※色々ご都合主義ですので実際のストーリー、コンテンツと異なる点が多々ありますが気にしないでください。

至点の座 アルカディアは今日も賑わっていた。
挑戦者たちがライトヘビー級に挑み、両者の熱い戦いを期待しリング外から歓声が上がる。
ブラックキャットことヤーナも彼らの対戦者としてリングに立っていた。
「覚悟しな! この爪の餌食になってもらうよ! 」
かつて英雄と呼ばれた彼らはブラックキャットの攻撃をかわす。時にミスをしダメージを受けるが、鍛えられた連携プレイで回復、フォローしブラックキャットに勝利する。

試合後、ヤーナは控え室に戻る。すると彼女がセコンドとして務めているノアが待っていた。
「お疲れ様〜!」
「あれ? ノア、なんでいるんだ」
「暇だから来ちゃったし、それに……」
えへへと誤魔化すように笑うノアはチラリと画面を見る。そこには次の対戦者、ハニー・B・ラブリーが画面に映っていた。
「あ〜なるほどね? 」
ヤーナは事情を理解し、ノアの隣に座りスポドリをごくごくと飲む。
ヤーナはノアがハニー・Bに熱い思いを秘めていることは打ち明けられているので知っている。このことは内密にと口止めされているが、ヤーナは明らかに両思いだろうから別に今更じゃね?と思うが口にしないのも優しさだろう。
試合が始まった。ハニー・Bの試合は必ずモニター越しというのはお決まり故、対戦相手以外直接見れない。それでもノアは目を輝かせて黄色いペンライトを握りしめていた。いつの間にそれを取り出していたんだ。
『みんな〜ハート連打の準備はいいかぁ〜?』
とハニー・Bがコールをかけると「いぇぇぇい!!」とノアが大声を出す。2人きりだから迷惑はかけないがその声量にヤーナは思わず耳を塞いだ。
「可愛いよ〜〜Bちゃーーーーーん!! 」
「うっさ……! 」
嬉々としペンライトを振り投げそうな勢いでブンブンふるノア。ヤーナは嬉しそうな彼女の顔を見て微笑んだ。
残念ながらハニー・Bは負けてしまったが、「可愛かった〜」と手を合わせて尊い、と言わんばかりに拝んでいた。
「あ、やばっ、忘れてた」
ハッと我にかえったノアはラフな服装からタンク装備に衣装チェンジする。
「え、まさか次の試合出るの!? 」
「うん、忘れてたけど、間に合いそう。行ってきます! 」
ノアは瞬間移動したかのように消えた。次の対戦相手はブルート・ボンバーだ。急に隣がいなくなり、ヤーナはひとり寂しく2杯目を開ける。
するとズカズカと足音をたてて入ってくる人物は大層ご立腹のようだった。
「ムキーーーーッ!!! 」
「試合見てたぜ〜」
「もう、本当にムカつくんだけど! 」
入ってきた人物、ハニー・Bはノアが座っていた椅子に座る。まあまあ落ち着けって、とヤーナはハニー・Bにエナドレを差し出す。ハニー・Bはムスッとした顔で受け取ると即座に開けてゴクゴク飲み干す。
「あいつなら今からの試合に出るらしいよ」
「……はぁ? なに、あの子来てたの」
「さっきまで一緒に見てたしな」
と一言添えると「はぁ!?」と声を大きくする。ヤーナは再び耳を塞いだ。声がでかいのは似たり寄ったりかよ……と聞こえないように小声でボヤいた。
「……さっきの試合で醜態晒してるのに、合わせる顔ないわよ……」
ハニー・Bは落ち込んだ表情を見せた。ヤーナは珍しいとばかりにハニー・Bの方に視線を送る。
そしてブルート・ボンバーとの試合が始まった。
レギュレーターを一切使わず、生身で挑む挑戦者立ちの中に背中に大剣を背負った少女もその中にいた。
「アイツは別に気にしないと思うけど」
「……恥を承知で話すけど、私あの子の事が気になってるの」
ヤーナは心の中で(知ってる。というか確実に好きだろ)とすかさずツッコミを入れつつ、「へー」と適当に返事をする。対してハニー・Bはモニターをじっと見る。そこには普段のあどけない表情とは一転、血に飢えた獣のように牙を向いて笑うノアの姿があった。
「この顔が好き。この顔で、私に向かってきた時、この顔が苦痛に歪んだらどれだけ楽しいんだろうかってついつい想像しちゃうの」
「アンタもアンタで変わってるよなぁ〜……」
片方は純粋な愛だが、片方は歪んだ愛だろう。どちらも互いを好きという気持ちに変わりはないが、まあノアもノアでハニー・Bの裏の本性を承知の上で好きだと言っているのだから相性はいいのかもしれない。
「でもあの子はあれから全然私に対戦を依頼してこない。ずっとブルート・ボンバーかウィケットサンダーばっかり……ずるい……ずるい」
だんだんハニー・Bの顔は歪んでいく。無自覚だろうが嫉妬に近い。酷く恐ろしい顔でヤーナは思わず恐怖で震えた。
「あの子を私のものにしてやりたい……」
ハニー・Bは親指を咥えて強く噛んだ。
初めて見る顔にただただヤーナはハニー・Bを直視することが出来なかった。
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