うちのうちよそ紹介
アマータ→通称アマくん。17歳のデューンフォークの男の子。生まれつき体が弱く喘息持ち。だが心優しいがゆえにヒーラーを務める。ついでに錬金術も習得済みで時折エーテル回復に薬を用いてる。マイの作ったりんごジャムが大好き
マイ→33歳プレーンフォークの女性。好きなお酒はカルーアミルク♡(実際はビールなど強めのお酒を飲んで二日酔いで介抱されている) 戦士、モンクなど前線もするが白魔もする。花嫁修業している為家事全般出来る。
年の差はあるが、お互い惚れた超ラブラブ(死語)である
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「ぼくね、お医者さんに長生きできないって言われたんだ」
彼はサンドイッチを食べながらそう言った。
突然の言葉に思わず「えっ」と固まってしまった。その反応に「それもそうだよね」と言わんばかりに苦笑を浮かべるアマータ。
対してマイは唇を震わせながら言葉を発した。
「どういう……こと」
「ぼく、喘息持ちってことはお話したよね。実は体内エーテル量も少なくて、お薬で補充しているんだ」
「で、でもあんなにヒールをしていたの? 」
「……うん」
マイの問いかけに間髪入れず頷いた。アマータは平然とサンドイッチを食べる。マイはその平然としている態度に思わず怒りが沸いた。
「ふざけないで! 」
テーブルを叩いて立ち上がる。普段アマータには滅法甘く、怒りを覚えないマイだったが、今回はさすがに話が違う。
自分の命を削ってまで他人を回復していたのは知らず、それに甘えていたマイは自分にも、無理をしていたアマータにも怒りを覚えた。
あまりの勢いにアマータはさすがに「おわっ」と驚き思わず声が出てしまった。
「もうアマくんは戦闘禁止!ヒールも禁止!」
「……マイちゃん」
「魔法使うの禁止!」
「マイちゃん」
「なに!」
「とりあえず、落ち着いて……」
「落ち着いていられる訳ないでしょ。だってアマくんは、自分の体に鞭打って人を回復して、蘇生もして、それで……自分の……寿命まで……」
マイは目を潤ませ、大きな涙をボロボロこぼした。
「マイちゃん」
「ばか」
「……マイちゃん」
「ばか。アマくんのばかばか」
泣き出してしまったマイをアマータは思わず抱きしめた。マイは泣きじゃくりながらばかを連呼していた。アマータはごめんねとマイを抱きしめてただ背中を撫でることしか出来なかった。
「マイちゃん、あのね」
「……なによぉ」
「ぼくね、世界で1番マイちゃんが大好きだよ」
「……わたしもそうにきまってるじゃないぃ」
「だからね、こんなぼくで良ければ、お嫁さんになって欲しいの」
アマータの言葉に思わず涙が止まった。今、なんて言った?
「実はね、お医者さん"には"長生き出来ないって言われたんだけど、"神様"にはお願いしてきたんだ」
「えっ」
言葉の理解に時間を要した。神様……?
「ぼくの守護神、誰だったか覚えてる? 」
思わず「あっ」と言葉が漏れた。
──数ヶ月前
エオルゼア十二神の神々と戦うことがあった。
その時アマータは守護神であるアルジクと話をしたのだ。
「アルジク様こんにちは」
「人の子よ、よくここへ来た」
「アルジク様、お願いがあってお話にきました」
「うむ。願い……」
「ぼくの寿命を少しだけ長くして欲しいんです」
「寿命……」
アルジクはアマータの言葉に考え込んだ。だがアマータの目は真剣だった。
「あらお兄様、どうされたの」
泡の弾ける音ともに現れたのは星神ニメーヤだった。「ふむ、我が妹」と驚きもしなかったのはきっと日常茶飯事だからだろう。
「人の子が寿命を伸ばして欲しいと願い出てだな」
「あら、別にいいじゃない」
えっとアマータと共にアルジクも驚きをさすがに隠せなかった。
「別に私利私欲の為ではないのでしょう?」
ニメーヤはカードを1枚引きそれを自身の口元に当てた。そしてカードをめくると2人の男女が仲むずましく大樹の根元に座っている。それを見たアルジクは納得したようだ。
「20年、までにしよう」
「20年もいいんですか」
「その代わり、こちらへ来る時は必ず土天の神域へ来るよう。それが代償だ」
20年の寿命を伸ばした代償があまりにも軽すぎて未だに信じられないという顔付きのマイにアマータは微笑んだ。
