取り出して広げて、なまえは眉を顰めた。
「ねえ…これ、チアの人たちが着てるんだよね?」
「おう」
「…露出すごいんだけど」
「だから着ろって言ってんだろ」
そのためにわざわざ特注したといっても過言ではない。但し、なまえに着せるのは家の中でだけ。腹も足も腕も、晒せるだけ晒しているのだからそれは当然だけども。胸部を覆う程度の布を自らに宛て、なまえは唇を尖らせる。
「短すぎでしょ…着れないよ、恥ずかしい」
「俺以外に見せねえんだから良いだろうが」
「妖ちゃんに見られるから恥ずかしいんじゃん!」
背中に生える羽根をぱたぱた動かしながらなまえは俺を睨む。ぱたん、と雑誌を閉じ、ソファーに肘をつきその手に頬を預けてなまえを見た。
「いまさら恥ずかしがることねえだろうが」
「恥ずかしいものは恥ずかしいの」
言葉の続きを察したなまえが慌てて口を開いた。脳内で想像するのと、実際に拝むのとは訳が違う。幾らその体の細部まで補正できるとして、現実はいつも想像を上回るのだ。とりあえず、どうしたものかとなまえの目を見詰める。これが苦手なのはリサーチ済み。
「……なによう」
「着てくんねえかな〜って」
「……わ、かった」
持っていた衣服とはいえないくらい少ない布で顔の下半分を隠したなまえは小さい声で決意した。あわよくばという邪な考えがある俺は、腰を上げた。
「どこ行くの?」
「隣。着たら来いよ」
「うん」
こくり、と頷いた表情から察するに、多分下心には気づいていないんだろう。ドアを閉める直後に見たなまえは小難しい顔をして、スカートについた尻尾を引っ張っていた。ベッドに座って鞄の中から取り出したノートを繰る。眺めている数字は目を滑っていくだけ。数時間も経ったような錯覚の後。そろそろとドアが数センチだけ開いた。
「妖ちゃん」
「なに」
「めっちゃ恥ずかしい…」
俯いた目は多分、布に隠されていない部位を眺めているのだろう。ドアの隙間から、白い足が見えた。
「いいだろーが」
観念したようになまえがドアを開け放した。鎖骨がくっきり覗いているし、肩より深く抉れた曲線から柔らかそうな腕の付け根まで見える。括れた腹部は勿論、腰骨に引っ掛かるデザインのお陰で、影を作る骨盤のラインにも目がいく。
「これ、セクハラで訴えられるよ…」
短いスカートの端を引っ張りながらドアを閉めたなまえが近づく。確かにやることはやっているけども、見えそうで見えないのがまた良い。
「興味ねえな」
手を伸ばしたら、なまえはいつも通りこの手を取る。それを、引っ張って。
「ぅわっ」
ベッドに倒れたなまえの顔の横に手をついた。恐る恐る顔を上げたなまえと目が合う。横になり、布地が体のラインをくっきり浮かばせていやらしい。
「…よ、ちゃん?」
「なまえ」
散らばる髪と、赤みの差す目尻と頬。困ったような表情。縋りついてきた手を握り締めて。想像よりも、楽しいことをしよう。