この街に住んでいる限り、あの建物を見ない日は無い。それだけこの街に存在感を植え付けている巨大なモンスターは、我は守護神だ、と言うかのように堂々と建てられていた。

守護神の皮を被った化け物だとは、誰も気が付かない。

「へェ、ここがノナタワーね。ここまで中に入るのは初めて。」
「なまえは僕と一緒に上へ行くよ。」
「ええ…チェ・グソンの方に行きたいのに。」
「どうして?」
「どうしてって…そりゃ、今まで私、その機械に動かされて仕事していたのよ。その機械の本当の正体を見たいと思うのは、好奇心以外の何があるの?」
「その好奇心を満たしてあげたいのは山々だけど、今日は駄目だ」
「どうして?」
「…」
「?」

珍しく何も答えない彼は、少し奇妙に思えた。少し怖くなって、聖護の服を掴もうとした時、義眼を光らせたチェ・グソンが呆れたようにため息をつく。

「じゃあ、旦那。私は下に行きます」
「頼んだよ。」
「旦那も。…くれぐれも、お姫様を守り抜くナイトでいてください。」
「もちろん。…さ、行くよ」

少し乱暴に掴まれた腕の痛みには、気が付かないフリをして。エレベーターへと乗り込む彼について行く。扉が閉まって、彼に話しかける前に、私は両手に閉じ込められた。

「聖護?」

真正面に立っている彼の顔が見えなくて、覗き込もうとしたら、逆に唇を盗まれた。いつもなら優しく盗んでくれるのに、今日は余裕がないのか、少し乱暴だ。

「んぅ」
「はっ…ぁ、」

それでも、彼からの唇は嬉しくて、少しでも応えたくて、侵入してきた舌を、自分の舌と絡める。彼に合わせるように、私も少し乱暴に。

天使のような頬に、掌を這わせて。

「ん…、どうしたの…聖護。」
「君を」
「?」
「狡噛慎也には、渡さないよ。」
「…もちろん」




最終破壊兵器と僕ら


そして二人は出会うのだ。


「君は狡噛慎也だ。」
「お前は槙島聖護だ。」


刺激を求める女は第三者になってソレを見続けた。

「アイツを…っ、なまえをどこへやった?!」
「なまえとは?誰のことかな」
「とぼけるなっ…!アイツがお前の近くにいることは、わかっている!」
「うん、さすが公安。少しは掴んでたみたいだね」
「アイツは俺の女だ!返せ!」
「はは、…面白い事を言うんだね、狡噛慎也。」

「なまえ」
「?!」

第三者は第三者らしく、隠れていたのに。

「今だけ出ておいで。」
「…」
「知らないようだから、教えてあげないと。」

ふう、とため息をついて。先程、聖護が通った階段を下りていく。影が途切れ、光が当たる。ああ…少し、眩しい。

「…なまえっ?!」
「久しぶり、慎也」





20150212
『例えもし、僕が公安に捕まることになっても、君は逃げないといけないよ』
『どうして?私、聖護から離れたくない』
『また迎えに行ってあげるから…それまで大人しく待ってて。プリンセス』


「聖護!後ろ!」
「…っ!」
「チッ…聖護の馬鹿!」


プリンセスはナイトの言い付けを忠実に守る。

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