夢のワガママ
ここ最近同じ夢をみる



それは唇に触れるだけの優しい口づけで…何度も何度も口づけられる。


私を大切に思っているのが伝わってくる、優しい口づけ…


夢の中でうっすらと目をあけると
綺麗な黒髪が光に照らされてキラキラしていた


夢であればいいと思っている自分がいる

だって現実じゃあこんなことできないもの


いつもなら、このまま目を閉じて夢は終わる


…今日は終わらせたくない



「…王子様はシルビアなの?」

「…シルビアだったら…どうするのかしら?泣いちゃう?…」


「ううん…抱きしめて」


腕を伸ばしその人の体に触れる

夢の中のシルビアはびっくりした顔をして、
おずおずと私の腕に包まれ覆い被さってきた

体重をかけないように気を使ってくれていて、それが嬉しくてクスっと笑った


夢だとわかっているから
こんなにも正直になれる


「シルビア…キスして?」

「ちょっと…それ意味わかってる?」


「うん。だって…私…好き…、シルビアが…好きなの」



現実でこんなお願いできない

「お願い…シルビア、夢だってわかってる…」

夢じゃないと思いを告げられない自分に切なくなって、喉の奥がキュッと痛くなる


「あら、マリーちゃんったら…泣かないで」

「だって…、だって…」

「…目が覚めてアナタがアタシのこと大好きって言ってくれたら、キスしてあげるわ。約束よ」



「約束…ね、シルビア」

「ええ、おやすみなさい…」




そう言って私はシルビアに抱きしめられて、彼の香りに包まれて意識を手放した





翌日、目が覚めた私は
昨夜の夢が夢でなかったことを知る

短いお話