酔った光(容姿ひろし)に逆お持ち帰りされるダングリくん

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ふぁさっと柔らかい音をたてて押し倒された。キョロキョロと視線を泳がすが、熱い眼差しにダンシング・グリーンは困惑した。
彼を押し倒した男、アルカディアでは生身の挑戦者として界隈を賑わせている、かつて世界を救った英雄、光の戦士だった。光の戦士はすんっとすました顔でダンシング・グリーンを見つめていた。
しばらく2人の間に沈黙が流れる。光の戦士は「あつ」と小言を漏らすと上着を脱ぎ出した。装備自体薄いため、呆気なく素肌が露になる。
同じ男とは言えど自分よりも鍛えられた身体はつい見とれてしまう。数々の傷跡さえ生身で戦ってきた証なのだろう。すげえ……と唾を飲み込んだ。まじまじと見つめていると不意に整った顔が近づいてくる。思わず目を閉じると唇が触れた。先程まで飲んでいた酒の匂いが香る。息をしようと口を開ければ舌を割り込まれ、絡め取られる。くちゅ、といやらしい音が耳にハッキリと届いた。

──数時間前まで、普通に楽しく飲んでいたはずなのに、とぼんやりとした頭で考える。気付いたら生身の挑戦者は出来上がっており、上着を脱いだ。そこまでは良い。だが、その下に着ていたシャツまで脱ごうとしていたのをさすがにその場にいた皆が止めた。すると男はダンシング・グリーンの方をじっと見つめて、今されている口付けと同じことをしてきた。その時は状況を受け入れられず固まってしまったが、腰が抜けるほど上手かった。崩れ落ちそうなダンシング・グリーンを慣れた手つきで支えて熱いキスをする挑戦者。もはや誰も止める気は起きず、2人を放置して帰ろうとまでしていた。
その状況を横目にハッと我に返ったダンシング・グリーンは挑戦者を押し返した。
「おいおい、飲みすぎだぜ〜?」
自分のペースを崩されたダンシング・グリーンはサングラスを正す。すると男はダンシング・グリーンの手をとる。
「ダメか? 」
その一言を理解するとダンシング・グリーンは朝黒く焼けた肌でも分かるくらい真っ赤に染まった。まるで子犬のように眉を下げてねだる姿に気を許してしまいそうになった。だが、ダンシング・グリーンも男だ。相手も男とは言え、ワンナイト……という訳にも行かない。手をそっと振り解き、「そういうのは女とやりな」とあしらい、背中を向けたが、背後から抱きしめられ、尻に硬いものが当たった。
嘘だろ!?と動揺が隠しきれないダンシング・グリーン。首元で「帰らない」と言われキツく抱きしめられた。なんでオレなんだ……と困惑しながらも、本気で帰してくれそうにないこの男を連れて渋々ホテルに入り、冒頭に至る。

