デパートで買い物をしていたら五枚で一回できる福引きの補助券が七枚集まったので、催事場で福引きを待つ列に並んだ。かなりの人がいたものの、回転も早く他愛ない話で十分に時間が潰せる。

「お嬢さん」

会話が途切れた数秒、前に並んでいた主婦が振り返る。明るい声をかけられたなまえは、持ち前の愛想の良さを遺憾なく発揮して返事をした。

「これ、中途半端な分あげるから、ね」
「えっ、いいんですか?」

肉付きの良い指で補助券を押し付けられたなまえは少々の躊躇いを見せながらも、笑顔で礼を述べる。

「いーのいーの」
「ありがとうございます!」

互いに頭を下げ合いながら、主婦が列を詰めるために前を向く。それを見てから、貰っちゃったとなまえが笑った。その手の中には三枚の補助券。

「妖ちゃんもできるよ!」
「なまえが二回やりゃあいいだろ」
「えー、ほら、妖ちゃんの分」

渡された補助券を仕方なく握る。なまえはもともと運が良いのか、福引きやら抽選やらでよく当てる。俺はといえば可もなく不可もなくというところだが、そもそもそんなものはしない。けれど。

「妖ちゃん、行くよ」

ちょうど列の先頭になって、なまえが空いた場所へ向かう。ちょうどその隣が空いたから、様子を伺いつつそちらへ行った。なまえの回した抽選箱から飛び出た玉の色は橙色。

「あっ」
「おめでとうございますー、商品券三千円当たりましたー!」

口を開けたまま、玉から係員に視線をやったなまえはそれを聞いて、弾かれたようにこちらを見た。

「妖ちゃん! 当たったよ! やったー!」
「良かったな」

と言いつつ、自らも抽選箱を回す。転がり出た玉なんか見ずに満面の笑みを湛えるなまえを眺めながら。

「あっ、おめでとうございます、松坂牛ステーキご当選です!」

すぐ前から声が飛んできて、手元を見たら青い玉。何か発する前に、いつの間にか隣にいたなまえが先に口を開く。

「妖ちゃん、すごい! 松坂牛だって!」

けれど。可もなく不可もなくなはずなのに、なぜかなまえといると昔からよく当たる。当たらないことが分かっているから、運任せなギャンブルはやらないのに。なまえは俺の代わりに当選商品を受け取り、周りから飛び交う声に笑顔で応えていた。

「妖ちゃん、すごいね!」
「なまえもな」
「じゃあ今夜はこれでステーキにしよ!」

なまえは鞄を持って、俺は沢山の紙袋を持って、空いているエレベーターに乗り込んだ。商店街の福引きも、スーパーでやってた割引券になるスクラッチも。なまえといるときだとなぜかよく当たる。不思議に思ってひとりのときにやってみると当たってポケットティッシュなのに。

「さっすが妖ちゃんだね」

なまえは笑うけれど、さすがなのは多分なまえの方。双六をしているとき五や六の目を何度も出すし、お年玉年賀はがきもよく当たるし。もしかしてというよりはやっぱり。

「さすがなのはなまえだろ」

俺の、幸運の女神なんだろうな。




恥ずかしい!!!!!!すみません