シャートのリビングのソファを私一人で占領する。他のメンバーに文句は絶対言わせない。腰は重い、うまく歩くことができない。お腹は痛い。下半身だけ喰べられている気分だ。耐えても耐えても痛みから逃げる事はできなくて、顔から汗が噴き出す。チクチクなんて痛みじゃない。いっそのこと殺してほしい。こんな痛みを毎月毎月我慢している私達はとてもじゃないが、鬱になりそうだ。

「なまえ、大丈夫…?何か暖かいものでも…」

心配してくれるハイセには悪いが、お願いだから話しかけないでくれ。君を相手にする余裕はない。笑顔を振りまく余裕なんてもっと無い。

皆の共有物であるソファを占領して申し訳ないが、この痛みに耐えてる私を褒めてくれ。



月に一度、ほぼ必ずくるもの…
女の子、女性は悩まされる。
妊娠するため、出産するため…耐えろと言われて耐えているが、正直もう限界だ。痛み止めを飲んでも効くまでに時間がかかる。最悪なのは、急にこの痛みに襲われた時。横になれる環境ならまだしも、そうできない時。もうまじで死ぬしかない。顔を真っ青にして、体調を聞かれても上手く誤魔化す。(同性なら言い出せるが。)

ここまできて、何が言いたいかっていうと。



「……ハイセ、…」
「なに?何でもするよ!」

心配して、床に膝をつき私の顔を覗きこむ。いつもなら、なんて綺麗な顔なんだと感動するシーンだが今はそんな余裕はない。

「…じゃあ…」
「うんうん!」
「ほっといて………」
「うんうん!…え?!」

今はその反応でさえ辛い。

「ほっとけないよ…!僕に痛みはわかんないけど…でも、なまえちゃんが辛そうなのは僕も辛い…」

なら尚更ほっといて…

「とりあえず才子ちゃんに対処法聞いてくるから!」

クインクス班の班長とは思えない焦り具合で才子の部屋へ向かう我が班長。
やっと消えた…と思ったのは後にも先にも内緒である。静かになったリビングで私は一人痛みに耐える。さっき痛み止めを飲んだから、そのうち効いてくるとは思うが……

「すぅ、はぁ、すぅ、はぁ…」

ゆっくり息を整える。

こんな事なら朝から薬飲んでおければよかった。一日目なのに、タカをくくって飲まなかった罰だ。

「もう…やだ……」

なんでこんなに痛いの。痛くない子だっているのに。
答えの出ない悩み。早く効け薬。

ドタドタドタ…足音が近づいてくる。多分才子に対処法を聞いてきた彼が近づいてきたんだろう。

「なまえちゃん、身体を温めるといいんだって!」

…知ってるよ。お腹にカイロ貼ってますよ。
そんなわかりきってるような知識は今いらない。ほっといてくれ。

「白湯、作ってくるから!」
「…。」

ああ本当に重いし痛い。
彼はキッチンへ向かって、やかんに水をいれて火をつける。

すぐにこちらへ戻ってきて、寝転がってる私の頭に手を乗せる。

「辛い?大丈夫?…辛い時は、辛いって言っていいんだよ。」

…

「…辛い……」
「うんうん、」
「毎月毎月もうやだ…」

ああ、泣きそう。
感情も不安定。全部全部、これのせい。

ハイセの優しさにもイライラしちゃう。

「もうこんな痛みいらない…、なくなっちゃえばいいのに…」

そう、もう子宮なんていらない。
赤ちゃんなんて産みたくない。

「……大丈夫、僕との赤ちゃん産む為の準備だよ。」
「…はぁ、…何言ってるの、ハイセ…」

そんな話、一回もしたこと無いくせに。

―頭を撫でてくれる手が優しい。

「…ずっと思ってるよ。」
「…え…」
「…許されるかはわからないけど……前から、思ってた。」
「…」
「なまえの隣にずっと一緒にいたいから…ね」


ふわふわふわ

イライラしていた気持ちは消えて、
心なしか痛みも少しずつ消えていく


「…ばっかみたいっ」


それでもやっぱり優しく撫でてくれる手に涙がでた。



止まる鼓動に錆びつく時間


沸騰した水が鳴る



20151025
女の子は辛いよシリーズ


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