研磨とポケとる

真生はおれと違って、人と話したり、遊んだりする方が好きだ。家でも学校の行き帰りでも部活中でもいっぱい話しかけてくる。いっぱい話しても話題はなくならないみたいだ。すごいと思うけど、真生みたいになりたいっていうのは違う気がする。
いつもおしゃべりの真生だけど、最近は真剣にゲームをしてる。真生はハマったらしばらくやり込んで、飽きたらほったらかすタイプだ。

「けんまー助けて、メガオニゴーリ倒せない」
「真生こないだメガデンリュウでも言ってなかった?」
「言ってたよ。でもメガデンリュウ倒せたもん。でもメガオニゴーリはむりー!」

あーっまた失敗!
真生は足をじたばたした。ちょっと前も倒せないって言ってたけど、結局自分で倒してた。確かにおれもメガオニゴーリに苦戦した。

「でもメガオニゴーリは確かに強いね。おれもう戦いたくないもん」
「研磨でも?ねえ、どうやって倒したの?」
「運…?」
「もう100敗くらいしてそうなんだけど」

むすっとした真生に「おれも30敗くらいした」って言うと、「やっぱり強いんだ」って言った。おれはアイテムを使わないようにしてるから、本当に運ゲーだと思う。

「『メガスタート』して『手かず+5』使ったらいけそうだけどね」
「使っても勝てないのー!もうコインも宝石もないよ。あとほんのちょっとで倒せるのにいっつも負けるの」

とりあえず自分のやってたゲームをポーズする。

「かして」
「ん」

セットされてるポケモンは別に悪くないと思う。ライフ3残ってるから、今は少なくとも3回チャンスがある。ポケモンを消して、新しく落ちてくるのを見て考えながら動かす。最後は上手い具合に連鎖が重なって、手かずも1だけだけど、残すこともできた。

「はい」
「か、勝ったー!それも1回で!研磨ありがとーう!!」

そのまま真生に横からぎゅうぎゅう抱きしめられる。

「まおくるしい…」

そう言っても、真生の気が済むまで放してくれない。

(20150403)

*ポケとるは実在するポケモンのパズルゲームです


High Five!