君を待っているよ



「はーい、本当のパパでちゅよー。」


「クソ川、毎度来る度にそれするの
本当にヤメロ。」


遊びに来て早々、2人に挨拶する前にと
一目散で臨月まで近い美月のお腹に向か
って、及川はニコニコ満面の笑みで、
未来の家族にそう呼びかける。

幼馴染みの突拍子のない行動に、岩泉は
顔を歪ませ、美月は困った顔で、自由な
幼馴染みに笑顔を向けた。


すると、お腹がぐにゅっと動くのが見え、
及川は驚いて目を見開いて、嬉しそうに
美月の顔を見た。


「え、反応した!?本当に俺の子?」


『んー、どちらかといえば。』


彼女がTシャツを捲れば、面白いくらい
ハッキリとした足の形が浮き出ていて、
それは及川の発言を完全否定をしている
気がして、花巻と松川はそれを見て大爆笑。


「この態度は完全に岩泉だわ!」


「てか、お前のその図太さは相変わらず
かよ。」



及川の帰国のタイミングに合わせ、いつも
の仲良しメンバーが集まり、後から入って
きた松川や花巻もそう言いながら、自分達
もお腹の子に、ちゃんと挨拶をした。


「えー、岩ちゃんみたいな子が生まれて
きたら、俺いじめられるじゃん。」


「母ちゃんを守ってくれて最高だな。」


『ハジメさんに似たら、とても優しい
子になってくれると思いますよ。』


「何、岩ちゃん。そのドヤ顔やめてよ、
腹が立つから。」


「お前もしょっちゅうしてただろ。」


ほんのり笑って、惚気けた美月の表情と
どうだ、うちの奥さん最高だろ?と言葉
には発さずに、顔で表現する岩泉を目に
したら及川も妬けてきたのか、拗ねた顔
で彼がそう言い出すと、顔を顰めた花巻
は、そう反論をした。


「これ、早めの花と俺からのお祝い。」

そのやり取りに、美月が困った顔で笑って
いると、その間にさりげなく、松川は
美月に紙袋を渡していて、及川がまっつん
がポイント稼ぎしてる!と指摘して、
彼らの言い合いはそこで終了となる。


「次は俺がいつ渡せるかが分から無いから、
早目に渡しとくわ。」


「俺はまた検診連れてくかもだけどな。」


『嬉しい、ありがとうございます!』


「わざわざすまねーな。」


「内祝いとか準備大変だろうから、気に
しなくていいからな。」


「そんな申し訳無さそうな顔しなくて
いいから。妹みたいなもんだし。
ほれほれ、開けてみ?」


絶対お前が喜ぶからと言われて、紙袋から
取り出せば、その柄にきゃーっと嬉しそう
な声を上げて、喜びから、ぎゅっと彼女は
それを抱きしめた。


『可愛いー!ガーゼおくるみと肌着だ!
しかもジェロピケ。
2人とも大好き!ありがとう!!!』


「お気に召した様で光栄だわ。」


「いっぱい着せてくれよ、まぁ絶対に
生まれたら会いに行くけど。」


美月用の親子で同じ柄の部屋着まで一緒
に付けてもらって、あまりにも貢ぎ過ぎて
いる2人に及川と岩泉は目を丸くさせて
驚いた。


「えーっ、コレ大分値段行ったでしょ!」


「貰っておいてアレだが、お前ら美月を
甘やかす癖、そろそろ何とかしろ。」


「いーんだよ、俺らの愛情だから。」


「重くない?」


「いやいや及川、お前よりは絶対マシ
だかんな!!そこから、見えてんだよ
テメーのお祝い。」


「だって、俺たち皆の天使だよ!?」


「うわっ、お前のがこえー。」


花巻が怒鳴りながら指摘する方には、
及川も早く渡そうとしたであろう、
プレゼントが入った紙袋が見えており、
明らかに2人のよりも量がある様に見えた。


向こうの子供服可愛いんだって!と言い
ながら美月の喜びそうな色鮮やかな服を
出して、もちろん岩泉のが不機嫌になら
ないように、父子がお揃いになるガジラ
のロンパースまでちゃんと準備をしてあり、
抜かり無し。


「2人と同じく、内祝いとかもうそういうの
無しだからね。」


『わー、徹さんもありがとう。
可愛い過ぎるよこのワンピース。』


「男が産まれたらどーすんだよ。」


『可愛いから絶対に着せる。』


「やべー、岩泉の顔で想像した。」


花巻の一言で美月もケラケラと笑っていた
ら、岩泉は顔を顰め、うるせーなと言い
ながら自分に当てて、更にみんなに笑いを
誘う。


みんなの楽しそうな雰囲気を感じたのか、
再びお腹が動いて、美月は微笑んで岩泉の
手を自分のお腹へと持っていった。


「徹子が喜んでる!」


「お前、それどこの部屋だよ。」


「マジ、名前に勝手に自分の文字入れん
なよ、気色悪いな。」


「じゃあ、男だったら岩ちゃんも名前を
足して、一徹ね。」


「だから、何でお前が決めるんだよ。」


「ちゃぶ台返ししそうな名前だな。」


「美月。嫌な時は嫌だってちゃんと言わ
なきゃ駄目だぞ。」


及川が自由な発言を始め出すと、花巻
は始まったとげんなりとした顔をして、
岩泉はセンスのない名前に呆れた顔を
見せていた。


美月があーっと困った顔で3人を見ている
と、松川が彼女そう言って肩をぽんと叩け
ば、それがですねと笑いながら、言葉を
続ける。


『実はもう、名前は2人でちゃんと決めて
いてですねー。』


「残念ながら徹子も一徹も却下だ。」


男子でも女子でも行けるヤツでと美月が
岩泉と互いに目を合わせながら、もう
言っちゃう?と確認を取れば、頷いて、
その発表は父親である岩泉に委ねた。


「青葉。」


その名前を聞いた3人はぱちくりと瞬きを
して、マジで?ともう一度確認を取れば、
2人は揃ってこくんと頷いた。


「お前ら、そんなに母校好きなの?」


「いや、そうじゃなくてだな。」


『3人に支えられていたところもあるから、
私達も繋がる名前にしたくて…て、これ
だと本当に、母校大好きだね。』


確かに!と彼女は笑ってみせるが、3人は
そう言われると堪らなくなって、嬉しさ
から口元が緩みそうになって、皆が揃って
手を当てるので、岩泉は 仲良しかと小さく
突っ込んだ。


「青葉、無事に産まれてこいよ。」


「みんな、青葉を待ってるんだからね。」


「青葉、いっぱい甘やかしてやるから覚悟
しとけな。」


花巻、及川、松川はそれぞれ優しくお腹に
触れながら、名前を呼んで小さな命に届く
ように想いを伝える。


美月はパパがいっぱいだね!と笑ってみせ
るが、岩泉は親父は俺だからなと3人に釘を
さして、間違えんなよとお腹を撫でながら
愛しい我が子にもそう言い聞かせた。


「「「絶望、美月に似ますように。」」」


「よし、お前ら揃って表出ろ。」






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