ダンシング・グリーンが最近おかしい。
そう思ったのは同じクルーザー級の闘士、ハウリングブレードだった。
明らかにぼーっとしている事が多い気がする。
「ダンシング・グリーン」
「ひゃ!? あ、……どうしたんだハウリングブレード」
ハウリングブレードに声をかけられ上ずった声で返答するダンシング・グリーン。彼のかけているサングラスがズレ、黄色い瞳が見えるがかけ直されたことによりすぐに見えなくなった。いつも通りの"ダンシング・グリーン"を振舞おうとするが、様子がおかしいのは事実だった。
「……具合でも悪いのかい? 」
ハウリングブレードは心配そうに問いかける。後ろにいるシュガーライオットは気にする素振りすら見せず、彼女の思いついたアートをスプレーで描き足していた。
「二日酔いが抜けてねえのかもな……」
「あっ」
悪いが、今日は休ませてもらうぜと、どこか誤魔化すように控え室から出ていってしまった。
待ってと言いたかったが伸ばした手は空を切った。
ダンシング・グリーンを追いかけられなかったハウリングブレードは踵を返し、ベンチに座る。一通り描き終えたシュガーライオットはハウリングブレードの方を見るなりこう言った。
「べちゅに、放置してもいいと思まちゅけど」
「……そう、かな」
「あたちにはよく分からないでちゅけど、1人になりたい時もあるんでちゅよ」
シュガーライオットの言葉にそうか、と納得させたハウリングブレード。シュガーライオットは「まあどこかの誰かしゃんもあんな風な時期がありまちたけどね! 」
ついでで何色がおちゅき? とシュガーライオットはハウリングブレードに聞く。しばらく考えた後、青かなと言うが、シュガーライオットが取り出したのはピンク色のスプレーで、それを空に振りかけると小さなハートになりふわふわと浮かぶ。
「嘘ちゅきは嫌いでちゅ」と目を細めてじっと見つめた。
「……参ったな」
シュガーライオットには勝てないと悟った。
◇◇◇
一方、ダンシング・グリーンはソリューション9の街をさ迷っていた。
特に行くあてもない訳では無い。
ただ、探している人物がいた。
その人物は外の人間らしいため、いつこちらに来るか分からない。ダンシング・グリーンはいることを期待して今日も彼を探した。
モザイクコーヒーでコーヒーを買い、椅子に腰かけネクサスアーケードを見張る。どうやら外の人間たちはここによく集まっている。もしかしたらそこに彼は来るかもしれないと期待して。
「ダンシング・グリーン」
「ふぇ!? 」
ふと後ろから声をかけられ、振り向く。驚きのあまりコーヒーを落としてしまい、その衝動で真っ白なズボンに黒いシミが出来てしまった。アイスコーヒーであった為、冷たさに悶える。
「大丈夫か!? 」
服に零れたことを心配する男こそ、ダンシング・グリーンが求めていた人だった。
生身の挑戦者の声に人々の視線が集まる。また数人、ウクラマト王と白いフードを被った少女も心配そうに駆け寄ってきた。2人とダンシング・グリーンのことを心配してくれた。
「アタシらの事はいいから、そいつの介抱してやってくれ」
「おう」
隣のフードを被った少女もウクラマトに同意するように頷いた。そして男はダンシンググリーンを姫抱きする。
「ふぁ!? 」
「静かに」
急に男に姫抱きされ、ダンシング・グリーンはまた驚く。が、静かにするよう促されたダンシング・グリーンは言われた通り黙った。
「じゃ、後で合流すっから」と2人の女に言い残すダンシング・グリーンを抱えて去っていった。
予想外の展開にダンシング・グリーンは嬉しさもあったが、動揺の方が大きい。
会えたことに対し何よりも嬉しかったが、まさかコーヒーをこぼした上に挑戦者に姫抱きされるとは誰が想像できただろうか。
男が向かう先は見慣れた風景であった。それを見た瞬間、ダンシング・グリーンの胸は高鳴った。
前回と同じホテルに入った男はダンシング・グリーンをベッドに下ろし、ズボンを脱がす。下だけパンツ姿に晒されたダンシング・グリーンは思わず顔が真っ赤になる。が、これは致し方ない事だと割り切った、つもりだったが……。
「勃起が止まんねぇ……」
シミを落としにシャワーに向かった男を待っている間、この前の出来事を思い出したのかダンシング・グリーンの自身はテントを張っていた。
「……あーくそっ」
条件反射と言えば仕方ないのだが、向こうから聞こえる水音に余計な想像が湧き上がる。
「……」
ダンシング・グリーンは少し考えたあと、パンツをずらして自身を握る。そしてゆっくり手を上下に動かす。
目を閉じれば以前あの男にされた行為が目に浮かんでくる。それが尚高ぶらせるには容易だった。
「っは……」
息を飲み、快楽に浸る。だが何か足りない。
その答えは分かっているのに、言葉に出せない。
吐息を漏らしながら右手は動かすことをやめない。むしろ早まっている。先走りが溢れ、指に絡ませれば滑りが良くなる。だいぶ固くなったそれは時々ビクビクと震える。
が、満たされない。ダンシング・グリーンは無視していたかったが、疼く感覚が主張してくる。
扱く度にヒクヒクと何かを欲していた。男は一瞬考え、左手を後ろにやったその瞬間、水音が止まり、ガチャリとシャワー室のドアが開く音がした。
──やっば!!!
