浮腫んだ足を気合いで動かして、どうにかこうにか自宅へ。歩道から見えた窓には明かり。あ、帰ってるんだ。ハイヒールの鳴るアスファルト、キーケースから取り出す鍵を差し込んで。

「ただいまー」

靴を脱いで、明るいリビングへ。ソファーの前のローテーブルに湯気の立つマグカップを置く彼が顔だけ振り向く。

「おかえりなさい」
「先帰ってたの?」
「早く終わったので」
「そっかあ」
「温かいうちにどうぞ」
「ありがとー」

と言いながら鞄をその場に下ろして、抱きついた。化粧が服につかないように気をつけながら、彼の体温と体臭を吸い込む。あー、癒されるーと背中に体重をかけていく。

「おりる」
「ん」
「離す」
「…ん」
「着替える」
「…ん」
「鞄放っておかない」
「…んー」
「…こら」

首筋に鼻を当てる。息を吸い込んで、吐き出すのをためらう。あったかい。いいにおい。背中を伸ばした彼にならって、床にかかとをつける。歩き出す彼につかまったまま、歩き出す。その足は寝室に向かう。

「はい、脱ぐ」

するりと腕を外され、向き合う。着ていたジャケットに手をかけられて、脱ぐ。彼はそれをハンガーにかける。その勢いのまま、パンストを脱ぎ、カットソーとスカートも脱ぐ。後ろを向いてブラも外して、部屋着のワンピースを着る。彼は脱ぎ散らかされたそれらを拾い、洗濯機に向かう。

「ありがとー」

その背中は何も言わず。ぺたぺた歩いて、洗濯機の置いてある脱衣スペースに向かう。几帳面な手つきで、洗濯ネットに私の服や下着を入れる彼。ああ、もう恥じらいもなくなってしまった。

「ゆうくーん」
「はい。ここまで来たら顔も洗ってください」
「はあーい」

シャンドレで化粧を落とし、鏡の裏に置いてある化粧水やらクリームやらを塗る。それを、洗濯機に体を預けてじっと見ている彼。

「なあにー」
「…」
「んー?」
「お疲れさま」
「うん。ゆうくんも、お疲れさまでした」

振り向いて、キス。するりと片手が腰に回り、もう片手が頬を滑る。少し離れて、私はちょっと笑って、もう一度唇に触れる。

「冷めちゃったかなあ」
「でしょうね」

うふふ、と声に出して笑う。笑って、その腰に腕を回して抱きつく。ぎゅうと抱き締めてもらって。

「ゆうくん、あったかーい」
「なまえのほうがあったかい」

これで明日もがんばれそう?




タイトルは語感。意味はない!