初めてのバレンタイン




放課後、しょこちゃんとふたりで綺麗にラッピングしたクッキーの袋を眺めてる

「いいの?渡さなくて」
「うん…」
「なんで?」
「なんか、タイミングが…」
「ふーん」

イベントにはなんだかんだみんなで乗っかってる
しょこちゃんとすぐるから手作りをおねだりされたので、ついでと言いながらサトルクンとにもあげようと思ってた
さとるに要らないって言われたら一緒に食べて、って言ったなまえさんにしょこちゃんが笑う
要らないわけないよ、って
けどうだうだしてるうちに夕方になってしまって、約束通りふたりで食べることにした

「ほんとにいいの?」
「うん。どうせ要らないと思うし」
「なまえ、後ろ見てみ」
「うん?」

素直に振り向くと、きょとんとしたサトルクンが立っている

「なにが要らねえって?」
「いや、」
「なまえピンチじゃーん」
「しょうこ、」
「…なあまじでなに?俺だけ知らねえ話やだ」
「あっ、ごめん」

寂しそうに唇を尖らせたサトルクンと、にやにやするしょこちゃんの間であわあわするなまえさん

「あの…クッキー、作って…」
「なまえが?」
「うん」
「おー。すげーじゃん」
「…」

なまえさんの隣に座るサトルクンと、きょとんとするなまえさん

「え?食わねえの?食うんだろ今から」
「…えっと、うん、」
「じゃあ食お。あ、飲み物ないとか?」
「飲み物は、ある、」

笑いを堪えきれないしょこちゃん、私やっぱいいわあ〜お幸せに〜って退室
ふたりきりになって、綺麗にラッピングされたクッキーを取り出す

「これ…」
「…ばれんたいんって、すきなひとにおかし渡すんだってすぐるが言っててさ」
「…うん、」
「…」
「…」
「…やっぱなんでもねえわ」
「…これ、ほんとは、さとるに用意してた…やつです…」
「…ふーん、」
「さとる要らないだろうなって、しょうことふたりで食べようとしてた…」
「……いや、要るけど、」
「…」

無言で袋を開けてひとつむしゃむしゃ食べるサトルクンもなまえさんも、お互いを見ることができない

「美味いよ」
「ありがと…」
「あ」
「ん」
「写真撮ればよかった…」

また作って、と言うサトルクンになまえさんが頷く

すき、って言うまでもう少し




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