━━━━━━━━━━━━━━━
「っ!! 」
夜中2時、サンソンは飛び起きた。冷や汗をびっしょりかき、先程見たものは夢か、と理解すると深くため息をついた。
「……どうした」
隣で寝ていたギドゥロが声をかける。きっと、うなされていたサンソンの声で目が覚めたのだろう。どこか眠たげな顔で様子を伺っていた。
「……いや、すまん……変な夢見た」
まだ脈打つ。平然を装うとするが、ギドゥロにはお見通しだろう。長い手がサンソンの腕を引っ張り、自分の胸におさめる。サンソンは後ろに倒れびっくりするが、ギドゥロの温もりに安心を覚えた。
「どんな夢を見たんだ」
ギドゥロはサンソンの背中をトントンと優しくリズム良く叩く。それが何とも心地よく、しばらくすればだいぶ落ち着いてきた。
「昔……の夢」
「昔? 」
「……あぁ、昔少しな……嫌がらせを受けていた頃があってだな」
サンソンは若い中で、大牙士という階級にまで上り詰めた人物だ。冒険者でもない限り、双蛇党所属の軍人たちの中ではスピード出世だったであろう。それをよく思っていない上や同期たちからの嫌がらせや妬みなど言われ続けていた。
だがサンソンのことだから気にせず自分の仕事だけに打ち込んでいた、とギドゥロは思っていたが……。
夢にまで出てくる過去のこと。自分には想像がつかない。単に適度な生活を送れればそれでいいギドゥロにとって、出世など考えたことも無かった。
サンソンは真面目だ。真面目すぎて逆に自滅していく可能性もまだある。もう少し気楽に考えられないかねぇと思ったがたぶん改善することは難しいだろう。
「サンソンはすげえよ」
ギドゥロから意外な言葉が聞こえ、うつらうつらしていたサンソンは目を見開いた。今まで自分のことを褒めたことがないというのに。
「……お前……なんか変なもん食ったか? 」
「るせぇ、変なこと言ったみたいに言うな」
せっかく褒めてやったのにと呆れたギドゥロ。
サンソンはふふと笑った。眉間に寄ったシワが解れ、眉が下がったことに安心する。
「俺は現状維持つか、このままがいいのによ、サンソンは変えよう、変わろうとするから心配になるんだが」
ギドゥロもサンソンの横で見てきたもの。それは打ちひしがれても負けずまた立ち上がる姿だった。
恐らく絶望に陥っても窮地に立たされてもどうにか切り抜ける根性はあるのだろう。
「お前がいるから…俺は頑張れる……」
サンソンの言葉に思わず2度見するが、寝ぼけていたのか今やすっかり腕の中で眠っている。
急なデレかよ!!恋人の可愛さに眠れなくなったギドゥロであった。