みんなが毎日、昼夜をとわず美味しそうに飲んでいるソレを、わたしも飲んだことがある。
「おうナマエ、こっちも飲んでみろよ!」
そう言って自分の手元にあったビンを揺らしてみせたヤソップの顔は“できあがった”状態で、吐く息は一言でいうなら酒臭い。というより、そこの空間がどこかしこもアルコールの臭いが充満していた。
久々の陸にみんなが沸き立ってハメを外しているのは見てわかる。わたしも宴は好きだ。
みんなと同じものを口にしたかった、というのもある。大人ぶりたい年頃でもあった。
だから飲んだ。
――飲んだあとの記憶はからっきしだったが。
「ねーえ、シャンクス」
「んァ?」
「コレ、わたしも飲みたいなー」
彼が飲んでいたグラスを両手に持って首を傾げれば、デレデレっとした顔が瞬時に切り替わる。
「ダメだ」
そう言ってわたしの手からグラスを奪うと、口いっぱいに料理を詰め込んでいるにも関わらず中身を飲み干してしまった。
「ケチ」
「ケチでもなんでも結構! ガキにはまだまだ早ェんだよコレは」
「わたし、もう子供じゃないんだけど」
「ガキはみんなそう言うよ」
何度したか、数えるのも面倒なほど繰り返したやり取り。わたしの生まれた国での成人をとっくに過ぎた年齢なのにこの扱い。
そりゃァ確かにシャンクスからすれば開いた年齢差からわたしはまだ子供なんだろうけれど、それにしたって少しくらい認めてくれてもいいじゃない。
「あ、ルゥそのお肉なにー!? まだあるー?」
「おれが注文したんだぜ」
「一口くらいちょうだいよ!」
「かわいい妹分にゃァいくらでもやるさ」
「やっだルゥってば男前! どっからの誰かさんとは大違いね!! さすが太っ腹」
騒がしいテーブルに混ざって嫌味を口にすれば「まあ〜たケンカかァ?」だの、「お頭もナマエも飽きねェな」だの、「何回やるつもりだよ」だの、みんなが口々に茶々を入れてきた。
「うるさいわよ、ドケチのシャンクスに言って!」
「律儀にお頭の言うこと守ってるおまえはエライな」
「心がこもってない、やり直し!」
「ほらナマエ。デザートのケーキもあるぞ」
「イライラしたときには甘いモンだな」
「おれらには甘すぎたから全部やるよ」
ルゥからもらったジューシーなお肉を頬張っていると、目の前に次々と機嫌取りのケーキが置かれていく。
これもまあ見慣れた光景というか、一連のパターンではあるけれどみんなわたしに甘すぎる。本当はケーキだっておいしく食べれる人たちであるのに、お酒が一番だからとわたしに譲ってくれるんだから。
「ありがと。いっただきまーす」
数種類のデザートはプリンにタルトにチーズケーキ、他にもどれもおいしそうなものばかり。
こんな大柄な男たちのテーブルに並ぶには不釣り合いなこれらは、きっとわたしのためにみんながオーダーしてくれたものだろう。
「ナマエ、どれがいちばんだァ?」
それぞれ一口ずつ食べ終えたところで隣のテーブルからヤソップが見慣れた真っ赤な顔をしながら声をかけてきた。
「ん〜そうね……なんだかこのフルーツケーキが食べたことない味で美味しいかも。最近クリームの甘さよりこれくらいにハマってるし……」
「おっ、そりゃァおれの選んだヤツだな」
毎回、どのデザートがいちばんわたしの口に合ったか賭けをしてるのも知ってる。
人をエサになにしてるのと呆れはするものの、わたしは美味しいものが食べれるしみんなも楽しんでるからまあいいかと思っている。
今回はヤソップチョイスのフルーツケーキが良かった。
それでも他のデザートも求められるままに食レポなんてしながら順に食べ終えていき、残りのフルーツケーキを最後に味わいながら食べていると、徐々に身体に変化が起きてきた。
「あつい……」
「ん……? おい待てナマエなに脱いでるんだ!?」
「あついの、」
「いやいやいやいや頼むから脱ぐんじゃねェ!!」
「顔真っ赤じゃねェか!? ま、まさか……」
「オイ誰だナマエに酒飲ませた奴!!!」
何か騒いでいる仲間に構わず、着ていたパーカーを脱ぎ、それでも暑いとタンクトップの裾に手をかけたところで力強い手に止められた。
「こンの悪ガキ」
「あれ……シャンクス?」
整った呆れ顔がこちらを見下ろしていた。
「お頭ッ」
「おれたちゃァ一滴たりともススメてねェよ!?」
そしてそんなシャンクスに対して突然慌てだす仲間にもついていけず、頭がぼうっとする。
しかし先程までこの相手と言い合いをして、まだ決着もつかず続行中だということを思い出した。
「なにようっ! はなしてシャンクスっ」
「だーッ! 暴れるなナマエ! おまえにゃそろそろお灸を据えないとな」
「きゃあ!?」
反抗は呆気なく抑えつけられ、腕一本の逞しい肩に担ぎ上げられる。胃が圧迫されて食べた物が逆流してきそうだ。
しかし
「」
ALICE+