──事件は遠征帰国後に起きた。
蒼天騎士団の一員であるグリノー、ポールクラン、およびヌドゥネーは部下たちを率いて3日ぶりにイシュガルドへ帰ってきた。
総長であるゼフィランに帰還した報告をすれば各自の部屋に向かう。ヌドゥネーに関してはいつの間にか姿を消していた。
グリノーとポールクランの部屋は少し離れていたが、途中までは同じだ。2人は並んで歩いていたが、ポールクランの様子がおかしいことに気づいたのはだいぶ後だった。
まず気付いた変化は足並みが遅く、遅れを取っていた。グリノーはその事に気付けば横を向く。するとポールクランはフラフラと身体を揺らして前に進もうとしているが、横に大きく揺れだした。
「おい、ポールクラン」
声を掛け、手を伸ばそうとしたその時、カーペットの上にうつ伏せで倒れてしまったのだ。
「おい!?しっかりしろ! 」
異常事態にグリノーは大声を出す。倒れたポールクランの身体は熱かった。グリノーの大声を聞き、何事かと飛び出してきたのはエルムノストとゲリックだった。
「どうした!? 」
「ヌドゥネーかオムリク呼んでこい!」
分かったと即座に返事したゲリックは近くの部屋にいるであろうオムリクを呼びに走った。
エルムノストはしゃがみこみ、意識を失ったポールクランを診る。
「……毒」
「は? 」
「とにかくオムリク卿に診てもらわねば」
息苦しそうにするポールクランを仰向けにし、少しでも楽にする。体勢を変えた頃に部屋着姿のオムリクが駆け寄ってきてはポールクランの様子を直ぐに見るなり、「ドラゴン族の毒……」と呟き、すぐに担架を持ってくるよう指示する。
そしてゲリックとエルムノストにより担架で医務室に運ばれた。
軽いパニックに陥っていたグリノーはやっと身体を動かし、後をついて行く。
(ポールクランしっかりしろ──!)
グリノーはあの日のことが脳裏を過ぎり、相当焦っていた。

◇◇◇

「クッソさみい」
ポールクランは寒さに身震いした。しっかり着込んだはずだったが、それでもクルザスの寒さには未だに慣れない。
ポールクランがゼーメル家に雇われて1ヶ月が経った。
その出会いは何とも奇妙なもので、酒場にいた男とすれ違いざまに肩がぶっかってしまったことだ。
ポールクランは金色の両目でその相手を捉えた。
その相手はあのゼーメル家のグリノーであった。
それを理解した瞬間、やばい相手と出会ってしまったことを察し、逃げようとするがすぐに肩を掴まれてしまった。
「おい」
低くドスの効いた声が背後から聞こえる。普通なら振りほどいてでも逃げることが出来るのだが、今回ばかりは四大名家の坊ちゃん相手に分が悪い。だが、謝罪する気力は無い。というか、相手は酔っているのか結構酒臭かった。青筋が見えるほどにイラついていることから怒り上戸なのだろう、などと現実逃避していた。
「てめえぶっかっておいて何様だ」
グリノーは怒りを顕にし、ポールクランに殴りかかる。右ストレートが綺麗に頬に入る。
殴られた瞬間、ポールクランはカチンときた。殴られてばかりでは気が済まないくらいには自分も多少は酔っているらしい。相手がゼーメルだとか関係なしにただただイラついたのだ。
フラつきながら立ち上がると今度はグリノーに向かって拳を彼の頬に入れた。
グリノーほどの威力は無いかもしれないがそれなりに喧嘩の場数は踏んでいる。人よりは強い拳にグリノーも多少は怯んだ。
グリノーとポールクランは完全に理性を無くしていた。ふたりとも売られた喧嘩は買う主義なので、場所や周りのことなど目に入らずお互いを殴り合い、酒場を荒らすまでに発展したのだった。
周りの客は喧嘩に逃げ惑い、店員たちも止めようとするが、その勢いに押され止めることなど難しかった。

