※ご注意
エタバンの話ですが、実際のエタバンとは異なります(進行状況、セリフ等)
(20組もエタバンあげてる癖に話を全く聞いていないからです)
以上を了承ください

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「ふふ、始まるわよ。もう、泣きすぎよ」
「うぅぅぅ…何度見ても泣けるのじゃ」
「何度見守ってもおめでたすぎて泣いちゃうわね、あらあら…あなたは毎回泣いてばかりね」
「しっかりしろ。1度きりなのだからしっかり此度も祝福するのだ」
「あの子たちも私たちみたいに幸せになれるわよね」
「うむ」
「こやつらは困難を乗り越えてきたらしいからな」
「我らのように一度別れようともまた巡り会える」
「それでは全員揃いましたかね」
「そういや、あいつはどこ行ったんだい」
「彼なら──……」


──某日、午後14時前。十二神大聖堂に人々は訪れる。本日は快晴。
光の戦士こと、かの冒険者もベストマン衣装で身を包み本日のエターナルバンドに参列していた。
大聖堂の中に入ると色とりどりの花で飾られ、美しい白色の壁が陽の光で輝き、眩しく感じる。
辺りを見回すと見慣れた顔がちらほら見える。グリダニアの各ギルドマスターや神勇隊、鬼哭隊の面々も正装を身にまとっていた。普段軍服だったりするためどこか新鮮な目で見れる。
席はまだ皆立ち話をしているためがら空きだ。冒険者は無難に少し後ろ側の端っこに腰をかけた。
初めて大聖堂の中に入るが、すごく美しいと思った。前には十二神のシンボルも掲げられている。
ぼうっと辺りを見回していると「やあ」聞きなれた声が聞こえ、振り向く。そこにはボルセル大牙佐がいた。
「隣いいかい? 」
その質問に間髪入れず、ええどうぞどうぞとボルセルを隣へ招く。失礼するよ、と一言添えてボルセルは座った。
「今日はとてもめでたい日だね」
そうですね、などと当たり障りのない会話をしていく。冒険者は1つ疑問に思っていた。
こんな偉い人が、前に座らないのか、と。
「あ、あの、ボルセル大牙佐? 」
「ん?」
「ま、前に行かないんすか……」
恐る恐る前の方を指さすとボルセル大牙佐はニッコリと笑って「共に行こうか」と一言。
「えっ」と濁点がつきそうな程変な声が出てしまったが、ボルセルは気にせず「さあ君も前に行こう」と手を引いていく。
「君は彼らにとって恩人でもあるんだから前の席を陣取っても誰も文句言わないよ」と、言う。
あの二人に招待してもらった以上、参加は絶対すると決めていたが、後ろでひっそりと見守るつもりだった冒険者は萎縮していた。今度はボルセルの隣に座らされる。親しくさせてもらっている仲とは言えど、やはりどこか緊張する。
「よう、お前も来てたか」
再び聞きなれた低い声が聞こえる。顔を上げると、そこには槍術士ギルドマスターのイウェインがよっと軽く手を上げる。
「い、イウェインさん」
「ボル、お前冒険者いじめるなよ」
「いじめてなんかないさ、遠慮しがちな彼をキチンとした席に誘導しただけだよ」
呆れた顔のイウェインに対して変わらずニコニコと笑っているボルセルである。
んじゃ俺も隣に座ろ、と言いながら冒険者を挟むように座る。おうふと思わず声が出そうになるが我慢した。圧がすごい。
「まさか弟子のエターナルバンドを見に来るとは思いもしなかったけどな」
イウェインははぁとため息をついているがどこか嬉しそうだ。
「あの件があってからだいぶ月日は経ったけど、2人なりに頑張っているからね」
「連れ去られた日にはさすがの俺も動揺したけどな」
そんなこともあったな、と思いにふける。
すると会場内にアナウンスが流れる。
「まもなく開演致します。会場にいらっしゃる皆様はお席へ移動をお願いいたします」
その場にいた皆が各自移動を始め、立ったまま中央バージンロードの方を向いている。しばらくするとシーンと静まり返り、ちょうどその頃アナウンスが再び入る。
「それでは皆様後方入口の方をご覧下さい。ギドゥロ様、サンソン様の入場です」
優雅な音楽が流れる。しばらくすると入口が開かれ、本日の主役の2人が登場する。
ギドゥロとサンソン、2人とも純白のテイルコートに身を包み、サンソンが花束を持っている。2人はゆっくりとお互いの顔を見合わせ、歩き始める。その場全員拍手で迎え入れた。

