シュヴァイデンアドラーズVSムスビイブラックジャッカル集合時間がいつもよりうんと早い侑を叩き起こしてから一足先に朝一の飛行機に乗って仙台に向かった。大親友のきみちゃんの所属する光新薬の試合が同じ会場の第一試合であるから今日は丸1日バレー漬けや。ほんまやったらきみちゃんも侑も2日連続で試合を見届けたかったところやけど、残念ながら明日の夕方に仕事が入ってしまっているので泣く泣く諦めた。
飛行機から降りて、機内モードを切ると治からの不在着信と仙台に着いたら連絡がほしいって内容のメッセージがきとった。とりあえず邪魔にならんとこに寄って折り返す。
「もしもし?仙台着いたけどなんかあった?」
『公恵んとこも観に来るやんな?こっち着いたら設営
手伝うてや』
「いや、バイトくんはどないしてん。何人かおるやん」
『今日俺ら二人しかおらんねん』
これはあれやな。最初っから人のこと当てにしとったやつやな。前もって言うとけや。別で予定あったらどないすんねん。なんもないけど。
「しゃあなしやで」
『ありがとうな』
「ホテルに荷物置いたら向かうし、ちょぉ待っといて」
移動やら荷物預けたりやらしてると、合流場所に着いたんは連絡してから1時間くらい経ってからやった。
「お、きたきた。小町それ持ってってや」
「きたきた、ちゃうねん!バイトくんはどないしたん?」
「さっき設営だけ一緒にして今向こう任しとる」
渡されたスタッフIDを首から提げて、指示されたおにぎりの入ったケースを手に取る。ぎょうさん詰めてるだけあって地味に重い。
「持てるか?」
「かよわすぎてムリ」
「いけそやな」
「なんでやねん!」
腹立つからふくらはぎ辺りを軽く蹴っといた。
「ほんでどこ持ってくん?」
「ジャッカル側のエンドに店出とるわ」
「はーい」
顔馴染みのバイトくんに挨拶して、持ってきたおにぎりを渡す。何度か往復してがっつり使われた後、好きなおにぎりを何個か選ばしてもらった。
「後で公恵に会うんやろ、渡しといてや」
「そんなん自分で渡したらええやん!」
チームの解散終わったらうちと合流する予定立ててるくらいやし、きみちゃんかてある程度融通利くはずやん。会いにきてって言うたらしまいやのになんなん。まーお互い知った仲やしちょっとしたお遣いくらいしたるけど。
いざ始まった光新薬の開幕戦は第1セットを落としたものの、第2セット、第3セットは僅差で勝ち越し、第4セットは3度のデュースの末逃げ切るというなかなか手に汗握る展開ではじまった。全部の試合を観に行くのは不可能やけど、都合つく限り行こうと思う。
試合後にきみちゃんから連絡が来るまで、グッズやらスタグルを冷やかしがてら会場内を歩き回る。
「小町ー!お待たせ」
「きみちゃん!お疲れさま!第二セットの、ドシャットめっちゃいい感じやったなあ!」
「ありがとう」
「かっこよかったでー!」
きみちゃんの顔をみると興奮してきてまくし立てるように観たプレーをひとつひとつ上げていく。きみちゃんは照れつつもにこにこ聞いてくれるから気分がいい。
「あ、せや。治からきみちゃんのおにぎり預かってんねん。後で渡すな」
「そうなの?ありがとう」
「時間までまだあるけど、冷やかしにく?」
「ううん、朝電話したしいいよ」
「へえ〜」
「え、なに?」
「なんもなーい」
仲良さそうでなにより。
午前中は男性の観客が多かったけど、午後になって女性の数も増えてきた。特に同年代くらいの若い女の子たち。男子バレー観に来る女性はアイドル見るノリで来る人が多いからやろな。ジャッカルもアドラーズも顔のレベルも技術も高いことで有名ないわゆるモンジェネが多いから。
人があまりおらん2階席をとって二人で喋り通してると、会場の電気が落ちて選手入場のタイミングになった。警戒な音楽と共にアドラーズの選手が入ってきた。最後にマスコットのアド郎が入りきると、アウェイチームであるジャッカルのメンバー紹介がされる。されるねんけど、
「あかん、光太郎あほ…ほんまあほ…」
体操選手さながら側転を決めながら入場する従兄弟に頭を抱えることとなった。
後日、きみちゃんとふたり並んで観戦しているところを抜かれていて、近くに他の光新薬の選手も一緒にいたこともあってか一部のバレーファンの間で話題になった。SNSを一切やってないきみちゃんに許可をとって、インスタに高校の時とこの試合の時のツーショットを上げると若干フォロワーが増えた。さすがW杯代表で呼ばれただけある。きみちゃん様々やな。
(20210905)
Vリーグで男女が同日同会場は実際にあるんですが、それ以外は全て都合のいい妄想(捏造)です。選手バスの移動時間とか深く考えちゃだめ。
ジャッカルの試合はアップゾーン辺りで観るのが選手たちが馬鹿やってて楽しそうですね。
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High Five!