──30分ほどした後、ようやく落ち着いた2人は息を切らしながら互いを見つめた。
(コイツ強ぇな……)
同時に両者思った事だった。静寂が帰ってきた頃、店長が2人に近づき、「出ていけ」と静かに伝票を突きつけた。
その伝票には普段よりも桁が外れたものだった。
店を追い出され、出禁になった2人は雪が降り積もる店の前でしばらく黙っていた。
だがどちらともなく歩き出した2人はしばらく足並みを揃えてイシュガルド下層を歩いた。
先に口を割ったのはグリノーの方だった。
「お前強いな」
腫れた唇でそんな事を言えばポールクランも「お前もな」と小さく呟いたのだった。
「お前俺のとこ来ねえか」
グリノーはちらりとポールクランの方を見ながら呟く。その言葉に「いや断る」と即答するのだった。速攻で断られ、「はぁ!?」と大声を出して驚いて見せた。
ポールクランは数日前にフォルタン家から追放されたばかりだった。それもそのはず、彼の素行が悪く彼の起こす問題のせいで名家の名に傷がつきかねない。
追い出されたポールクランはもう名家に懲り懲りだったのだ。好きに暴れられない堅苦しい貴族の言いなりになるのはごめんだ、そんな理由でゼーメル家も同じだろうと考え断ったのだ。
だがそれで引くグリノーではない。
「給料はいい」
「はぁ……」
「問題起こしても当主が揉み消してくれる」
「へぇ」
「お前は強ぇから実力はすぐに認められるだろう」
「……どうも」
「……」
「……」
どうにかして引き入れたいようだったが、イマイチピンと来ない。先程よりは多少揺れ動いているが何か足りない。
「……お前は何を求めてるんだ」
グリノーは静かに問いかける。しばらく考えた後、ポールクランは逆に問いかける。
「女は」
「は? 」
「女と好きに遊んでも文句ねえか? 」
「……ぷはっ、んなもん好きにしろよ」
思わず吹き出して笑ったグリノーにポールクランは眉間にシワを寄せた。
「好きに暴れていいのか」
「まあ多少はな。戦場では好きに暴れていい。ただ作戦は守れよ」
ポールクランの気持ちは傾いた。「ならお前んとこ行く」と今度は了承したのだ。

そうして、ポールクランとグリノーは友人となり得たが、同時に上司と部下にもなった。

現在、グリノー率いる騎兵団たちはゼーメル家管轄の要塞の周辺を偵察していた。
少し離れた所にグリノーも立ち、部下たちに指示を出している。
彼と過ごして分かったことは意外と頭脳派であったことだ。力技でねじ伏せるというイメージが強かったが実際はきちんと作戦を練って的確な指示を出している。
グリノーと出会わなかったら知りえなかったことだろう。
そんな事を感心しながら、吹き荒れる雪景色を見つめていた。

「……ん? 」
ポールクランは異様な音を耳にする。それに気づいたのは彼だけではなかった。その場にいた数人が耳を傾ける。その光景に気づいた総員が気を張り詰めた。

──雪の中に何かがいる。

それが何かはまだ確信しえないが、気を許すことは出来ない。

各々背負った武器に手を伸ばした。

──その時だ。

ドラゴンの鳴き声が聞こえた。
違和感が確信に変わった瞬間、全員が武器を構える。
迎え撃つ為息を整える。心臓の音は頭の中に響いた。
ぎゃぁと叫ぶドラゴンが雪の中から姿を現した。
グリノーが突撃の命令を出した。
全員が武器を構えて立ち向かう。
もちろんグリノー及びポールクランもだ。

各々が槍を、斧を振るい、やっとその息の根を止めることができた。

静かになったドラゴンの死体を見ればグリノーたちはやっと武器を収めた。
「……」
荒ぶった息を整える。寒さなど吹き飛んで逆に汗をかいてしまったくらいだ。
熱を逃がさないよう、早めに立ち去ろうとしたその時──。