女なら喜んでお持ち帰りしてたんだけどなぁと考えている中、唇は離れた。ふと下を見ると不可抗力と言うべきか、自身もすっかり興奮してしまっていた。その次に目に入った男のものの大きさに思わず2度見してしまったが。
……でかい。
まだ脱いでいないが、硬く主張するそれは明らかに大きいと分かる。内心ドン引きしてまでいる。
ダンシング・グリーンは冷や汗をかいていた。まさか掘られる訳ないよな、と。思わず貞操の危機を感じ、どうにかして逃げねばと回らない頭を回して考えるが、左手をガッチリ握られた。
「ひっ……」
思わず小さな悲鳴が出てしまった。視線がかち合った男の目はすっかり据わっていた。蛇に睨まれた蛙とはこういう事だろうか。いやカエルの魂入れてるのは偶然だけども!!
「逃げるなよ」
思考を読み取られていたのかとばかりに低い男の声は尚恐怖を与えた。
さようなら、オレの貞操。
さようなら、オレの処女……。
すっかり力の抜けきったダンシング・グリーンに対し、男は開いてる左手でダンシング・グリーンのズボンを器用におろした。下着まで手をかけられ、ぶるんっと元気よく飛び出した息子が恥ずかしくて思わず開いてる右手で顔を隠した。
先程のキスで興奮してしまったそれを優しく握ると上下に動かす。ゆっくりと動かすため、痛くは無いがどこかもどかしい。
思わず唇を噛み締め声を我慢するが、息は漏れ出て、感じていることはバレバレだった。
男は上下に動かす手の方をじっと見つめる。裏筋も盛り上がった男根から溢れ出る先走りを。
「っ…あっ、んっ……!」
ダンシング・グリーンは自分でする時よりも気持ちいいと感じてしまった。もちろん女性に奉仕をしてもらう時くらい。だが、同じ男同士だからか尚更感じる扱き方で、我慢するのもキツい。
息を吐きながら快感に耐える。男もやめるつもりはないのか、溢れる先走りと指を絡めて、滑りやすくなったそれを追い詰めるように扱く手を早める。ビクッと時折大きく体が跳ねる。
「……ぅ、あ、やめ……てくれ……っ」
本当にイきそうになると絞り出した声で制止を求めるが男は無視する。手を動かし続け、絶頂に向かわせる。ダンシング・グリーンの息遣いは早くなり、言葉を出すのも困難だった。
イきそう、無理だ、イく、イく……!!
手を握る力が強まったと同時に男の手に白濁を吐き捨てる。
頭がボーッとする中、乱れた息を吐きながら力無く寝転がっていた。押さえつけられていた左手は既に自由になったが、絶頂感から抜け出せず、そのままであった。
すると下から金属の擦れる音がする。視線を向けると今度は男が下半身を脱ぎ出した。立派なそれが目に映る。ぼんやりとした中で、本当にでけえな……と心の中で呟いた。そしてふと疑問に思ったことがある。
「アンタ……男を相手したことあるのか? 」
随分慣れた手つきで行為を進める。だが、男から返答は無かった。ダンシング・グリーンの足を大きく開かせる。情けない格好をさせられ顔が真っ赤に染まる。「やめろ、恥ずかしい……」と口では抵抗を述べるが、脱力しきった身体は動かせなかった。
「っ……! 」
男はダンシング・グリーンの穴に触れた。本来ならそこは挿入される所ではないのだが。少し乾いてしまった指を1本入れた。
痛くはないが、変な感じがした。ダンシング・グリーンの眉間にシワが寄る。指はゆっくり抜き差しされる。何とも言えない感覚に息を漏らす。
「まさかオレが掘られるとは……思ってもなかったぜ」
微かに震えた声で呟く。パーティー野郎と呼ばれた男はいつも女を抱く側だったというのに、ダンス(試合)で負け、ベッドでも負けるという屈辱を味わっていた。
だが、疲れ始めていたダンシング・グリーンという仮面を剥がすきっかけを作ってくれたのはこの男だった。それには素直に感謝をしている。
男はただひたすらに中を解すことに集中していた。
ズポズポと抜き差しされる速さは増していき、だんだんと違和感が無くなっていく。正直どこか気持ちいいという感覚さえ芽生えてきた。
「っぐ……あっ、」
ケツを弄られているのに情けねえ声が出ちまう……と内心焦りながらも与えられる快楽に少しづつ沼っていく。
「痛く、すんなよっ……」
ダンシング・グリーンは、諦めたと言うべきだろうか。現状を受け入れ始めた。中を弄られ、自ら足を開き始めたのだ。時折ビクビクと腰と足を震わせる。中を弄る指は気づけば2本に増えていた。そして、奥まで届くと腹側をトントンと指先で叩き始める。
「うぐっ……!? 」
ビクッと大きく震える。なんなんだ、さっきの痺れはとパニックになっていると、男はここか、と目星をつけたようにそこを繰り返し指先で刺激する。
「っあ、あぁ……! 」
自身を触られる感覚とはまた違う快感が走る。思わず力が入り指を締め付ける。男は気にすることなくダンシング・グリーンの中を一点攻め続けた。
「まっ、それ、む…あっ、あっ…」
自分でも知らないところを他人に探られ、覚えのない感覚に困惑する。トントンとリズム良く叩かれ、体に響くそこに自身はまた熱を持ち始めた。
やめてほしいと願おうとするも声に出せず、頭はもっと、と求める。
が、急に指を抜かれ刺激がおさまり、物足りなさを体が送る。すっかり元気を取り戻した自身は頭を振る様に震えていた。
「入れるぞ」
珍しく言葉を発した男はどこからか小さな袋を取り出し、我慢の限界とばかりにはち切れそうなそれにクルクルと巻き付ける。
いれ……?と理解が追いつかないダンシング・グリーンは息を切らしながら男の顔を見つめた。ヒクヒクと動くそこに宛てがわれた瞬間、男がしようとすることを理解し、待ってくれと言おうとするが、先っぽを入れられ、痛みのあまり声を詰まらせる。
「っ…がっ、い、てえ……っ」
男はダンシング・グリーンと繋がったそこをただ見つめていた。ジンジンと痛む穴にダンシング・グリーンは涙を目に浮かべていた。が、男はお構い無しにゆっくりと挿入する。
中をでかい異物に圧迫され、苦しくなる。ダンシング・グリーンは先程とは異なるものに唇を噛み締め、手を握り耐えていた。
それを見かねた男は顔を寄せる。そして再び口付けると先程と同じように甘いキスを交わした。
酒の匂いはだいぶ抜けていたが、ダンシング・グリーンは痛みのあまり眉間にシワを寄せている。
まるで恋人同士がするかのようなキスにだんだん脳が蕩けていった。フワフワとする感覚に溺れていこうとするが、尻からの痛みが現実に引き戻す。
「んっ、ふ……」
ちゅっ、ちゅと水音をたて、舌を絡め、何度も口付ける。先程は手首を強く握ってきた手も指を絡め合うように両手を握った。
そしてだいぶ痛みが引いてきた頃に男は小刻みに腰を動かす。ダンシング・グリーンの眉間のシワも解けてきた。
本来異性同士でする行為をむさ苦しい男同士でするなど滑稽なことだ、と内心嘲笑う。が、この男にされる事が全て嫌ではなかった。もっと欲しい、とさえ思ってしまった。
(あー……クソッ)
ダンシング・グリーンが自己嫌悪に陥っている間に男は腰を振るスピードを早めた。パンパンと肌と肌がぶつかる音が部屋に響く。
「うっ、ぐっ、んっ……! 」
腰を打ち付けられ、揺さぶられる。そして先程中途半端にされていた刺激が再び襲ってくる。太く立派なそれで中を貫かれ、気付けばあと少しで根元まで入りそうだった。
「あっ、がっ、うっ…うっ、んっ」
痛みはすっかり消え、男打ち付けられた振動と押し上げられる快楽とハマってしまった口付けにダンシング・グリーンは気持ちよさに溺れた。
舌を絡められている中、声が漏れ出る。まるで女のようにすっかり開かれたそこを男は攻め立てた。
「う、あっ、やっいっ、あっ」
ジュルッジュッ
パンパンパンパン
上下からいやらしい音が耳を支配する。
口と両手、体、そして中から男の熱を感じる。
今全身で生身の挑戦者を感じている。
「んっ、あ、も…い……っ」
中を十分に刺激され、絶頂を迎えそうになる。
「あっ、あっ、い、くっ……」
男もそろそろ限界だったようで、彼も声を漏らし始めた。
「あっ、むり、イく、イく、イっ──」
2度目の絶頂を迎えると同時に意識が途切れた。

