テディベア
勇者一行の最後尾を歩いている私は最近、とある悩み事を抱えて困っている…
困っている、本当に困っている
私は背が小さく一見すると少女のように見えてしまうが
これでも成人して五年がたとうかというのに、
最近仲間になった旅芸人は事あるごとに
可愛い可愛いと言い、頭を撫でてくる
カミュからは、縮んできてんじゃねぇか?とからかわれるし…
本当に
「困っちゃう…」
ハァとため息をつきながらつい漏れてしまった言葉
するとひょこっとシルビアが背を丸めて私の顔をのぞき込んできた
距離が近い
「何が困っちゃうの?アタシで良ければ相談にのるわよ?」
ニコニコとした綺麗な微笑みで訪ねてくるシルビアに
気にしないでいいよ、と手をヒラヒラさせながら距離をとる
「も〜!つれないんだから〜」
そんなところも可愛いわ、よしよし。と頭を撫でてくる
頭を撫でてくるくらいどうってことない、他の子にはハグとか手をつないだりとかもする
私が困っているのは…
「みんな〜!今日はここでキャンプするよ」
「俺とイレブンが飯の材料とってくるから後は頼んだぞ」
といって相棒組は肉にするか魚にするかを話ながら森の中を進んでいった
「じゃあ私とセーニャで薪を集めてくるわ!」
はい!お姉さま!と仲良し姉妹も森の中へ
「アタシ達でテントとお水ちゃんね」
「うん」
―――――――――――――――――――――
薪がパチパチと音をたてながら
揺れる火を眺めて辺りが真っ暗闇になったころ、
自然とみんながテントへと向かう
そんな中、うとうとしながら一人焚き火の前に残っていると
「マリーちゃんもう寝ないとお肌に毒よ?さ、いらっしゃい」
ポンと肩に手をおかれて、テントへと促される
シルビアの方をみて一度肯き立ち上がる
背中には腕が回されていて体が支えられているのがわかる
この人は乙女だって自称してるのに、人一倍紳士だと思う
そのままシルビアに連れて行かれてテントへと入ると既にみんなは眠りについていた
みんなを起こさないように小声で話す
「マリーちゃんはそっち、端はアタシよ」
「うん。いつもありがとう、シルビア」
「どういたしまして。早く寝ましょ、睡眠不足はお肌の敵よ!」
クスっと二人で笑いながら
「「おやすみ」なさい」
と言って横になり目をつぶる
背中にシルビアの気配を感じる
シルビアはすぐに眠る
横になって目を閉じたかと思うとすぐに寝息が聞こえてくるのだ
私の困っていることは今から始まる
私以外が寝入った頃
「ぅ…んぅ〜…」
後ろから寝息と服の擦れる音がきこえる
「っ!」
すると突然顔の前に腕が降りてきて
背中越しぴったりに温かさを感じる
そのままスリスリとすり寄って
耳元にはシルビアの吐息を感じる
「ん…ぅぅ…」
ゾワゾワする感じにたまらず声が漏れる
シルビアは眠っている時、近場にある物に抱きつく習性がある
自分の鞄を抱いている時もあるけど最近は温かい人間に抱きつくみたいだ
シルビアはみんなより先に起きて、最後に寝るから
こんな癖があるなんて誰も知らない…と思う
サワサワとシルビアの大きな手が体を触り、
長い足がぐっと両の足の間に割り込まれて密着度が更にあがる
シルビアの心は乙女でも体は男性ということを意識してしまって心拍数がどんどんあがる
頬がぽぽぽと熱くなって、体も熱くなっているのを感じる
規則正しい寝息が聞こえる中
深呼吸を繰り返しため息をひとつ
「(…今日も寝不足…)」
短いお話