vs 久々知 兵助
六年い組 火薬委員会委員長 八神 征志郎15歳。現在進行形で貞操の危機に直面している。
委員会を終え、一つ下の後輩である久久知と焔硝蔵…即ち火薬庫の最終確認と戸締まりをしている最中……だった。
突如後ろから伸びた白い手と、背中から感じる確かな体温に戸惑いを隠せない。下級生はすでに帰しているから久久知と2人っきり。
「…征志郎先輩……好きです」
久久知少年の告白。
▼八神 征志郎は100の精神的ダメージを……ってふざけているバヤイじゃない!なんとかしないと俺の貞操が。
「く…久久知、離せ。まずは落ち着け」
「いやです」
説得するも久久知は拒否。今まで反抗しないで、俺の言うことなら従順に聞いていただけに久久知の拒否は俺にかなりの衝撃を与えた。
だって考えてもみろよ。彼が我が火薬委員会に入ってから5年間、弟のように可愛がっていた久久知。その久久知に背中から抱きしめられ、あまつさえすり寄られているんだぞ。
あれ?キミってそっちの方だっけ?それ以前にその対象として見られていたのが一番の衝撃ですが。
久久知の手をやんわり外して向かい合う。そして目が合って後悔。
「だって俺!征志郎先輩のこと愛してるんです!!」
やべえな…こいつ本気だよ。
頬を桃色に染め上げ、その瞳も涙で濡れて遊女顔負けの色気を放っている。
こりゃ普通の男なら一撃で堕ちるだろう。だが俺は違う!
「久久知、悪いが俺にはその気が全くない」
「先輩、ちゃんと名前で呼んで下さいね。そうだ今度の休みにデートしましょうね」
「…………」
ダメだこりゃ。俺の話を聞いてないな。恐らく久久知少年の頭の中では俺との素敵な学園生活が繰り広げられているんだろう。
なんてゾッとする話なんだ。
「……それで、征志郎にお願いがあるんです」
「な…なんだ?」
可愛い後輩の願い事であればなるべくきいてやりたいのだが、何故だか嫌な予感しかしない。
何だかな〜。久久知は性別を間違ってると思うよ。色白で女顔、綺麗な顔立ち。仕草だって女そのもの。
う〜む。惜しいな。女だったら俺絶対頂いちゃってんな。
とかなんとかグダグダ考えてると、久久知は熱のこもった瞳で爆弾を落とした。
「先輩…抱いてください」
「…………は?」
「俺、先輩とだったら…イタイのガマンできます」
俺まさかの入れるほうですか!?
いやいや俺は女の子専門なのだが。
「久久知。早まるな。お前のその気持ちはまやかしで…」
「もう先輩。兵助って呼んで下さい?」
「あー…兵助?」
「うれしい…」
そう呟いて俺に抱きついた。
あーもー。なぜキミはいちいち行動と言動が女なんだ。
突如、唇に暖かいものが触れた。久久知が接吻をしてきたのだ。歯列を割って侵入してきた久久知の舌は、口内を遠慮なく撫で回し、やがて水音をたて始める。
「……ン…や……は………なせ……離せ!!」
たまらず久久知を突き飛ばして距離をとる。
「フフ…おいしかった」
ニコリと微笑みながら自らの唇を舐めとる様は、俺が今まで相手してきたどんな遊女も足下にも及ばないほどに妖艶だった。
「兵助…」
「せんぱい、続きシマショ?」
「は…はは…」
……―っ喰われる!!久久知の熱どころか欲望の眼差しをまともに浴びた俺はというと。
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