弧爪家の朝弧爪家の双子は朝に弱い。
迎えに行くと、二人ともまだ眠ったまま、なんてことはよくある。小学生の頃からそうだから、朝練の時間に余裕をもって迎えに行くようにしている。二人を待つ間に朝食や弁当のおこぼれを頂戴することもよくある。
チャイムを鳴らすと、返事を待たずにドアを開けて玄関の中に入った。そのまま「おばさん、おはよう」と一言台所で声をかけて、研磨と真生の部屋へ向かうのだ。あんまりにも長い間、弧爪家に出入りして、それが普通になってしまった。
「あっ!てっちゃーん!!おはよーう」
「おはよう、クロ」
いつものように台所に顔を覗かせると、もうしっかりと目の冴えた真生と、まだ眠たそうな研磨が食卓についていた。
「双子揃ってもう起きてんのか。メズラシー」
「…真生に起こされた」
「えへへー えらい?ちゃんと一人で起きれたよ!」
「おーエライ、エライ」
言ってることは子どものそれだが、気にしないで褒めておく。真生も素直なもので、嬉しそうにしていた。得意そうにしている真生の髪をぐしゃぐしゃにすると猫のように目を細めて、更にすり寄るようにしてきた。
今度は眠気からか、ふてくされたような顔をしている研磨の髪を同じようにぐしゃぐしゃにすると、嫌そうに手を払われた。
双子で見た目が似てるとはいえ、中身は全然違う。まー、兄バカというか、なんというか、どっちもかわいいのに変わりないけど。
ちらっとリビングの時計に目をやると、いつもより時間に余裕があった。
「鉄朗くん、お外寒かったでしょう。お味噌汁飲む?」
「あ、いただきます」
もごもごとマイペースに食事を進める双子を見て、今日もまた、弧爪家の朝食に混じることにした。
(20141119)
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High Five!