再び、再会

三回に上がる年から練習生として二部リーグのチームに参加している。大学のサッカー部があまり強くはなかったから、よくもまあ拾ってくれたものだと思う。引退するまではサッカー部をメインに、時々プロに混じっての練習とサテライトでの試合をこなす。
その縁あって、正式に契約を結ぶことができた。つまり、入団テストに受かったととっていいだろう。親孝行と思って受けて、せっかく通っていた公務員への採用も、両親に頭を下げて断った。やりたいことを後悔しないように、と背中を押してくれた二人には本当に頭が上がらない。

卒論を早々に終わらせ、必要単位の履修を終えた俺には卒業を控える春まで時間があった。春からプロといっても名ばかりで、出場機会なんて恵まれないだろう。だけど、その限られたチャンスをいかにいかすかで今後が大きく変わってくるのは想像に易い。

夕方、日課のランニングの途中で人にぶつかった。角に差しかかり人影を見たのに、ゆっくり走っているにも関わらず、うまく避けきれなかった。オマケにぶつかった勢いで目の前でひっくり返りそうになったから反射的にその子を引っ張り助けた。

「悪い、大丈夫か?」
「ごめんなさい!!ありがとうございます」
「愛実じゃん」

誰かと思えば、半年ほど前に松井先生の結婚式で再会した愛実だった。再会したといっても子どもの頃のように一緒に遊ぶような年ではないし、それっきり特別会うことはなかったが。
独り言のように思わずこぼれた呼びかけに愛実は顔をあげた。

「あ、ヨシノリくんだ」
「元気ないな。どうした?」

声に覇気がないから、顔を覗き込むように目を合わせると愛実はきゅっと口を結んだ。かと思えば、目からひとつぶ涙を流して、とうとう泣き出してしまった。道端にも関わらず、だ。こういうのは得意ではないんだけどな。とりあえず、落ち着くまで背をなでた。

(20131115)

*2013年11月現在、サテライトリーグは廃止されてます


High Five!