「だからね、マイちゃん、心配しなくていいんだよ」
「……分かったわ。ごめんなさい、荒ぶっちゃって」
涙で目を腫らし、テーブルに置いてあったティッシュでちーんと鼻をかんだ。
「それでね……マイちゃん」
アマータはマイの前に跪き、ポケットからゴソゴソと何かを取り出し、マイの左手をとると
「ぼくのお嫁さんになってください」
「えっ」
先程よりも驚きが大きく声もつい大きく出てしまった。そして左の薬指に嵌められた指輪を見つめる。
「ぼくはまだ17歳で体も弱いし、へなちょこなところがあるけど、ぼくはマイちゃんの1番がいい。マイちゃんの支えになりたい。マイちゃんを幸せにする。それだけ本当に本当の気持ちなんだよ」
「あ、アマく〜〜ん」
マイはまた大泣きしてアマータに抱きついた。
「アマくん大好き〜〜〜〜」
「ぼくも大好きだよ」
数ヶ月後、エターナルバンドを挙げた2人は久遠の絆を誓い合った。恋人から夫婦という形で新たな道を切り開いたのだ。
それから約40年。
長いようで短かったアマータ・アンバーの生涯は閉じた。
医者には30前後が寿命だろうと言われていたのを神々の約束通り20年も延長し、彼は彼なりに大往生したと呟いたのが最後の言葉だった。
マイも歳を重ね、老婆になった。二人の間に子供は授からなかった。しかし、その分2人の幸せな時間を費やせたからそれでいい、とマイも思っていた。
早すぎる死に暁の面々だけでなく、アマータに救われた者たち、その子供たちも葬儀に参列した。
「マイ、ちょっといいかな」
そう声をかけたのはアルフィノだった。あの頃よりもだいぶ見上げるくらい大きくなったが、マイの中ではまだ幼い10代の頃が思い浮かぶ。
「何かしら」
「ちょっとね、預かり物を渡して欲しいと」
アルフィノは白い放送にピンクのリボンが付けられた小包を取り出した。
「彼から、ぼくがいなくなった時、渡して欲しいと言われててね」
「ありがとう」
マイはそれを受け取りカバンにしまった。
ララフェル族の棺は小さく、呆気なく土に埋められてしまった。
もう彼と会えない。けど、きっと星海で待ってくれている。マイはそんなことを考えていた。
葬儀も終わり、家に帰ると無事に見送った安心感と喪失感で涙がこぼれ落ちた。ふとアルフィノから受け取った小包を思い出し、泣きながらラッピングを解いていく。
白い木の箱だった。マイは首を傾げながら探ると蓋を開けられることに気づき、ゆっくりと開ける。
すると音楽、否メロディーが流れた。これはオルゴールだ。綺麗な音色はマイの涙を止めた。
「綺麗な音……」
ゆっくりとぜんまいは回る。その間流れたメロディーはマイを優しく包み込んだ。
月日が流れ、今度はマイも星海へ旅たった。
残された双子はマイのオルゴールを見つける。
「……あれ?動かない」
アリゼーは興味からゼンマイを巻こうとするが、空振りに終わる。アルフィノはふむと考え、詳しそうな彫金師ギルドに尋ねてみた。が、ギルドの物は驚くことを言った。
「これ中身ないですよ」
「えっ」
双子は揃って驚いた。で、でもあの人は確かに聞いていたのよ! とアリゼーは言う。
「単なる箱と飾りのネジだけです……」
中身を見せてくれたが確かに言われた通りだった。
「……どうやってマイは聞いていたんだ?」
深まる謎、それは制作したアマータとそれを聞いていたマイしか知らないだろう。
「でも、もしこれがマイにしか聞こえないような仕様だったら……彼なりの独占欲だったかもしれないね」
「どういうことよ? 」
「彼らだけの秘密ってことさ」
ちんぷんかんぷんと言わんばかりのアリゼーを見てアルフィノはクスクスと笑った。
──風で葉が擦れる音が聞こえる。ゆっくりと目を開けるとそこには金色の畑が広がっていた。ふあと欠伸を一つ。どれだけ眠っていたのだろうか。木に寄りかかりながらアマータは伸びをした。
パサりと落ちる布。それはひざ掛けサイズだった。
「おはよう、アマくん」
隣から聞こえた声、それは彼の愛した人の声だった。横を向くと同じく木に寄りかかりながら微笑む愛しい人の姿があった。
「おはよう、マイちゃん」
出会ったあの頃の姿で、2人は大きな大樹の根元で再会を果たした──……。