私を抱えて刀を振るった黒刀を襲ったクシャナーダの指先が彼の右肩を滑ったのだ。破れた着物から現れたのは灰色の皮膚だった。皮膚というよりそれは、ミイラのような肌だった。肘から下の黒衣は無事のようだ。

「それ、」
「ぁあ?」
「か、肩」

クシャナーダを撒き、骨でできた建造物に私を座らせた黒刀の肩を指す。黒刀はひとつ舌打ちをしてから私から隠すように体をずらして座った。

「何度も何度も業火に灼かれるとこうなる」

吐き捨てるように黒刀は言った。私はそれを聞いて、着物を捲り右腕を見た。感触は人間だった頃と変わらなく、肌色も同じ。

「俺ぁ、なまえより長く此処にいて、何度も死んでるからな」

軽い口調、先ほどとは打って変わって柔らかい表情で黒刀は笑った。私は黙って袖を下ろして、上半身を左にずらして彼の右肩を確認しようとした。

「莫迦」

ぬ、と左手が私の目を覆う。直前に見えた黒刀は短い眉尻を下げて困ったように笑っていた。

「痛いですか」
「痛ぇなあ」

不安が私の口を塞ぐ。何度か行ったことのある灼熱は、とても痛かった。熱かった。気が狂いそうだった。静かに離れた手が隠していた私の表情を彼は見た。

「お前は、俺が守ってやるよ」

だから、そんな面すんな。優しい表情、私の不安さえ拭い去ってしまう。

「私、黒刀と一緒なら何度灼かれても大丈夫だよ」
「莫迦、熱ぃぞ」
「大丈夫、大丈夫だから」

私にも分けて、と黒頭巾の隠す右側に触れた。抵抗されなかったから頭巾の上から頬をなぞった。その手を、同じ布で隠した手のひらが包んだ。酷く冷たい。そして、違和感を感じた。

「莫迦、なまえは、綺麗な儘でいろ」

黒刀の左手が膝に置かれた儘の私の右手を浚う。上体を倒すように黒刀は私を引っ張って、左手を頬に寄せた。かさついた唇が、優しく触れる。伏せられた左目に倣って、私も目を閉じた。