※お題箱から「カードゲームをするボルイウェ」
※恋人関係で、過去捏造あり

「ボル、今日こそお前に勝つ」
ボルセルの自室を荒くノックし、返事をする前にガチャリと開けた人物はイウェインであった。
ボルセルはソファーに寛ぎ、コーヒーを飲んでいた。嵐のように勢いよく現れたイウェイン……公にしてはいないが、彼とは恋人関係にあたる。
眉間にシワを寄せ、手に持っていたのはトリプルトライアドのカードかと思えば黒と白のチェック柄が見えた。
「今日はこれで勝負だ 」と息巻いてボルセルの対面に座る。そしてケースを開いてシャッフルする。
ボルセルはその様子を静かに見守る。
ボルセルの趣味はトリプルトライアドだ。時折冒険者たちと勝負することもある。イウェインともやることは多々あるが、圧倒的にボルセルの勝率が多い。負けず嫌いの恋人は今度はトランプで勝負をするというのだ。
「今日は何をするんだい」
「ババ抜きだ」
意外な答えにおや、と驚くボルセル。シンプルだが、終盤の心理戦により勝敗が決まる、とボルセルは思っている。ボルセルがクスクス笑うとイウェインは睨みつける。
一瞬手が止まったが、イウェインはカードを配った。
「こういうのは大人数でやる方が楽しいんだけどね」
「勝てねえから勝てるやつにしたんだよ」
「なるほど。キミなりの考えなんだね」
よし、とイウェインが発すると手札は配り終えられたようだ。お互い手札を確認し、揃ったカードを場に捨てていく。
ジョーカーはボルセルの方に行ったようだ。
「じゃあ始めるぞ」
その一言で勝負が開始された。
しばらく黙々と互いの手札を引いていく。
揃う時もあれば揃わない時もある。一種の賭けである。ジョーカーはボルセルとイウェインの間を何度か渡った。
「イウェインはさ」
「おう」
「女性とお付き合いしたことあるんだっけ」
「一応」
「どうだった? 」
この会話の間にもカードを取り合う作業は進む。
少しずつ互いの手札は減っていく。
「どうって……」
「いや、結婚とか考えたことあるのかなって」
「どういうことだ」
ボルセルの言葉に気を取られている内に、ボルセルの手札はあと1枚になっていた。
つまり、イウェインの手元にジョーカーと1枚が残っている。
「そろそろ落ち着かない? イウェイン」
「……は? 」
「僕たちもそろそろ結婚を考えてもいいんじゃないかなって」
ボルセルは真っ直ぐイウェインを見つめた。イウェインはそれから目を逸らす。
「じょ、冗談はやめろ」
「僕は冗談なんかつかないよ」
イウェインがカードから目を逸らした瞬間に手札を取られ、イウェインの手元にジョーカーが残った。つまりイウェインの負けだ。
「あっ」
「ずっと目が泳いでたよ」
明らかに分かりやすい反応にボルセルはクスクス笑う。
「……んな冗談で人をからかうなよ! 」
「あぁ、あれは冗談でもなんでもないよ」
また負けたことに頭を抱えているイウェインの隣にボルセルは移動する。
「僕は本気でそう思っている」
「……お前……」
口説かれた気分のイウェインは耳を真っ赤に染めた。
「お前には本当に勝てねえな……」
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