◇◇◇

次に目を覚ました時には見慣れた男がいた。
「おはよう、ダンシング・グリーン」
金髪のヘイザ・アロ族の男、彼は自分と同じクルーザー級に属する現王者、ハウリング・ブレードだった。
「……アイツは? 」
一夜共にしたあの男が見当たらない。そして、ここはホテルではなく、居住区内の自室であることを認識した。
「彼ならキミを寝かせてすぐ行ってしまったよ。どうやら飲みすぎだみたいでね」
苦笑を浮かべるハウリングブレードにダンシング・グリーンは思考を巡らせる。
「今日は試合はないだろう? ゆっくり休みなよ。でもまあキミも飲みすぎ注意だよ」
ボクは伝えること伝えたし、もう行くねと立ち上がると部屋から出て行った。
しばらくボーッとして、尿意を覚えたダンシング・グリーンは起き上がろうとするが足腰が痛くて動けない。何よりもケツが痛い!
あれは夢ではなかった……という事実に顔が真っ赤になった。這いずるようにトイレに向かう。何とかトイレを済ませ、ヨボヨボとした歩きで洗面台に向かう。
電気をつけ、眩しさに目が眩むがしばらくして瞬きを繰り返すうち慣れ視界、一番に目に入ったのは。
「はぁ!? 」
首に咲く赤い花だった。
思わず2度見する。が、擦っても消えないそれはどうやら現実のようで……。
わざわざ見える場所に付けられた意図理解するとダンシング・グリーンは膝から崩れ落ち、顔を覆った。
「嘘だと言ってくれ……! 」
これからどういう顔でアイツと会えばいいんだよ!
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