣れたけどね…」

ため息がちにそう言うと、本条くんは少しの間を置き「そうですか」と呟いた。その空白の時間の中で、何を思ったのかは分からないが、彼は二人に視線を向けると、落とすように笑ってみせた。

「ねぇ、そろそろ帰ろうよ。寒いし」

真冬の夜の寒空の下、子供のような屁理屈を並べ、言い争いを続ける彼らに、痺れを切らして声をかけた。

「そうだな。帰るか」
「おい。まだ話は終わってねぇぞ」
「俺は特にねぇが」
「マジでムカつくなてめぇ」
「みょうじが寒いって言ってるだろ。早く帰るぞ」
「そうですよ爆豪先輩。女性をこんな寒い中待たせるなんて、最低ですよ」
「よしてめぇら、ちょっとそこ立っとけ。まとめて粉々に吹っ飛ばしてやんよ」
「そんなことしたら近所迷惑ですよ。少しは頭使って下さい」
「誰にモノ言ってんだ後輩の分際でよ!!」
「あー、やだやだ。そうやってすぐ怒鳴るんだから。カルシウムが足りてない証拠ですよ。毎日牛乳飲みましょうね」
「うるせぇわ!!飲んどるわ!!」

仲が良いのか悪いのか、本日三度目の兄弟弟子バトルが、今ここに幕を開けた。

というか、爆豪くん今日ずっと誰かと言い争いしてるけど、疲れないのかしら…。

そんなことを思っていると、すっかり冷たくなった右手の指に、そっと暖かい何かが触れた。一体いつからそこにいたのか、右隣に立つ轟くんの左手が、私の指を絡め取る。

「な、何…?」
「ありがとな、プレゼント」
「別に私、何もしてないけど…」
「まぁ、それはそうだな」

そう言いながら、ふっと軽く笑う彼に、先ほどの出来事を思い出す。さっきは確かに寒かったのに、今は顔だけ妙に熱い。

「みょうじ」

名前を呼ばれ、咄嗟に顔をそちらに向けると、轟くんは右手の甲を、軽く私の唇にあてた。

「え…?」
「来年はこっち、貰うから」

そんなことを口にしながら、まるでダメ押しするかのように、ぎゅっと私の手を握り「宜しくな」と彼は呟く。さらに顔が熱くなり、逃げるようにその手を払うと、轟くんはふっと笑って、もう一度私の手を掴んだ。

「絶対、貰うから」

そんな甘い宣戦布告に、彼を思い切り突き飛ばし、全速力で走り去る。脈打つ鼓動のその訳は、きっと走っているからだと、そう自分に言い聞かせ、寮まで続くその道を、立ち止まらずに走り続けた。


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10万打記念リクエスト第1弾。
ゆにこ様からのリクエストで、VSシリーズの焦凍くん寄りのお話でした。
大遅刻ですがお誕生日ネタで書きました。
爆豪くんを出し抜くのはまず無理なので、彼が気にかけている後輩くんを作ってみました。

ゆにこ様、お待たせして申し訳ございませんでした。
楽しんでお読みいただけたのなら幸いです◎

2022.01.19

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