今日は口数が少ない。落ち込んでるのは、顔を見れば分かる。言いたいことや聞いて欲しいことは、黙ってたって言ってくる。だから、こういうときは何も言わないほうがいい。

「なまえ、寝ますよ」
「うん」

ぼんやり頷く姿を横目で見て。歯みがきも、明日の用意も済ませたし、トイレに行く背中を見送って、寝室の間接照明をつける。軽いストレッチをしながら待つ。リビングが暗くなって。

「待ってたの?」
「…まあ」
「ありがと」

ひんやりしたシーツに触れながら、ベッドに潜り込む。なんとなく腕を伸ばしたら、なまえは少し驚いてから頭を持ち上げた。

「ゆうくん」
「ん」
「抱っこ」

言われた通りに空いている腕を背中にまわす。力をこめると同時に、隙間なく擦り寄る温かい身体。ふんわり香るボディクリームの香り。

「今日は暖かかったですね」
「…うん」
「明日も暖かいそうですよ」
「…うん」
「お酒でも飲みに行きましょうか」
「…ほんと?」
「ほんとです」
「終わったらラインしてください」
「…いいの?」
「いいです」
「わかったあ」

少し緩んだ頬を見て、目を閉じる。おやすみなさい、おつかれさま。