「誕生日おめでとう、十四」
「プレゼントは那由多さんがいいっす!」
「それ何年言う気?」
「那由多さんが貰えるまで、っす!」
軽くため息をつく。
毎年同じ言葉を聞いてもう何年になるのだろう。初めて十四に告白された時、私が高校卒業する年だったから……もう5年になるのか。
「残念、今年の誕生日プレゼントは前に欲しがってたピアスを含むアクセサリーセットです」
「それも嬉しいんすけどぉ……」
落ち込みながらも、ありがとうございます、とプレゼントを受け取る十四。そのまま大事そうに抱え込み、へにゃりと笑う。
「十四も18になるんだね。私も歳をとるわけだ」
「那由多さんはずっと変わんないっす!むしろどんどん綺麗になってるっす!」
「そう言われたってなぁ……今年23かぁ」
「……うぅ……自分、早く追いつきたいっす……」
追いつきたい……って、十四が23になった時には私は28だし。永遠に追いつけないことに気がついて欲しい。
そもそも十四のことは生まれた時から知っている。なんせお隣さんだ。十四が辛そうだった時も、自分には何も出来ない歯痒さを抱えながら見ていた。気が付けば泣き癖がついたまま背だけ大きくなって、いつの間にか獄さんを抜いていた。
本当に大きくなったなぁ……と物思いに耽っていると。
「……あの、那由多さん」
「何?十四」
「自分、18歳になったっす」
「そうだね。おめでとう」
「おめでとうはさっき聞いたっすよ!……あの、その」
私からのプレゼントを抱えたまま、口ごもる。なんだ、なんなんだ?やけに真剣なその目は……。
「那由多さんが、欲しいっす」
「十四、冗談はそのへんに」
「冗談じゃないっすよ!獄さんに聞いたっす、男が結婚出来るのは18になってからだって。だから、だから!那由多さんを自分にください……っす」
毎年言われていた。弟分の戯言だと流していた。冗談なんだと、思っていた。
「じゅう、し」
「ちゃんと自分、結婚出来る年齢になったっす。だから今年は弟分の冗談だ、って流させないっす」
ジリジリと距離を詰めてくる十四。
あぁもうこれだから顔のいいやつは……!
「自分、那由多さんのこと、姉だと思ったことなんて1度もないんすよ」
「じゅ、十四、待って」
「もう何年も待ったっす」
「れ、冷静に話しよう!?」
「那由多さん顔真っ赤……可愛い……」
「話聞いて!?」
壁際に追い詰められて、十四の長い腕に捕まる。
こうなった十四は人の話を聞かないのは、もうずっと前から知ってる。
「ねぇ、那由多さん。自分のモノになってくれませんか?」
多分もう、逃げられない。
「……泣き癖、治したら考えてあげる」
それはちいさな、ささやかな抵抗。
十四が泣き癖を治すためにお寺で修行を始めたと、獄さんから聞いて改めて覚悟を決めたのは、それからすぐのことだった。