「グリノー!! 」
名を呼ばれ振り向く。そこには息を止めたはずのドラゴンがまだ命を振り絞って立ち向かってきたのだ。
次の瞬間、目の前に現れた銀色の影。
グリノーは目を見開いた。

目の前から聞こえる呻き声、そして飛び散る赤色。
全てがスローモーションにさえ思えた。
自分の方に倒れるポールクランを抱きとめようと手を伸ばし、受け止めると二人とも衝撃で後ろに吹き飛ばされた。
「グリノー様! 」
部下たちが自分に駆け寄ろうとするのを「先に仕留めろ!」と声を振り絞って指示を出した。
部下たちは瞬時に切り替え、今度こそ息の根を止めたのだった。
「おい、しっかりしろ」
後ろに飛ばされた衝撃で背中と尻が痛かったが、自分の胸の中に倒れているポールクランに目をやる。
顔面左が血まみれだった。傷は深くえぐれている。揺さぶり声をかけるが、痛みに悶える声が喉から絞り出されていた。
生きてはいることに安心するが油断は出来ない。
すぐに救護班に手配をし、先にイシュガルドに戻したのだった。
「グリノー様」
部下の一人が声をかけるが返答はしない。
ただただ友人を失うことだけが恐ろしかった。

◇◇◇

そんな過去の事を思い出し、爪が食い込むほど拳を握る。ベッドに横たわるポールクランの左目に視線を向ける。

左目を代償にポールクランは生還した。

片目を失い、ハンデが出来てしまったがそれでもポールクランはグリノーと共に歩む努力をした。
グリノーは彼の左側に立つことを意識した。
彼の左側は隙だらけだ。だからこそ今度こそ守る、そう決めたというのに。

「ポールクラン……」
小さく名を呼んでも返事はかえってこない。
先程まで診ていたオムリクはグリノーの絶望的な表情に呆れながら退室していった。そのため今は2人きりである。
微かに聞こえるポールクランの寝息だけが部屋の中を包み込む。

まさに無だ。

襲いかかる不安にグリノーは必死に祈りを捧げた。
信仰心が厚い訳ではない。むしろミサの時間は欠伸をしており周りから小突かれるくらいだった。
こんな時ばかり神を信じるなど愚かなことだとは自覚している。
それでも、唯一心を許した友人を失うことだけは絶対にしたくなかった。

──数時間後、ポールクランはようやく目を覚ました。右目で全てを捉え把握する。キョロキョロと見渡せばグリノーが首を揺らして寝落ちしていた。
「グリノー」
名を呼べば、数回首を揺らしたあと、こちらもようやく目を覚ました。
「んぁ……」
「どのくらい寝てた」
寝起きのマヌケな顔には突っ込まず、自分があれからどうなっていたかをすぐに問いただす。
グリノーは半分寝ぼけながらも「んー……」と考えたあと、時計に目をやった。
「半日……」
半日も寝てたのか、と考えている間にやっと脳を覚ましたのかグリノーは今度は睨みつけてくる。
「……お前なんで黙っていた」
「……ええ、今それ? 」
心配を超えた怒りだった。ポールクランは誤魔化すようにそっぽを向けば、グリノーは顔を歪めて、ポールクランの腹に顔を突っ伏す。
その勢いのあまり痛みにグエッと情けない声を出したが、そんなことを気にするグリノーではなかった。
手が震えている。それに気付いたポールクランは申し訳ない気持ちになった。
「変だとは思ったんだよ」
「なんで早く言わねえんだよ」
「……そりゃ」
心配かけたくないから、という答えを出そうとしたが余計な心配をかけてしまったことを反省する。
前にもこういうことがあったな、と自分の見えない左目に手をかざした。
左手が触れている感覚はあれど、何も見えない。重く閉ざされた瞼はもう二度と開きはしない。

あの時も自分よりも泣きそうなグリノーが傍にいた。
顔を顰めて馬鹿野郎なんて罵声を浴びせて、泣きそうな声で震えていた。
痛えし泣きたいのはこっちの方なのに、それ以上に辛そうなグリノーを見ていたら痛みなど吹き飛んでしまった。

