街灯の届かない裏路地で断末魔があがる。
人の目にも耳にも入らないそれは、けれどこの国中に設置された映像でんでん虫が確かに捉えていた。
「――また、派手にやったものだな」
死体と血の臭いが充満する、穢れきった空間に響いた低く耳ざわりのいい声。
わざと鳴らす足音はいつだって支配者の余裕を感じる。
気配を出したのは今し方でも、おそらくずっと見ていたのだろう。
「テゾーロ様」
「お前の美しい顔に血は栄える……が、少々いただけないな。なぜ私の許可なく殺した?」
この人の所有物である部下に無断で罰を下した。幹部といえどお咎め無しとはいかないだろうことは覚悟して、自分で手を出した。
わたしは所詮、この人の所有物の一つに過ぎない。
「……答えたくありません」
「…………」
所有物が所有者の意思を訊かないなど以ての外だが、それでも答えたくなかった。
見ていただろうに、それをわたしの口から言わせようとするだなんて、本当に意地が悪いどころか腐っている。
「……やはりお前には、私の所有物である自覚が薄いらしい」
「テゾーロ様」
「あァ、いい。これからたっぷり、躾の時間といこうじゃないか」
そしてこの後に待ち受けるものを至福の時だと感じる自分も、もうとっくに腐っているのだろう。
歪んだ愛に跪け/160917
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