今自慰をしているのを男に見られたらなんと言われるか。ダンシング・グリーンは慌ててパンツを上げる。だが興奮しきったそれはパンツにシミをつくる。
「とりあえずシミは落ちそうだ」
男は何も知らない顔で戻ってきた。それに対し、ダンシング・グリーンは安心したのも束の間、男は眉間にシワを寄せてダンシング・グリーンの右手を掴んだ。
「ナニ……してたんだ? 」
男はダンシング・グリーンを真っ直ぐに見つめる。その目は逃がさないとばかりに鋭かった。ダンシング・グリーンは冷や汗をかいて口をパクパクと動かす。
「教えろ」
低い男の声に喉と後孔がキュッと締まる。
「……あ、いや……その……」
自慰をしてましたなど素直に言えるはずもなく、目を泳がせる。それを見た男は口角を上げ、俺は全部覚えてるからなと一言放った。
「ふぁ!? 」
「……期待、してたんだろ? 」
ぶわっと真っ赤になるのが自分でも分かる。生身の挑戦者は握っていた手を緩めて指を絡ませて握り直す。
「……わざわざここに連れてきた意味、分かってるよな? 」
吐息混じりの色気のある声にダンシング・グリーンはもう理性を手放しそうになっていた。
そうだよ、アンタに犯されてからずっとアンタのことしか考えられない。自分で慰めても満たされない。
「責任、取ってくれるよな……? 」
──アンタ無しじゃオレは満たされないんだ
とようやく呟けば、男は返答する代わりにダンシング・グリーンのサングラスを外し、深い口付けをした。
「〜〜〜〜〜っ!!んんんっ!!」
反り立ったそれを慰めるように男は絶妙なバランスで扱く。興奮が止まらないダンシング・グリーンは男の首に腕をまわし、腰を振る。先走りがトロトロと溢れ、男の手を濡らしていく。絶頂まであと少しという所で扱く手を緩められ、焦らされる。
蕩けた顔で舌を絡め合い、口付けを交わす。男と目が合えば見つめ合う。ダンシング・グリーンはイきたいと主張するように自ら腰を振り、男の手を使って慰める。が、男は意地が悪いので根元を握り、それを阻止する。
イきたいのにイけない。どうして、そんな意地悪するんだと訴えるように見つめる。
男が口を離すと、こう告げた。
「本当はどこ触って欲しいんだ」と。
ダンシング・グリーンはその言葉にゾクッと鳥肌をたてる。
口を開けたまま目を泳がせるダンシング・グリーンは吐息を漏らして声を出そうとするが、なかなか口に出せない。そう、出せないのだ。
羞恥心のせいで分かっているのにそれを口に出したくない。
男も分かっているはず。だがダンシング・グリーンの口から言わせたいのだろう。
パクパクと空気を噛むと、意を決したダンシング・グリーンはこう答えた。
「……ケツ……」
「ん? 」
「ケツ、触って欲しい……」
男は考えたように1度目を伏せると、ダンシング・グリーンを腹ばいにする。
「へ」
間抜けな声を出したダンシング・グリーンに構わず挑戦者はダンシング・グリーンの尻を揉み始めた。
期待はずれな行動、しかも尻肉を揉まれたダンシング・グリーンは困惑の顔を浮かべる。
「アンタ、何を……」
「ケツ触って欲しいんだろ? 」
尻を揉みながら真顔で告げる。ダンシング・グリーンはかぁぁっと真っ赤になった。
「違っ……ケツの穴だっつうの! 」
ヤケクソなダンシング・グリーンは勢いのあまりついに口走った。それに気付き、ハッと我に返り、枕に顔を埋める。
男は「へぇ」と含みのある笑顔を浮かべた。
「風呂入るか」
「えっ」
男は急に服を脱ぎ出し、全裸になる。思わず振り向くとすっぽんぽんな姿に思わず2度見してしまうが、気づけば自分も脱がされ、裸になる。
何が起きたと困惑している合間にダンシング・グリーンは担がれシャワー室へ連行された。
シャワー室にダンシング・グリーンを降ろすとお湯を浴びせる。程よい温かさに緊張が和らいだ。だが男は気が緩んだダンシング・グリーンの体に背後から密着し、手を滑らせる。指先がくすぐったく触れる度に押し殺した声が漏れ出る。
上から下へ指を滑らせ、反り立ったそれを指先でつーっとなぞる。
