ーーおかしい。自分の身体が変だ。自分の意思とは関係なく熱を帯びて心拍数が上がる。平常心でいようとすればするほど逆方向に陥るコントロールできない感情。私はどうしてしまったのか。


−−−−−


インターハイ予選、引退試合となってしまったあの日。体育館倉庫での一件を思い返す度に顔に熱が集まり泣き出したいような衝動に駆られる。やってしまった。どうして、人前で泣くなんていつぶりだろう。どれだけ練習が辛くても、試合に負けて悔しくても、涙を流すことはしなかった。キャプテンになったあの日から。それなのに。

『無理して笑わないで。』
『ずっと見てたから。』

「ーーっ」

柔らかなオレンジ色の光に淡く縁取られた、クラスメイトの姿が脳内に浮かぶ。ーーそう、ただのクラスメイトの筈。