君だってもう要らない




君に捧ぐ晩夏
転がる蝉と見慣れた色が
憎い僕を迎えに来た


きみの嘘をひとつだけ
隠し持っている
いつか
ハートに突き刺す為に


さらさら崩れてく
私を繋ぎ留めていた枷は
痛みを堪えてもう壊して
私は星に戻るよ
此処はもう明るいから


意識の浮遊は止まらなくて
崩壊の繰り返しを知りながら
壊れたそれらを積み直し
何度も何度も積み直すのに
どうして崩れ落ちる


花は朽ちた
風は止んだ
星は落ちた
光を愛した闇は嘆き
闇を蔑んだ光は喘ぎ
太陽は海に溺れた
満月は空に砕けた
きみがいたのなら
私の世界は倒れなかった
きみがいたのなら
私の心は渇かなかった


貴方を欲す眸を潰して
貴方を欲す耳を塞いで
ガラクタになった私を
無造作に躊躇いなく棄てて


痛みを示す心臓の鼓動に乗せて、羽搏く
夜が明ける、橙と濃紺の混じり合う灰色の世界の中
耳の奥から鳴る懐かしい振動を聴きながら
垂れ落ちて瞬きで薄める血もそのままに
ひたすら繰り返した残像
なぞる様に思い浮かべて
ひとり羽搏いたきみの後ろ姿


綺麗な言葉を並べて
君に愛を囁いて
君に涙を教えて
僕のすべてが伝わると
思っているのかい


焦がれ届かぬ彗星
爆ぜる名も無き星
腫れ上がる心を裂いて
湧き出る膿は私を罵る
(これが愛でないなら)
空白の墓標は雨晒し
(何と名付けましょう?)
泣く泣く埋めた未熟な骸
(あなたのこえが)
赤い海に溺れた小さな命
(きこえない)
貴方に拾って欲しかった
貴方に愛して欲しかった


無言の月は音も無く嗤い
心臓を燃やす星々は諦観
太陽の裁きは明けない夜
闇に光を失う天の使いは
拡がる罪に罰を求め続け
崩れ落ちる世界はやがて
涙を枯らし慈悲をも忘れ
盲た彼女の手を振り解く
色の無い瞳が写す顔を見よ
それが罪だと彼女は論う


千切れる様に痛いのは
きみの言葉で裂けるから


君の残像食べたって
君には一歩も近付けない


きみの為に朝がきて
きみを思って花が咲く
きみを思って風が吹き
きみの為に夜がくる


夜より暗く
血より濃く
海より深く
空より高く


久しく劣化する感覚
君にだけ特化する感情
憂鬱と孤独に溶ける意識
望むのは君の掌で絞殺


千切れた僕の欠片を
掃いて拾って
天国に咲く花の糧にして


きみのくれた残像
継ぎ接ぎの心臓
いつか翔べるなんて
考えたこともない


小指は、息の仕方を忘れて仕舞った
伸ばした腕はやがて枯れた
与えられなければ、水なんて要らない


心臓、抉る言葉
痛みを忘れられない脚が
走るのを拒むけれど
痛くないことは分かってる


月の翳り
揺蕩う星が
夜に溺れるとき
海に落ちたきみが
確かな命になる


この身が罪で満ちたら
どうか貴方が殺しにきて


貴女がかけた呪いが解けない


探してるから
星の果てから花の蜜まで
風が泣く夜を越えて
月の眠る朝まで
忘れないように彫った
眼球に刻んだ君の後ろ姿


その胸のどこまでを
切り開いたら見えるの
私に分かる言葉で書いた
心はどこにいるの


みんな既製品
ぜんぶ既製品
ぼくは既製品
きみも既製品
廃棄場でリサイクル待ち


僕の愛君の憎
だから心ごと殺して


毒素を吐き出す
縛った紐を切り落とす
器を小さくすれば
すぐに満たされるのに


ずっとふたり繋いでいたのに
混雑気味な君への回線
「タダイマ大変混ミ合ッテオリマス…」


鳴り止まない鼓動
立ちすくんだ両足
消えない傷と癒えない傷
渇望していた筈の終焉
指先は掠めるのに
掴めないのはきっと
叶わない恋に恋して愚か
ここは夢と現の狭間


どこまでゆけば夜は終わって
どこまでゆけば私にも優しい光が降るの
傷跡が疼く夜通し痛む
折れた足を引きずり耐えれば
神様は私に気付きますか


この空を染めた
真っ赤に染めた
涙の代わりのそれが
いつか僕の肺を満たす
その日まで許さない


さよならは君の口癖
手首の傷が増える度に
遠ざかっていく君の背中
おはよう、にはまだ遠い
おやすみ、は聞き飽きた
子守歌を聴きながら
遠い朝に想いを馳せる


君の美しい翼に憧れた
僕の醜い翼は空を知らず
太陽も月も君の為に注ぎ
僕は日の当たらぬ水の中
濡れた翼は重く沈み
僕を知らぬ君に焦がれ
僕は静かに目を閉じる


置き去りにされた
忘れられてしまった
誰も探すことのない
底まで落ちて然様なら


眩しい世界
目を開けられない
光を遮ってくれたきみ
きみがいないと
また目を閉じて仕舞う
逆光の中の美しいきみ
届かない


寄せ集めの不良品パーツ
大目に見たら人型
命を吹き込んで観察
欠陥ばかりの粗大ゴミ
焼却炉に歩いて行けることが取り柄です


ここから飛び降りて
その先を見たい


やがて知るだろう
汚いことを
醜いことを
許せないことを
朝が来たら
あなたを抱いて
降り注ぐ光の下を
ゆっくり歩こう
例えそれが
硝子の道でも
踏む度に割れても
この手にあなたを
抱きながら
この手にあなたを
抱きながら


きっとどこへでも行ける


激動の時代に
炸裂するギザギザハート
分裂する明日へと続いてる
それは
全能感みたいな高熱だったんだ


退廃倒錯常習錯乱全能感
私は救われたい


この身を灼くのは孤独
諦観は特化しながら劣化
腐りかけた夜空に空いた
蜜色にすら眩む此の眸
──拝伏せよ彼の暁光に


僕、吐瀉物
君、聖遺物
世界は忘れられた玩具箱
我楽多の中で待ってる
一緒に捨てられる日


どこにも行けない君と、どこにでも行ける僕
どこにも行けない私と、どこにでも行ける君


君になってみたかった
君の目で世界を見たかった
君になってみたかった
君になったら分かる気がした
君になってみたかった
あのひとに愛される
君に、なってみたかった


正義的抑圧保存感情と嫉妬する劣等感


君と狂えばこわくない


明日なんて見えないけれど
あなたといるって信じたい


君を殺す
夢を見ながら
もう何度も
僕を殺した


脳味噌グラタンきみ味


幾度も君を思い出す
幾度も君を思い出す
擦り切れて
見えなくなってしまうまで