が、あえてそこはそれ以上触らず後ろの方に手を這わせた。先程まで触っていた尻肉を両手で開けばダンシング・グリーンは力を込める。
「ちょっ……」
「触って欲しいんだろ? 」
そう聞きながら指を中に入れた。あっ、と声が漏れたダンシング・グリーンに男は指を出し入れする。水に濡れている為多少は痛みがマシだろう。
ずっと触って欲しかった場所を探られ、喘ぎが止まらない。
「あっ、あっ……」
ぐちょっと音を立てて指を動かす。中をかき乱され崩れ落ちそうになるのを壁に手をついて堪える。しかし、その体勢は低くなり、尻を突き出す形になる。
それがまた煽る形になり、男は興奮した。
処女ではない、実質2度目の穴にもう1本指を増やす。圧迫される中の感覚に「嘘だろ!?」と驚きを隠せない。指を抜き差しされ、それがまた気持ちよく、頭が真っ白になる。
「あっ、あっ……」
脳が蕩ける。気持ちいい。指だけで既に達しそうだ。ぐちょぐちょと中をかき乱されていると、ピクピクと震える自身にも手を添えられた。そして早く扱かれる。
「あっあっあぁぁぁぁぁ……!?」
前後を攻められ情けない声を出しながら絶頂した。脈打つ自身から白濁が勢いよく吐き出され、目の前の鏡を白く濁す。やっと迎えた絶頂にダンシング・グリーンは力が抜けた。
だがそれで挑戦者は終わらせるわけがなかった。
「んぐっ!?」
油断した隙に指よりも太いものが穴をこじ開ける。
そして、腰を掴んで一気に突き上げた。
「あぁぁぁぁぁ!? 」
奥まで入ってきたそれの衝撃に雷に打たれたように全身に痺れが走る。しっかりと腰を掴まれているため、膝が震えて倒れそうになるのを止められている。震える足と両腕で体を支えている中、男はそれを半分ほど抜き、再び突き上げる。
「ふぐぅ!? 」
目の前がチカチカした。だが痛みよりも気持ちよさが押し寄せてきた。
「すっかり堕ちたな」
男は上からそう零した。楽しそうなその声を聞きながらダンシング・グリーンは意識を保つ。
ゆっくりと腰を引き、そして突き上げる。その度に情けない声を上げるダンシング・グリーン。
それを繰り返していればだんだん慣れてきたのか、小刻みに腰を動かす。
「お゛っおっおっ、んっ、ぐっ、あっ」
パンパンと肌と肌がぶつかり合う。前にも体験したその気持ちよさにダンシング・グリーンは理性など吹き飛んでいた。
気持ちいい。気持ちよすぎる。
男のもので中を突かれる度にもっと、とねだる。ずっと欲しかったものを貰え、恍惚に浸る。
「ん゛っ、あっ、も、い、きそ……」
男のものはダンシング・グリーンのいい所ばかり擦る。前立腺を刺激され、2度目の絶頂を迎えようとしていた。
「イけ」
その一言に大きく肩を震わせる。そして挿れられている穴をきゅっと引き締めた。
「ほら、イけ」
乱雑な言い草だが、ダンシング・グリーンはその一言にビクビクと身体を震わせる。
イき……
「イけ」
あ、無理
「イけ」
イ……
「んあぁぁっ!! 」
男の号令に脳が刺激され、本日2度目の射精をする。ほぼ連続でイかされ肩で息をする。ぼーっと絶頂後の快楽に浸っていると、ずるっと太いものが抜かされる。
「んぉ……っ」
「なぁ」
膝から崩れ落ちたダンシンググリーンの耳元に上から男は囁く。
「俺、まだイってねえんだけど」
「へぁ…」
衝撃の一言にダンシング・グリーンは顔を青ざめる。自分ばかり満足しており、この男は射精(だ)していない。
「あっ……」
「もちろん、付き合ってくれるよな? 」
含みのある言い方にダンシング・グリーンはガクガクと震え恐怖に陥った。
◇◇◇
シャワーから移動し、再びベッドへ
それからダンシング・グリーンは四つん這いで男に犯されていた。
「お゛ぉぉっ♡」
最早何度絶頂したことか。出るものも出なくなり、メスイキという状態にまで達していた。ずっと腰を振っている。男は2度ほど達しているが、すぐ元気になり、まだ足りねえとばかりにダンシング・グリーンを貪った。
「もっ、むり♡でない♡ひっ、あっ♡」
「まだイけるだろ」
「むり、やら、お゛っ♡きもちいいの、やら♡」
「変態め」
そう男が言ったが、どっちの方がだよ、と頭の片隅でツッコミを入れる余裕はまだあったようだ。
