日常と非日常の違いはなんだろう?彼は、私から見る非日常を、当たり前のことだ、と言うけれども。確かに彼が、私に刺激という名の凶器を与えたように、非日常を作り出してくれる彼らに与えたものは、手段だけ。
「ねェ…聖護」
「なんだい?」
「聖護は何で、私に凶器を与えたの?」
「凄く抽象的な質問だね。」
「前から不思議だったの。…私は確かに、日常に飽き飽きしてたけど、それを不満だと自覚していなかったのよ。」
「それは、狡噛慎也と熱い夜を過ごしていたから…と、でも言って欲しい?」
「まさか」
「最近、君は過去にばかり目を向けているね。昔の男を久しぶりに見て、何かが蘇ったのかい?」
「そんなつもりじゃ」
「残念なことに、向こうは未練タラタラみたいだったけどね。常守朱の友人を、彼から持ち去った時、虫の音だった彼が、君の名前を呼んでいたよ。」
「…」
「愛されていたんだね。…いや、過去形にするのは良くないな。狡噛慎也にとって、君はまだ過去になっていないんだから。」
「…どうしたの?今日の聖護、意地悪ね。」
「意地悪なのは、君の方だろう?」
パタン、と本を閉じた彼は、真っ直ぐと視線を私に向けた。同じソファに座っているので、距離はほとんどないが、なんだかとても彼が遠い気がした。
「せっかく二人でいるのに、狡噛慎也の事を考えていたのか?」
「考えてなかったわ。」
「君は本当に…僕を狂わせるお姫様だね。僕に黙って椅子を差し出せばいいものを」
「椅子…?」
「僕はとっても疲れているんだ。君のせいでね。」
「聖…、きゃっ」
体重分、沈んでいくソファ。華奢なくせに、しっかりと男の力を利用して、私をソファに縫い付けた彼を、睨みつけることも出来たが、それは今の彼には逆効果な気がして、辞めた。代わりに下から、彼をまっすぐと見つめる。
「聖護…?」
「狡噛慎也と寝ていた時も、こんな風に名前を呼んだのかな?」
「何言って」
「本当に…憎らしいお姫様だ」
乱暴に口づけ、侵入してくる舌に、抵抗せず、受け止めた。いつもと違い、荒々しい彼の手つきは、私のシャツの中にも侵入し、無抵抗な下着を剥ぎ取り、赤ん坊のように乳房に齧り付く。甘い声をあげると、余計に彼の気を逆撫でてしまったらしい。抵抗しないのが悪いのかもしれないが、乱暴に足を開かせ、まだ十分に濡れきっていないソコに固くなったソレを無理矢理、押し込む。一瞬の痛みに顔を歪ませたが、視界に彼を映すと、彼は満足したのか、にやりと笑って続きを行った。
動かない群衆
世界が止まって見えた。存在しているのは、彼と私だけ
人がいらだったり、不機嫌だったりするのは、あまり長いあいだ立ち通しでいたせいであることがよくある。そういう時、その人の不機嫌に対して理屈をこねあげたりしてはいけない。椅子をさしだしてやるがいい。─アラン「幸福論」
20150210
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