04:2番目の男は凶悪だ


「何してるの?ミルキ」
「あ?…ゲームだよ。」
「暇なんだけどー。一緒に遊ぼうよ」
「嫌だ(コイツに関わるとロクな事ねェ…)」

暇を持て余して、ミルキの部屋に突撃訪問する。相変わらず暗い部屋でパソコンやってるなぁ。目、悪くなんないのかな…

「そんなこと言わないでさー。私も一緒に遊べるゲームしよーよー」
「チッ…取引だ。いつもの」
「!いいよいいよっ」

ある意味、私にとってミルキが一番扱いやすい立ち位置にいる。イルミやキルアは違う意味でちょっと面倒だし、アルカやカルトは家にいない場合が多い。執事やメイドと話すのは向こうが気を使ってくれるから逆に疲れる。シルバやキキョウは問題外。…ミルキはその点、基本的に家にいるし、ゲームとかが好きだから変な親近感がある。一番まともな神経してるのはキルアだけど、一番まともな趣味をもってるのはミルキだ。

「先に話せ。」
「え〜?何があったかなぁ……あ、そういえば流行ってたのはアイドル系のゲームかな。実際に音楽出して、リズムゲームとして遊べるの!」

取引とは?
私自身に金銭が与えてるわけではないので(好きな物は買えるが)、金の取引はできない。暗殺や情報交換なんてもってのほか。…ただ一つだけを除けば。

「おお…どんなキャラがいた?人数は?」

現代の私の世界で流行っていたアニメや漫画(男性向け)の情報を提供すること。特に日本ではそういう文化が盛んだったから、彼はとても興味津々だ。さすがに現代の情報をそのまま渡すのはお金になるのが私でもわかるので、限定してその分野だけ。

「え〜何人だったかな。初期メンバーは大体五人くらいなんだけど、売れてくるとどんどん増えるんだよね」
「うん、そこはこっちと同じだな。」
「…ね、いい?ゲームしよーよ!」
「…しょうがねぇーな。準備するからまってろ」
「はぁい」

実はこの時間が結構楽しみだったりする。彼は私に恋愛的な感情を持たないので、変に迫ってきたりしないし、普通の男友達って感じ。イラッとさせることはよくあるけど、殺されないってわかってるから、本当に心地よい。

「…イルミ兄が帰ってくるまでに自分の部屋に帰れよ。」
「え?何時に帰ってくるの?」
「あ?しらねーのかよ。予定では一時間後。」
「えー!ちょっとだけじゃんっ」
「うるせー。一緒にこうやってゲームしてるのバレたら殺される。」
「?なんで?別にいいじゃん。」
「いや…なまえ、お前イルミの彼女なんだろ?」

なんだそれ初耳なんですけど。

「いや…違うけど。告白されたこともないし」
「キルからはされたんだって?」

ポイッとコントローラーを投げられる。なんとかそれをキャッチして、テレビに視線を向ける。数秒待つと、いつも行うゲームシリーズのトップが表示された。

「…。」
「沈黙は肯定だな。やっぱわかりやすい。」
「うっ」
「で?返事は?」

ピコピコと勝負が始まる。女相手に手加減無しでいつも負けるけど。

「…してない」
「いや。なんでだよ。」
「なんでって言われても…」

というか昨日キルアともヤっちゃったし…イルミにバレたら殺されそうまじで。…あ。

「…私、ミルキが好きなの」
「ハァ!?!」
「あ、隙アリっ」
「しまった…!」

一瞬怯んだ隙に、勝負をかける。winnerの文字が大きく表示され、勝利をたたえる音楽が流れだす。

「なまえ…俺の無戦敗記録を………!」
「動揺したミルキが悪いんだよーっだ」
「殺す!」
「殺せないくせに!」
「ぐぅうぅぅぅうぅぅう…!」

こんなどうでもいい時間が好きだ。いつもこの家に監禁されている私にとって、ゾルディック家が全てだし、…キルアが友達を欲しがるのもわかる気がする。

「でも待てよ…お前がキルにしろ、イル兄にしろ…どっちかと結婚したら…」
「ミルキとも家族だねっ」
「冗談じゃねぇ…!こんな体術もできない奴がこの家にいるかっ!」
「それは何も言えないー。できないし。」
「せめてイルミにしろ。キルは後継ぎだし、なんか色々めんどくさそう」
「だよねー。」

…ま、どっちも選ばないけど。

「…おい部屋でろ」
「へ?」
「やべぇ絶対怒ってる…!早く!!」
「え?え?」
「ダメだ終わった。」
「ミル「なまえ、何してるの。」」

音も無く現れた黒い影。私でもわかる。あ、死んだ

「なんでなまえがミルキの部屋にいんだよっ」
「え、と」

黒髪と銀髪が対照的でお互いがお互いを映えさせる。音も無く現れたのは、その二人だった。

「返答によったら…」
「待ってイル兄!これには事情が!なまえ、俺を守れ!」
「…家族だから殺しはしない。けど…」
「ちょ、まってまって!私が暇だから遊びに来たの!」
「…なまえは何でミルキの部屋の場所知ってるの?最低限しか教えてないよね?」
「え、と…執事に聞いて…」
「そんな報告は上がってきてない。…ということは、俺が命令する前ってこと?…だとすると、随分前から出入りしてるみたいだね。」

いやまって命令ってなに。まさか監視されてたの私。助けを求めてキルアに視線を移すが、今回は助けてくれないらしい。キルアもなんか怒ってる。

「暇なら俺の部屋来いよ。ブタくんのところじゃなくてさ」

あー…そこね、怒るポイント。

「キルア今日いなかったよね?」
「今日はな。いる時でもブタくんの部屋来てるだろ?」

なんで知ってるのよ。

「なまえ、これからは俺の部屋以外来ちゃダメ」

私の手を掴んで無理矢理部屋から退出させようとするイルミ。ほんと無茶苦茶だな!

「行ってもイルミいないじゃん!」


「俺の部屋だろ。」
「!」

空いている片方の手を今度はキルアが掴む。なにこの板挟み。

「キルアも高確率でいないよね…?」

ていうか二人とも離して…ほしい…言えないけど…

「うーん、仕事場に連れていくのはさすがに危ないしなぁ…ほんとは離したくもないんだけど。大人しく俺の部屋で待っててよ。良い子にしてたらご褒美あげるよ?」

そんなキルアを無視して勝手に話を進める長男。

「ご褒美って!?」

ってなに?!一日外出OK券が欲しい。

「ここで言っていいの?」

少し首をかしげて、私を見てくる。

「?」
「なまえの一番よがるポイントをずっと「止めてくださいほんと」」

油断も隙も無い……
チラッ、とキルアを見ると、ふてくされてた。

「おいイルミ…」
「何?キル」
「その前に。なまえ」
「ん?」
「俺は今からコイツにライバル宣言する。いいよな?」
「は」

え?まってよくわかんないことしないで。火に油注ぐのやめてよ?


「なまえはイルミにも絶対渡さねぇ…覚悟しとけよ」

まじかなんだこの急展開。ついていけてない。



忘れられたミルキ(俺の部屋で修羅場かよ…)
20160520

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