※ちょっとだけアイドルパロ的な要素含みます。
最初は単純な資金集めだったらしい。
年中資金、人員不足の調査兵団の苦肉の策だった。貴族に媚を売るのは限界がきたんだ、と渋い顔で言われて了承したのを今では後悔している。
最初はほんの少し顔が整っている兵士を集めて写真を撮り、売りさばく程度の物だった。少しでも資金の足しになれば、と。それが意外と口コミが口コミを呼び、壁内で火が付いた。元々食糧不足や虐げられている生活ゆえ娯楽を欲していたのかもしれない。
今一番人気なのは…
「さすがだねぇリヴァイ。巨人にだけじゃなくて人さまにも好かれちゃうなんてさ!」
「…チッ」
もちろん我らが兵長様だ。
そして、私の彼氏でもある。
「凄いよねぇほんと!売れ上げダントツだよ!」
「…」
「エレンとかミケも人気なんだけどねぇ。アルミンも一部のファンに人気だし、エルヴィンにいたっては顔出ししてないのにファンがついてるみたいだよ。」
「…」
「キャーキャー言われるのってどんな気分なのさ?」
「うるせェくそメガネだまっとけ。」
「次のお披露目会の日程も決まったよ!」
「…チッ。学芸会じゃねェんだぞ」
今では写真だけではなかった。
敏腕マネージャーエルヴィンは、写真だけでなく本や雑誌、握手会、ライブパフォーマンスまで行うようになったのだ。特に一番人気は立体起動を使ったパフォーマンスがある時。あれはチケットが飛ぶように売れる。最近は歌も歌うようになり、何が本職がわからなくなってきた。
「いやぁ、いつもの訓練がダンスのキレにまで影響するなんてね!兵士皆うまいよね。ね、なまえ?」
「…」
なんか面白くない。資金が集まるのは嬉しいけど。
「あれ?自分の彼氏が人気ナンバーワンなのが気にくわないの?なまえ?」
「…気にくわないわけじゃないけど…」
チラッとリヴァイの方を見る。
特に気にしていないのか呑気に紅茶を飲んでいた。
「ハァ…本職忘れなきゃいいんじゃない?」
理由が理由だし、こう言うしかない。
リヴァイはこの言葉に反応する。
「忘れるわけねェだろ。あくまでこれは資金集めの為だ。ある程度たまったら即刻辞めてやる。」
「ふぅん…?」
その割には可愛い女の子に囲まれて満更でもなかったみたいだけど?と口にしたかったが、大人な私は我慢した。
+++
せっかく人も集まるんだし休みなら来れば?
ハンジの一言で私もお披露目会とやらに足を運ぶことにした。いつもは私が兵団で仕事で見に行くことができない為、実際どんな事をやっているは具体的に知らないのだ。昔は握手会くらいなら警備の一人として参加したが、歌を歌って踊ったりするお披露目会は警備としても参加させてもらえなかった。リヴァイに詳細を聞いてもはぐらかされる。エルヴィンに警備員したいと訴えても、最近は人気ナンバーワンの恋人が警備は良くないと言って故意にはずされていた。
ペトラを誘って、参加者の列に並ぶ。あくまで今日は一般人だ。
「楽しみね、なまえ。」
「ペトラは来たことあるの?」
「リヴァイ班は来るなって兵長に言われるのよねー。」
「え!そうなの?今日誘って良かった?」
「いいのいいの!一度見て見たかったし、なまえに誘われましたって言ったら兵長も黙るから。」
「ハハハ…」
待っている間、同じように列に並んでいる人を観察する。若い女の子もいれば年寄りもいた。誰が好きだとかそういう話題で盛り上がっている。こういうところはどこの世界でも変わらないのか…と冷めた目でみていた。
受付の前まで進み、受付を担当している兵士にアイコンタクトを送る。私達に気付いた兵士は特別観覧席はこちらです、と案内してくれた。特別観覧席と言っても最前列というわけではなく、あらかじめ確保されていた席というだけだった。ステージからは近くもなく遠くもない。
「あ、開演時間よ。」
「楽しみ!」
照明が暗くなり、会場の熱気が一気に上がる。視線もステージに集中した。
今日出演予定の兵士がいっせいに出てきて一曲目を歌う。いつものリヴァイからは全く想像できなくて少し笑ってしまったが、何をやらせてもカッコイイと思ってしまうのは惚れているからだろう。なんだかんだいいつつ、私も楽しもう、とした時。
一番盛り上がる曲面、
「な」
「え…」
持っていたハンカチを落とした。
キャーキャーーリヴァイーーエレンーと騒がしい声は耳に入ってこない。私もペトラも何も発さない。最大限に開かれた目には、視界にうつるリヴァイを離さない。先に正気に戻ったペトラは私をチラッと見たがそれに反応する余裕もない。
…なに、あれ。
「…なまえ?…」
「…」
「い、いくらなんでもせ、セクシーすぎよね!…」
「…」
「だ、大丈夫?」
茫然。絶句。
ぴっちりとしたタイトな衣装。身体のラインはばっちり出ていた。まぁそれは良い。それは良いが、
「…」
リヴァイ一人だけパンツのベルトを緩めて、観衆を煽った。少しでも近くに行こうと客はリヴァイに近づこうとする。警備に止められていたが。見えてはいないが、なんだろう。なんかなんかなんか。
「いや、これもきっと団長が考えた演出の一つで…!」
「…大丈夫、ペトラわかってるよ」
「え…う…うん…」
そこから先は素直に楽しめなくて、というかなんかむかついてきてトイレ行ってくると言ってその場を離れた。
+++
なんなのよあれ…
トイレの前で悶々と考える。あれが資金集め?いやまぁ確かにあれは集まるわ…いやでもそういう問題じゃなくて!
