「ハンター試験を受けろ」
「はんたあ…?」

これから住むことになるらしい山小屋に連れて行かれる道中、彼の口から出た聞き慣れぬ言葉に首を傾げる。想定内なのか、表情を変えることなく説明が続けられた。ハンター試験とは、ハンターライセンスを取得する為の試験。ハンターの資格を持つと様々な場所で便利だったり、ライセンスを持つ人しか行けない場所に行くことができたり、大金が手に入ったり。彼曰く、一番重要なのは身分証代わりになることらしい。

この世界の人には国民番号があるらしい。戸籍と似たようなものだと思う。国民番号のない例外もあるらしいけれど、今説明するものではないと話は続く。国民番号、つまりは身分証がないと働くこともできないし、公共の施設で身分証提示を求められた際に何かと面倒になってしまう。

そこで、身分証明証となるハンターライセンスを私は取得しなければいけないらしい。ただ、その試験は筆記や実技などと定められているものではない。毎年試験内容も代わり、判定基準も試験管に左右されるらしい。

「あの、ジャックさんとミアさんはどこにいるんですか?会うことはできるんですか?」

たまらず二人について聞いた私に、彼は少し眉をひそめた。難しそうな顔をしたまま、詳細が告げられる。
二人に会う為には、身分証明が必要になるらしい。用意ができるまで二人には会えないと告げられ、頭が真っ白になっていく。きちんと何故必要なのかも説明してくれることには、感謝ばかりだった。

髪が動くこの力が、様々な人達に狙われているらしい。社に武器を持った人々が多く来たのはそのせいであり、どこから私のことが広まったのかは不明。
身を隠すにしても、身分証がないだけで目立ってしまうし何かと不便。

「そ、その試験は…いつあるんですか?」

そこまで説明を受け、身分証明書の必要性は理解できた。問題はハンター試験がどういったものか、いつ試験があるのかということ。

「年に一度。今からだと、準備を含めたら一年後だ」
「いちねん…」
「その間、お前には身体強化とその髪を制御できるようになってもらう。もちろん言葉の勉強も、だ」

次々と告げられる内容に必死に頭を追いつかせる。試験はどのように行われるのかはわからない。だが、集まる人は大抵何かの道を極めている者達。武道や特殊な技能に優れた人がわんさかいるらしい。…そんな試験、受かるのかな。

とにかく一般人以上の戦力がないといけない。その為には一年間血を吐いてでもがむしゃらに鍛えなければいけない。体力作りに筋トレ、それに加えて髪の制御に言葉の発音や読み書きの勉強。
聞かされたトレーニング内容に眩暈を覚えた。同時に思い出した最後に見た二人の姿に、掌に爪を立てた。こんなの、二人の痛みに比べたら。

「やります」

覚悟は決めた。二人の為ならなんでもすると。
イズナビさんは私の覚悟を受け取ったのか、表情を緩めた。





2018/04/03