108本の薔薇
驚いたことに、花屋の店員は大人になった俺のことを覚えていた。電話で注文しておいた商品を受け取りに行ったとき、店員は俺を見て「ああ、あの時の男の子か」と嬉しそうに笑っていた。俺は覚えられていたことなんて予想すらしていなくて、ただ実家から一番近くて、俺の欲しいものの注文を受け付けていた店だったので連絡したに過ぎなかった。代金は支払い済みだったので、俺は商品を受け取る。ずっしりと重い花束を抱え、俺は今更緊張がぶり返していた。「お相手は?」店員が好奇心を隠せない様子で聞く。俺は照れくさくて、でもそれ以上に幸せでたまらなくて「昔、花を送った女の子です」と笑った。