エルヴィンの野郎…私にあれを見せないために警備からはずしてたのね……帰ったら覚えてなさい…ハンジは知ってたでしょ…止めなさいよ…
ていうか。
リヴァイ。やらないでよ。
「ああ、もう!」
イライラをどこにぶつけたらいいかわからなくて壁を蹴る。完全にリヴァイ化してる。でもむかつく。あのベルトを緩めるのは私の役目で、その先を見るのも私だけのはずなのに!あのキャーキャー言ってる子達のオカズにリヴァイが使われてると思ったら尚更にイライラしてきた!
「あれ?なまえさん?」
「!エレン!」
「来てたんですね!…あれ?でも兵長に言って、来たんですか?」
「…。」
汗だくのエレンが走ってこっちにやってきた。まだ公演中じゃないの?という言葉を口から出す前に答えを言ってくれた。
「今はアルミンのソロなんです。」
……なにソロって…貴方達兵士でしょ…
「トイレがここしかないんですよね。でも良かった。お客さんいなくて」
「…リヴァイは?なにしてるの?」
「兵長は楽屋、個室与えられてるんで…たぶんそこで休んでると思いますよ」
「どこ?」
「え?」
「案内して。」
「え、でも」
「早く」
「(トイレ…)」
私の有無を言わさない態度に負けたエレンは渋々と言った感じで楽屋まで案内してくれた。案内してくれたのはいいけど、すぐにトイレに戻っていった。
…さて。
エレンいわくリヴァイの出番まであと5分ないらしい。
小言の一言でも言ってやろうかと思ってここまで来たけど…リヴァイも仕事だしリヴァイに文句言ってもしょうがないか…
「誰だ。」
「!」
扉の向こうから聞こえた声。
え、どうしよう。
隠れようにも隠れる場所が無い。悩んでる間に扉が開いた。
「!……なまえ…」
「…」
「…来てたのか。」
ええ来てたましたよ。
驚いた顔をしたリヴァイ。とりあえず入れ、と言われて招かれるまま楽屋に入室した。それでも訪れる沈黙。とりあえず何か言わなきゃ、と思って出て来た言葉は単純なものだった。
「見た。」
「あ?」
「ステージ」
「……ああ。」
「…。」
シーン…
お互い言葉を発さない。
「…。」
「…。」
「…もう出番でしょ?行ってきなよ」
嫌だけど。
「…ちょうどいい。」
「は?」
なにがよ。
「来い。」
「え?あ、ちょ」
乱暴に手を引かれて、そのまま後を追う形でついて行く。ステージ裏まで行くと交代で出演してる兵士達が待機していた。私がいるのを見て驚くものもいれば、納得したような顔で見ているものもいた。
「ちょっ、なに?リヴァイ」
こんなところまできて…ここで見とけってこと?
「お前も特別出演だ」
「は…ハァ?」
「行くぞ。」
「え、あ、ちょっ」
彼の力に勝てなくて、引きずられるままに一緒にステージに出る。照明を身体全体に浴びて熱い。観衆の視線が一気に私とリヴァイに集中する。
「てめェら。よく見とけ。」
リヴァイの声が響いた後、私の視界は彼の顔でいっぱいになる。
なにがおこってる?
感じるのは腰に回る彼の手と、頭を強く押さえつける手。舌は生ぬるい彼の舌で遊ばれている。
「んっ、ふぁ」
シン、と会場内は静まり返る。
状況を把握した時はもう遅くて、とりあえず離して欲しくてドンドンドンと胸を叩く。
離れた口には銀色の糸が繋がっていた。
名残惜しむ暇もないまま、強い力で頭を押さえつけられて、そのまま私はしゃがみこむ。
目の前には、先程緩められたベルト。
「俺のを咥えることができんのはこの女だけだ。」
わかったらこんな茶番は終わりだ。
そう言ってまた私の手を引いて、ステージ裏へと姿を消した。背中からはリヴァイのファンであろう悲鳴だけが聞こえた。
緩んだベルト
後日エルヴィンにこってり怒られたが、結局この資金集めもエスカレートしすぎて本職に影響しかねないので、束の間のアイドル生活は終わった。
20151001〜拍手
進撃のMMDを見て影響されました。見てて楽しすぎる。
ALICE+