*うちの明暗さんは関西人
*結婚していて、娘がいます。名前はなし。
*姐さん女房





「修吾くん明日空いとる?」

風呂上がりにストレッチをしていると寝かしつけを終えたらしい夢さんが声をかけてきた。

「何も予定ないけど、どしたん?」
「明日デートしよ?」

小首を傾げて聞くあざとさは様になっとっていくつになっても可愛いと思う。「シーズン始まったらゆっくりお出かけできへんやん?あと結婚式行くからドレスほしいねん」って言いながら背中を押される。ストレッチを手伝ってくれるらしい。

「デートって夢さんとふたり?チビちゃんどうすんの?」
「お母さんら見とってくれるって」
「お義母さんらにほんま頭上がれへんわ」
「ええねん、ええねん、初孫可愛いてしゃあないねん」
「ほんなら甘えさしてもらおっかな」
「やった」

夢さんは俺の頭をぐしゃっと撫でて立ち上がるとスマホを手にした。早速お義母さんに連絡するらしい。


*****


「修吾くん、どれがええと思う?」

モール内にあるパーティードレスを取り扱う店を何度も往復して、目星を付けた店で形の違う同系色のドレスを体に当ててこっちを見てくる。候補は3種類に絞られたらしい。

「んー、こっち。色はこれがええな。試着さしてもらいーや」
「うん、そーする」

ドレスを着替えてる間に合いそうなボレロとストールを見繕う。

「どう?」
「俺の目に狂いはないな」
「まーモデルの元がええからな」
「せやな」

夢さんのこういう発言はボケかガチで言うとんのか未だによぉ分からんからとりあえず同意しとく。似合ってんのはほんまやし。

「上どっちがええ?」
「ボレロにしよかな。抱っこするかもせんしストールなくしそう」

言われた通りボレロを羽織る手伝いをする。丈感も問題なさそうやな。

「ええやん、似合におてる」
「ありがとー」

機嫌をよくしたらしく声がちょっと弾んどる。お店の人を呼んで、新しいものを用意してもらうように頼んだ。

会計を済まして次は休憩がてら空いていたカフェに入る。「コーヒーでええ?席とっといて」と告げて夢さんはさっさとカウンターに向かってしまった。大人しく空いている席を探して抑える。レジは空いていたようで、思っているより早く夢さんは来た。

「修吾くんて昔っからあんま買いもん嫌がらんよなぁ。めっちゃありがたいけど」

夢さんは根っからのオシャレ好き、買い物好きで、学生の頃からデートの度にショッピングに連れ出されて服やら化粧品やら雑貨やらを買っていた。俺から着て欲しい服やアクセサリーをプレゼントしたこともあるし、逆に貰ったこともある。今だって「この後リップ選んで」なんて言ってくる。夢さんの買い物は自分の好みや好きなものにこだわるわりに即決というか思い切りがいいから見ていて気持ちがいいし、何より自分や周りの似合うものをよく知っていて無駄な買い物もないように思える。

「俺が一回の時夢さんとつき合ってた先輩おるやん?」
「え、まさかの元カレの話?」

夢さんはカラカラ笑いながら「おもろいねんけど、ほんで?」と先を促してくる。

「あの人の選ぶ服センスないなーっていっつも思っててん。でも夢さん"好みちゃう"とか言いながら、もうた服とかちゃんと着とったやん?」
「あたしつき合ってる時本気で相手のこと好きやからな〜。しかもあいつ俺色に染めたる系やったから、めっちゃプレゼントくれてんよね。ほんま死ぬほどセンスなかったけど」

デートするときクソダサセンスでほんまつらかった!!なんて言いながら笑っている。話題を振ったんは俺やけどだいぶボロクソ言うてはるな。

「そうやって文句言う割にちゃんと着とって、夢さんのこと健気でかわいいなーって思っててんけど」
「お、それは初耳やな」
「俺やったらもっと可愛くさしたるのになーって思ったら、夢さんに似合う服めっちゃ研究しとった」
「え、そんな感じで選んでくれとったん?」
「なんか気ぃついたら好きなっとったし、好きな人には最高に可愛くおってほしいやん」
「お、おお…」

あ、照れとる。

「やから夢さんのこと、いつまでも俺に可愛くさしてな」

(20210127)

一回→大学1年生の意

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