第1話

 
 麻也(まや)には、高校のときから大学に入った今も片思いしている人がいる。
 名前は、上野 鷹人(うえの たかひと)。黒髪で俳優、いやそこらの俳優より整った顔をしている男だ。麻也が高校2年のときに、入学式で一目惚れしたのが始まりだった。

 鷹人は1年の中で群を抜いて強く、3年相手に怯むことなく喧嘩をして、学校のトップになった。
 そんな鷹人とは対称的な麻也は、地味で、可愛いともかっこいいとも言えない平凡な見た目で、しかも163センチと小さかった。

 そんな自分は相手にされない、そう思いながら玉砕覚悟で告白した卒業式。気持ち悪い、死ね、酷い言葉を言われて殴られるかもしれない、麻也は身を固くして鷹人の言葉を待った。

『……名前は?』

 酷い言葉を吐かれず、名前を聞かれた。
 麻也は素直に名前を教え、そこからはトントン拍子に鷹人と体の関係を持つまでの間柄になった。
 大学1年生になった今でも、麻也は鷹人と関係をもっている。鷹人がヤりたくなったら、鷹人の溜まり場に行き抱かれる。
 ーー所謂、セフレだ。
 麻也は抱かれるたび、胸を痛めた。それでも、幸せだった。
 鷹人はもともとノンケだったのか、セフレは殆ど女ばかりで、男で抱かれているのは麻也だけだった。
 そのことだけ、麻也は自分は少しは特別に思われている、そう思って幸せを感じていた。


 ーーーだが、そんな『幸せ』はすぐに崩れた。



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