※樋口目線(捏造かつ口調が怪しい)の黛赤

それはいつもの様に行われている放課後の部活の練習。俺はマネージャーである為、選手たちのテーピングやボトルの補給等々雑用をやっている。別にバスケは嫌いではない。寧ろ本音としてはバスケがしたい。ただ、ここ(洛山)は俺がいる(練習する)場所ではないと悟らされたから。

1つ下の無冠の五将と呼ばれる秀才たちが3人も入ってきて、いきなりスタメン。それでも圧巻される。だが今年は違った。さらに1つ下、つまり今年の1年生はさらに化け物……いや、あれは魔王だ。それが入部していきなり部長の座に就くなど誰も予想していなかったはずだ。それが洛山に入ると噂された日だって無冠の3人は叩き潰してやるとか口を揃えていた。だが実際会って、1ゲームした瞬間、その勢いはどこへやら。つまりそれほどの力があると知らされてしまった。

魔王……赤司征十郎は他人に有無を言わせない。ただ1人を除いて。

「正太。」

不意に名前を呼ばれ、向くと赤司がどこか落ち着きのない表情を珍しく表しながら此方に近付いてくる。

「ん?」
「千尋を見ていないか?」

そう、赤司が探している人物こそが唯一赤司に反抗や反論出来るやつである。

彼の言う「千尋」とは黛千尋。俺のクラスメイトであり、そこそこ仲がいい(俺がマネージャーになるまでは同じ2軍だったから)。

「そういや見てないな。」

黛は影が薄い。故に大概のヤツが気付かなかったり、声をかけられて驚くのは日常茶飯事だ。だが赤司は何故か(ミスディレクション?に)驚かない。

赤司はタオルで汗を拭いながらキョロキョロして黛を探す。

「…すまない。」

他をあたるのか赤司は一言残して去っていく。

どうせまた一緒に帰る約束でもするのだろう。

そう察しながら記録を録っていく。

黛と赤司の関係はただの先輩後輩ではない。それは俺を含めてほんの一部しか知らない事だろう。彼らは云わば「恋人関係」なのだ。

「……何で隠れんだよ。」

俺はボヤく。寄り掛かっている倉庫の扉がガタッと音を鳴らす。すると声が聞こえてくる。

「……アイツオレのケツを狙ってきやがる。」
「知るか。」

実は黛はずっと倉庫の中に隠れていた。隠れるのはいいけど、俺を巻き込まないでくれ。

「お前以外に頼るやついねぇよ。」
「実渕は。」
「お前知らねぇだろ。赤司にキスマつけただけでボール投げつけられたんだぞ。」

つまり実渕は姑か。葉山と根武谷は論外だし……

「虹村は。」
「オレアイツスキジャナイ。」
「何で片言。」

好きじゃないなんだなと内心ツッコミながらしっかり仕事はこなす。

「……あ。」

赤司が鬼の形相で此方に向かって走ってくる。多分黛の居場所がバレたのだろう。俺は面倒に巻き込まれる前に然り気無くドアから離れる。そう、自然体で。

スパーン!

「…げっ!」
「見つけたぞ千尋。」

語尾にハートが付きそうな笑顔。黛は白い顔を青ざめさせ、抵抗する。

俺はミスディレは使えないが、被害に遭うのは勘弁なのでそっとその場から離れた。

今日も男バスは平和です。
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