バックの体勢で奥を突かれ、より深く繋がる。
ダンシング・グリーンは悟った。
──もう、コイツ無しじゃ生きていけない、と。
体が喜んでいる。この男に尻の中を犯されて。女のように腰を振ってしまう自分の体が怖かったが、それよりも気持ちよさが遥かに上回る。
ハアハアと息を切らしながら互いを求めて腰を振る。本来しないはずの水音は男が中に出した精液の音だろう。
何も考えられない。ただただ気持ちいい。
「あ゛っ♡もっと……♡」
発情期を迎えた猫──否、うさぎのようにヒクヒクと穴を動かす。挑戦者からは結合部が丸見えで、自身をほぼ根元まで飲み込むその秘部が女の物に変わりないくらいエロかった。
「んあ…? 」
急にずるっと抜かれ、気持ちよさの波が途絶える。ダンシング・グリーンは後ろをチラリと見ると同時に足を掴まれ、仰向けにさせられる。
うぉっ!?と体勢を変えられ、それと同時に先程まで挿入されていた穴からドロリと精液が流れ落ちた。
数時間ぶりに互いの顔をちゃんと見た気がした。
キリッと太めの眉、切れ長の目、ディープスカイブルーの瞳、浅く焼けた肌、自分よりも鍛えられた筋肉全てが自分に無いものだった。
「いっ!? 」
しばらく見つめあった後、男は顔を落とした為、キスをするのかと思えば首に激痛が走った。
ジュッと吸い上げる音がする。
それを意識する間もなく、再び挿入された。
「んあぁぁぁぁぁ!? 」
精液で満たされた中は滑りがよく、根元まで入った。突き上げられた衝動だけでダンシング・グリーンは絶頂するが、出るものは出ず、ただビクビクと震えていた。
ジュッ、ジュルッと音をたて、首筋に噛みつき、吸い上げる。男はもちろん腰を打ち付けることをやめなかった。
「あっ♡もっ、いい、からぁぁ……♡」
男に犯されることに快楽を覚えたダンシング・グリーンは背中に手を回し抱きつく。
角度と場所を変え、ダンシング・グリーンの体に赤い花を咲かせていく。もはや触られる場所、吐息がかかるだけでも興奮できるようになったダンシング・グリーンは喘ぎっぱなしだった。
「んあぁぁっ♡も、むりぃ♡いぐっ、いっ、あぁぁぁ♡」
ダンシング・グリーンは絶頂を迎えると同時に意識を手放した。
その数秒後、男も中に本日3度目の射精をするとはぁ、と大きく息を吐いた。
意識を手放したダンシング・グリーンはまさにカエルのように白目を向き、ビクビクと体を痙攣させている。ずぼっと音をたてて引き抜けばビクッと大きく体を震わせ、先程出した精液が溢れ出てくる。
「えっろ……」
すっかり意識を無くしたダンシング・グリーンに触れるだけの口付けをして、綺麗にしてやろうと男は立ち上がった。
◇◇◇
──数時間後。
意識を飛ばしていたダンシング・グリーンは目を覚ます。
「おはよ」
意識を取り戻したダンシング・グリーンに生身の挑戦者は挨拶のキスをする。
ダンシング・グリーンは少しの間記憶を遡り、ようやく思い出すと「うわぁぁぁぁ!! 」と大声を出し、布団をかぶる。その様子を見た男は笑い飛ばす。
「なんだよ、今更」
「やめろっ!! 言うな!! 」
穴があったら入りたい、そんな気持ちのダンシング・グリーンを無視して男は被っていた布団を剥がす。
「ギャーっ!! 」
「まあ落ち着けって」
ビクビクと震える姿は捨てられた子犬のようだった。まあこいつはウサギかつまあまあデカイのだが。
「うさぎは寂しがりなんだろ? 」
その一言にダンシング・グリーンは固まる。そして、差し出された物に釘付けになった。
「お前が呼んだら来るからさ」
それはリンクパールだった。
「……マジで? 」
ダンシング・グリーンはそれを受け取り、早速耳にはめる。男はニッと笑うだけでそれ以上何も言わなかった。
男と約束を交わしたダンシング・グリーンはアルカディアに姿を見せる。
おかえりと迎えたハウリングブレードとシュガーライオットはその姿を「うわ」とドン引きした声をあげた。
2人の反応から、晒された首元に染まった赤い花が咲いていることを思い出し、男に怒号の連絡を入れたのはこのすぐ後のことである。