2人が祭壇に着き、拍手は鳴りやむ。司祭であるミッドランダー男性が話し出す。
「とても良い入場でしたね。それでは次に進みます。皆様ご着席ください」
招待客全員が席に座った頃1度辺りを司祭は見回し、全員着席したのを確認すると次に進む。
「続きまして、指輪交換となります。えー…ギドゥロ様はご自身で貯めた資金で購入されたとのの事です。またサンソン様もギドゥロ様から贈られたとの事です」
斜め後ろからサンソンの横顔が見えるが、サンソンの耳は真っ赤になっていた。対してギドゥロは遠くて見えないが、当たり前だろも言わんばかりにドヤ顔しているのだろう。
「戦歌隊を立ち上げる際、数々の困難に遭遇し、時にお互いの意見がぶつかり合い、すれ違ったと伺っています。ですが、その真っ直ぐな気持ちを受け入れ、その困難を乗り越えたお2人なら、これからもより深い絆が結ばれることでしょう」
冒険者は目を閉じて思い浮かべる。最初はどうなるかと思ったが、立ち塞がった壁を乗り越えられたことも事実だ。ふと視界の端に映ったのは、恩師であるジェアンテルと2人の部下であるまだ幼いエレゼン男性とミッドランダー男性だった。
「それでは、神々に誓いし指輪をギドゥロ様からサンソン様へお送りください」
司祭の言葉と同時に現れたモーグリがくるくると回転すると2つの指輪が台座に現れる。
ギドゥロが指輪を手に取りサンソンが左手を差し出す。ギドゥロが手を添え、左の薬指にはめた。
そしてサンソンも同じように指輪を手に取るとギドゥロが左手を差し出す。同じように左手の薬指にはめると、指輪交換が完了した。
「ただいま指輪の交換が終わりました。続きまして誓いの言葉ですが、ご本人たちの希望により署名となっております」
司祭は本を出し、開いて置く。2人がそれぞれ名前を署名するとそれを招待客に見せる。
「これにて誓いが交わされました。皆様盛大な拍手をお願いします」
わぁっと歓喜の拍手が沸き起こる。ギドゥロとサンソンはこちらに振り向き、照れくさそうに、だがとても幸せそうな笑を零した。
「これより自由時間と致します。ご歓談、記念撮影等ご自由にお過ごしください」
冒険者は真っ先に立ち上がり、祭壇へ登る。そして2人の元へ走り
「おめでとう、ギドゥロ、サンソン」
と祝いの言葉を投げた。
冒険者の勢いに圧倒されたが、2人は冒険者に微笑んで
「おう、こっちこそありがとうな」
「ありがとうございます」
と礼を述べた。
「おめでとう、2人とも」
男女の重なった声が冒険者の耳に届く。上から聞こえた気がしてふと上を向くと、十二神がこちらを覗いて微笑んでいた。
神々にまで祝福されし2人はとても幸せだろうと笑を零した。


一方、大聖堂の外に佇む人影。
はぁ、とため息をついている長身の男。
「君は行かないのか」
その男──エレゼン男性にミッドランダーの男性……小さなオポオポを連れた男が声をかけた。
「行くわけがないでしょう。明らかな嫌がらせとしか思いません」
「でもここまでわざわざ来たってことは本当は祝福したいのだろう」
「……」
エレゼン男性、ヌールヴァルは黙り込んだ。
「そういうあなたは誰ですか」
「俺?俺は名もないただの旅人さ。知人がここにいると聞いて少し寄っていこうと思っただけだよ」
「そうですか」
冷たくあしらうヌールヴァルに男は苦笑する。
「君にも幸あれ」
「……嫌味ですか」
ヌールヴァルが睨みをきかせて男の方を見ると強い風が吹き荒れ、思わず目を閉じる。再び目を開けた時にはもう男は消えていた。
呆然とするヌールヴァル。しばらくして首を振ると、その場から立ち去った。
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