しまった、と後から気付いても遅かった。
ゼフィランは自室に入るとやけに痛い下半身に目を向ける。ズボン越しでも分かるくらい主張しているそれに大きな舌打ちをした。
毒ではなかったことに安心するが、それ以上に薬を盛られたという事実は自分が気を緩めていたという事実でもある。
ギチギチに勃起した自身があまりに痛い為、急いでズボンと下着を脱ぎベッドに座ると触った。薬のせいかいつもより過敏になっているそれは脳に強い刺激をもたらす。欲を放ちたいという思いから自慰をする。
ビクビクと脈打ち、先走りは溢れる。快楽に溺れてしまいそうになる。だが、強く引きずり込まれゼフィランはひたすら右手を動かした。
吐息混じりに声を漏らす。情けないと思いつつも、手を止めれるわけもなく。
小さく呻きながら欲を放った。ドクドクと脈と同時に白い白濁をこぼして行く。だが熱は冷めない。困ったと眉間にシワを寄せる。
「ゼフィ〜」
勢いよく開かれた扉と抜けた声で自分の名を呼ぶ声の主にゼフィランは大きく体を跳ねた。見つかったらめんどくさい人間が来てしまった。また舌打ちをすれば拭いたものをゴミ箱に雑に捨て、布団に包まり寝たフリをする。
「ゼフィ〜」と相変わらず自分を探しているようだが、こちらにはまだ気付いていない。それも時間の問題でガチャガチャと雑にドアを開閉する音が聞こえ、ついに寝室にまで到達した。
「あ」
その一言を漏らせばしばらく静かになる。ん?と聞き耳をたてていると、体に衝撃が走る。
「どーーん! 」
「うぐっ! 」
どうやら勢いをつけてダイブしたようだ。ちょうど股間に当たった痛みに悶えていると布団の上でツバキはモゾモゾとしている。
「早いね珍しい〜」などと布団の上からゼフィランの体を触る。布越しに感じるが敏感になった肌は快感を与える。声を出すのを我慢しているとツバキは首を傾げながら「怒ってる?」と尋ねる。
怒ってはいない。だがタイミングが悪くて気まづいだけだ。それを口にするのも危ぶまれる。ズキズキと痛む息子を治めたいのだが、
「ゼフィ……? 」
「かえ、れ」
ようやく口にできた言葉は突き放すものだった。だがそれでめげるツバキではないと分かっていたというのに。
「なんで」
「具合が悪い」
「かんびょーする」
「いいから……」
「ねえずっと思ってたんだけど」
ゼフィランはツバキの発言に体を強ばらせる。そして間髪入れず「一人でしてたんでしょ」といたずらっぽい声で言われ、耳まで熱くなるのを自覚した。
「なんで言わないの」
「……」
「ねえ」
「……うるさいぞ」
「寂しいじゃん」
寂しいという言葉に胸が締め付けられた。降参したゼフィランは火照った顔を布団から出した。
「えっ……と? 」
いつもならしかめっ面で睨んでくるゼフィランの様子がおかしいと察したツバキは困惑した。今の彼は困ったように眉を下げ、顔が赤い。
「盛られた」
「……? 」
「薬を盛られた」
「まじで」
あの警戒心が強いゼフィが!?と驚きを隠せる訳もなく。「ゼフィも薬飲んじゃうとこうなるんだね」と変なところで感心するツバキに軽いチョップをかましたのは余談だ。
「みーせて」
と布団から降りると思いっきりめくりあげる。まさかの行動に身構えていなかったゼフィランは身をちぢこませて必死に隠した。
シャツだけしか着ていない姿が珍しくニヤニヤが止まらないツバキ。
「やめろ、見るな」
「いいじゃんえっち」
えっちなのはどっちだと突っ込む気力もない。
「見たいな〜」
「……何をだ」
「ゼフィがひとりでしてるとこ」
呆れてものも言えない。だが、苦しい体は早くと催促する。
「あ、おかず必要? 」とにまにまとしながら自分の服に手をかけるツバキ。肯定も否定もしない。ただ本当に運がないと思った。

「おっぱい触る? 」
何故かツバキの方が乗り気だ。服を全部脱いだ彼女はその白い肌をさらけ出す。思わず生唾をのんだ。
ゼフィランは右手で擦りながら左手でツバキの胸を優しく触る。自分には無いその特有の柔らかさが好きだ。男の性だろう。揉まれてもニコニコと、余裕そうなツバキはただ下半身の方を見ていた。
「興奮してんね」
うるさい、と言い返す余裕もなかった。少しばかり動かす右手が早まった気がする。ツバキは手を頬に添えて口付ける。口を開けて舌を出せば招かれ、ゼフィランの舌を絡めとる。くちゅくちゅと絡み合う音がいやらしく、ツバキまで興奮してきたようだ。
「イきそう? 」
「ん……」
短く返答する。絶頂を迎える。息を切らしながらドクドクと溢れる白濁を手に感じていた。
だが興奮が収まることなく、硬さはそのままだ。
「ぜーふぃ」
彼の名を呼んで跨る。そして、秘部を自身に擦り付けて煽る。
「めちゃくちゃにしていいよ」
こればかりは煽りに負けない理性などとっくに無かった。


「あっ、うっ、うっ…♡」
いつもなら余裕があるはずだというのに、薬のせいで何度も欲を吐き出しても収まらない。
ツバキの中は絶頂を何度も迎えたせいかだいぶ引き締まっている。
「ぜふぃ……♡」
名前を呼ぶ余裕もなかった。まるで獣のようにただひたすらに貪り食う。眉間にシワを寄せ、滴る汗など脱ぐう暇もなく。
「えっち…あっ」
「うるさい」
かろうじて出た言葉がそれだった。うるさい口を塞ぐように口付ける。
肌がぶつかり合う音がなんともいやらしく、冷めるどころか熱が増す。
「んっ、ふっ……ひっあっいふっ」
ツバキはゼフィランの首の後ろに手を回す。絶頂を迎える寸前、よくやる癖だ。
「ツバキ……」
「やら、なまえ、みみで」
「ツバキ」
「あっ、あっ、いくっ」
「ツバキっ」
「いく、いくっ……!」
耳元で名前を呼ばれ、絶頂を迎えると同時に腕から力が抜け、だらりと落ちていく。
どうやら気絶してしまったようだ。
かく言うゼフィランもだいぶ落ち着いたようで、気絶させるほど無理やりしてしまった自分を殴りたいほどには理性を取り戻していた。
ズルリと自身を抜き出せば、音をたてて秘部から白濁が溢れ出た。
それがまた興奮する刺激になりえたが、さすがに堪えた。
「すまない……」
白い髪をさらりと撫でた。
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