Take me along

顔が熱い。どうしよう、言っちゃった…!良則くんに抱きしめられているのも恥ずかしい。逃げたい。逃げだそうと身をよじると、逃げられないように腕を掴まれてしまった。

「よ、良則くん今のっ…」
「聞いた聞いた。愛実俺のこと好きなんだって?」
「う、あの…聞かなかったことに…」
「するかよ」
「うぅ…」

良則くんがすごく悪い顔をしている。ように見える。もう、やだ。恥ずかしい。情けない。良則くんを困らせたくない。いろんな気持ちが入り交じってまた涙がせり上がってくる。良則くんの顔も涙でゆがんでしまっている。

「ごめんごめん。意地悪だったな」

俺もまだまだ子どもだな、って良則くんは呟くとこぼれ落ちた涙を親指で拭ってくれた。拭っても拭っても涙は止まらない。良則くんは涙を拭くのは諦めて、代わりにほっぺたを優しくなでてくれている。

「俺たち、つい今まで同じ事で悩んでたんだよ。馬鹿みたいだな」

え?どういうこと…?

「愛実、お前が俺を好きって言ってくれたみたいにさ、俺もお前が好きだよ」

ほ、ほんとに?夢じゃない?良則くんもわたしのこと、すき…?どうしよう、うれしい。すごくうれしい。
言葉に上手くできなくて、ぎゅっと抱きつけば、良則くんも負けじと抱きしめ返してくれる。ねえ、わたし良則くんのこと、好きでいていいんだよね?

「良則くん、ずっと一緒にいてね」

やっとのことで絞り出した、子どもの口約束みたいな言葉に良則くんは優しく笑って「愛実が望むなら」ってキスしてくれた。

(20131220)


High Five!