「……悪かった」
長い回想の後やっと出てきたその一言にグリノーは満足したのか「ん」と短い返答をする。
すると顔を上げては顔面を近づけてくる。
至近距離まで近付いたかと思えば唇に柔らかな感触を覚えた。
(珍し……)
グリノーからキスされることは珍しかった。
こういう時は大概デレてる時だと学習したポールクランは後頭部に手を回して更に深く口付ける。
撫でる頭をゆっくりと首元へ下ろしていくと彼が結んでいる髪の束に当たり、何を考えたか髪紐を解いてしまった。サラサラと金の髪がのれんのように降りてくる。
その事に気付いたグリノーはポールクランに噛み付いたあと唇を離せば「おい」と文句を言う。だが髪紐はポールクランの手元にある。
にんまりと笑ったポールクランは「一発やるか」と盛った発言をする。すると「んなとこでやったらオムリクに殺されるだろ」と拒否した。
あのオムリクに説教される方が怖いとグリノーは嫌がるが、ふと視界に入ったものにギョッとする。
ポールクランの下半身がテントを張っていた。
それもそうだ、数日間抜く暇もなかったのだから溜まっているのだろう。
ぐぬぬと唇を噛み締めたグリノーをポールクランは面白そうに笑いながら「ケツが無理なら口で抜いてくれよ」と言ったのだった。

グリノーは考えた。

正直自分も溜まっている。ここが目の前の人物の部屋なら馬乗りになって搾り取っていたはずだ。だが、医務室に主に出入りするオムリクに無駄な説教をされたくない。
しばらく考えて「分かったよ」と諦めた声でポールクランの掛け布団を剥げば病人に対する扱いとは思えないほど雑に下を脱がせたのだった。
反り立ったそれは勢いよく飛び出す。いつも突っ込まれているものを改めて見るとなかなかの狂気だった。
よく考えたらまともに風呂も入っていない為、汗臭かったが、そんな事よりも本能がそれを求めていた。
雄臭いそれを口に咥えると尻が疼いた。
(くっせ……)
などと思いながらも咥える口を離すことはなかった。それよりもポールクランとセックスしたい気持ちが勝ったからだ。
唾液を絡ませて上下に首を振る。太く長いそれは簡単にグリノーの喉奥を突く。
喉奥を犯されているというのに自身も開発された後ろも疼いて仕方ない。鼻で息をしながら必死に咥えた。
一方ポールクランは必死に奉仕するグリノーにただただ興奮していた。
(くっせぇチンポ咥えてホントマゾかよ)
などと鼻で笑う。ぶっちゃけフェラはそこまで上手くないが、溜まりに溜まった性欲はほんの刺激だけで興奮が抑えきれないのだ。
その後頭部を押さえつけて喉奥で扱いたら気持ちいいんだろうな、などと考えが過ぎるがまだそれをするには早い。
グリノーの覚束無い奉仕をまだ堪能したかったからだ。
ぐちゅぐちゅと口の中で音をたて、時々嗚咽を漏らしながらも必死に喉奥を使ってポールクランのそれを咥えていた。
(あー……たまんね)
傷はあれど綺麗な部類の顔をしている名家の坊ちゃんに奉仕させる背徳感に興奮が収まらない。

