警察官エイト×高校生ホルテンのifのお話

「しばらく預かってくれない……? 」
「は? 」
突然近所付き合いのある隣人のリリエが珍しく尋ねて来たと思えば、弟を預かって欲しいとの事だった。
弟、ホルテンは顔は知っているが俺も仕事、彼も高校生なのでなかなか会う時間はない。極たまに休みの日にすれ違うくらいだ。
「高校生だから、そろそろ自立させたらどうだ? 」
「……! いや、あの、色々事情があって……あとホルテン未成年だし……その、私が海外留学終わるまででいいので……お願いします」
「ふーん……まぁいいけど」
「ごめんなさい、よろしくお願いします」
と深々頭を下げられた挙句菓子折までわざわざ持ってきやがったリリエにいやそんなと返そうとしたが1回断って、それでもと渡そうとしてきたのでありがたく受け取ることにした。

で、彼、ホルテンの方はというと。
「エイトさん、ですよね。よろしくお願いします。基本的に家にいますので、大丈夫ですよ。ご迷惑おかけしないようにしますので」
姉が姉なら弟もその姿を見てきたのだろう。高校生はガキみたいにやんちゃなもんだろうと思っていたが、意外とこいつは大人びているな、というのが第一印象である。綺麗なお辞儀に「お、おう……」と戸惑いが隠せなかった。
こうして、ホルテンと半同居生活が始まった。
リリエの海外留学は約半年らしい。元々この姉弟の両親は仕事で家を留守にしていることが多く、2人で支えあって暮らしているのだろう。
俺に兄弟はいないが、年の差がある程度開くと喧嘩しなくなるという。子供ながらにしっかりしすぎていて逆に心配になる。

「まあ金銭面は多少の援助は出来るし、飯もそれなりに作れるし、困ったことあったらなんでも言ってくれ」
「はい、ありがとうございます」

とりあえずまあ色々話をしてホルテンのことを知ろう、と最初に浮かんだ疑問が、
「彼女はいんのか? 」
「いえ、いません」
ほぼ即答で言われ、思わず無言になる。意外とあっさりした答えでガッカリだった(とは本人には言わないが)
「エイトさんこそ、素敵な女性がいるのでは? 」
「ガサツな女2人だけだよ」
たまに(腹を)殴ってくるなんて言えなかった、さすがに。
「気の強い女性、ということですかね」
本当にこいつの教育どうなってやがる。出来すぎだろ。
正反対な答え方に頭を抱えた。眩しすぎる。たぶんこいつは確実にモテる。でもこいつ自身が恋愛に興味がないのだろう。あ〜持ったいねぇ〜。
「いったいどうしたんですか、急に」
「いや、なんでもない。あ、好きな食いもんは?」
「ポテトサラダです」
「いいな〜」
意外と話せば盛り上がるものだった、好きな物、嫌いな物、学校のこと、部活のことなど。
「エイトさんは、何をしていらっしゃるんですか?」
逆に質問された時、俺は驚いて少し固まったが、こう答えた。
「正義のヒーロー、だ」
「なんですかそれ」
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