Baby,don't cry.

真生が泣いてる。思いっきりわんわん泣いてるのに、声は聞こえない。なんでだろう。ねえ、真生泣かないで。真生が泣いたらおれ嫌だよ。


ひやりとほっぺたに冷たい何かが当てられた。冷たい。でも熱い。なんなのか確かめようと、掴んでみるとやっぱり冷たかった。

「研磨?起きた?」
「……まお?」
「うん。真生だよ、研磨。だいじょーぶ?」
「、ん」

冷たいと思ったのは真生の手だった。真生はおれの手を握り返したけど、もう冷たいと思わなかった。おれと同じくらいの熱さ。
さっき泣いてたから心配になったけど、真生はもう泣いてなかった。逆に心配そうにおれを見てる。

「お母さんお買い物に行ったの。冷えピタあともう一枚で終わりだし、研磨がゼリーいるからって」
「…真生、泣かないで」
「え?」
「さっき泣いてたから。おれ嫌だよ。まおが泣くの」

真生はきょとんとして、それから少しだけ微笑った。

「あたしも研磨がしんどいと嫌だよ。だから早くよくなってね」

真生はそう言って、おれの目を手のひらですっかり覆ってしまった。

(20150115)


High Five!