貧民育ちで成り上がった元部下で友人の自分のチンポを咥えてさぁ。

「ホント可愛い」

思わず出た小言をグリノーは聞き逃さなかった。
可愛いという単語を聞いたのか軽く歯を立ててきた。些細な抵抗なのだろうが、ポールクランは反撃する。グリノーの後頭部に手を回し力を込め、かつ腰を突きあげれば喉奥まで入った。
「ぐえっ」
情けない声を出し目を見開く。喉を塞がれたグリノーは苦しさからポールクランの太ももを強く叩く。だが、それでも腰を動かすことを止めなかった。
頭を押さえつけて上下に腰を振れば、下手すれば女よりも締めつけのいい喉を犯す。
名家の坊ちゃんを犯し穢している今のこの状況に興奮が止まらない。
唾液と先走りが混ざり合い、グリノーの口から垂れる。じゅっぽじゅぽと音を立てて散々口の中を、時に喉奥を犯した。
「あ〜…出そう」
グリノーは息苦しさからポールクランの声が聞こえていなかった。
そして数回突いた後、喉奥に粘り気のある液体を放出される。
「ぐふっ、うっ」
口から溢れたものはボトボトとポールクランの上にこぼれ落ちる。またグリノーの鼻に入ったのか鼻の穴からも白い液体が垂れ落ちてきた。
褐色の肌だから尚更白い精液は目立つ。
先程達したばかりだと言うのにその顔を見ればまた勃起しそうになった。
「あ〜…最高」
そう言って後頭部を抑える手を緩めれば腹にグーパンが入り、今度はポールクランがトードが潰れたような声を出したのだった。

その後、何とか処理をしたが、それでも消えない臭さに勘づいたオムリクに説教されたのは言うまでもない。

◇◇◇

後日、すっかり回復したポールクランは改めてグリノーの部屋で事に及んだ。タンクとDPSでは体力が違う。そんな事を言い訳しながらポールクランは先に寝落ちたのだった。

ポールクランはその日夢を見た。
周りには雲霧街の瓦礫の街並みが広がる。視線はいつもより小さいものだった。つまり子供の頃の夢を見ているのだとすぐに理解した。
「おい」
声をかけられ、振り向くとそこには身なりの整った同い年くらいの少年がいた。しかも腰に手を当て、ニヤニヤとイタズラな笑みを浮かべている。
「お前強そうだな」
薄い瞳の少年はどこか楽しげに笑った。あぁ、こいつ見たことある。でも誰だっけ……と夢の中のポールクランは考えた。
すると身なりの整った少年はその辺に転がっていた細い木材を投げて渡してくる。少年も同じくらいの木材を手に持っていた。
「俺と勝負しろ! 」
意気揚々と戦いを挑んでくる。ポールクランは少年の全身を一度見回した。
「血で汚れたらどうすんだよ」
明らかに高そうな服装を汚すのはさすがのポールクランも抵抗があった。
だが少年は「いいからやろうぜ! 」とこちらの話を聞いちゃいない。同時に木材を振り上げたのだった。

それから視界はぐるりと回り、見回すと少年が顔を覗かせてくる。頭と頬が痛い。少年は嬉しそうに「やっぱりお前強いな! 」と楽しげに笑ったのだった。
「お前名前は? 」
そう尋ねられ、名乗ろうとした瞬間、大人の声が聞こえてきた。それに酷く体をビクつかせた少年は「げっ」と気まづそうな声をあげれば立ち上がった。
「じゃあまた会おうな! 」
少年はポールクランの手を軽く握ったあと、すぐに走り去っていった。
仰向けに倒れたままぼんやり曇り空を見ていると複数の足音が聞こえてくる。大人は馬鹿だ。本当に寝ていると思ったのか一度立ち止まるも、何か話してすぐに立ち去ってしまった。
手を握られた感触だけはハッキリと覚えていた。

ポールクランは目を覚ました。
辺りは暗く、まだ月が顔を出している。隣でグリノーもぐっすりと寝ていた。
ふと違和感を覚え、その感覚に視線を移す。

グリノーに手を握られていた。

「……」
握られた手をそのまま自分の方に引き寄せ、褐色の手の甲に口付けを落とした。



クソガキの頃の俺へ

お前がボコされたやつと互いに背中を預けるほどの信頼関係になってさらにはそいつとセックスしてるんだぜ、信じられないだろ?

だがな、こいつはお前が思っている以上に俺の事が好きらしくて俺が怪我したら泣いてるんだぜ。可愛いよな。
俺もこいつのことが……まあ、そういう事だ。


ふっと笑えば今度はグリノーの唇にキスを落とした。

左目はもう見えない。だが、それでも右目は確かに金色の髪をまだ追いかけている。
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