みんなの一員


私が真選組へ正式に入隊してから時が経ち、
時々夜の任務もあるが、以前よりは断然減って、
他の隊士達とほぼ変わらない生活を送っていた。


『私が副長補佐へ?』


未だに総隊長の肩書だけが残っており、
どこの隊にも属さず土方さんの補佐が
主な仕事に変更したと上から連絡を受ける。


「要するに、超可愛いから常に俺のそばに
置いときたいってことでさァ。」


ちゃぶ台で呑気にお茶をすする総悟の頭を
土方さんは思いっきり叩いて、その勢い
に総悟が吹き出して、お茶はこぼれた。


「だから、誤解を招く言い方をすんじゃねぇ!」


形ばかりの役職の総長を私の仕事の
出来高を見て、正式な役所をつけてくれた
のだと彼はちゃんとした理由を私に
教えてくれた。


『大分、信頼得ているみたいだから、
私は何でも嬉しいですけどね。』

自分が頑張った分評価をつけてもらえるのは
嫌じゃなく、寧ろ嬉しかった。
機嫌良く鼻歌を歌いながらこぼれたお茶を
綺麗に拭いて、私は「はい、総悟。」と
彼のお茶を入れ直し、彼に渡す。


市民の平和を守ることに変わりないので、
与えられた仕事は徹底的にこなした。

晋ちゃんは今ある情報だと京の都へ、
小太兄にもあの時会ってからは消息を途絶え、
あれから2人に会うことは全く無い。


それが吉と出たのかどうなのか、
事件を解決する度に信頼関係は生まれ、
目の前にいる2人とも下の名前で呼ばれる
までに昇格していた。

お陰で総悟もこうして、私の入れた
お茶を疑うことなく美味しそうに
飲んでいる。


今日ものんびり過ごせそうだなと庭を
眺めていたら、一人の隊士が副長の元へ
走ってきた。


「副長、速報です。」



「そろそろ動き出すか。」


土方さんはそう言ってタバコをくわえ、
ライターで狼煙を上げるように火をつける。

彼の予想は戌威族大使館を狙い、
何かしらの行動を起こすとのこと。

あの時は彼に出会えた喜びと情けが混ざった
自分の情が勝って捕獲に失敗したが、
今度は市民を巻き込むテロ行為。


彼らと共にする中で、色んな事件を
目の当たりにし、彼らを止めなくては
ならない事をどんどん思い知らされていた。
どんなに嫌われても彼の手をこれ以上
汚したくない。


『今度は見逃しません。』


口をぎゅっと固く結ぶと土方さんは微笑み
「頼もしくなったもんだ。」と私の頭にぽん
と手を置いた。

行くぞと彼に呼ばれ、土方さんはジャケットを
片手に担いで先に出動準備を開始する。
私もそれに伴って、張り込み捜査に必要な
荷物を取り出した。


『ほら、総悟行くよ!』


「お腹痛いんで欠席で。」


『何言ってるの。 さっきまで、のんびり
お茶飲んでたじゃない!』


これから仕事だと言うのに、腰が重い彼は
畳でゴロゴロ転がって、私の誘いを拒み、
私は彼の手を引っぱって、準備を促そう
とする。


「葉菜が代わりに行ってくだせぇ。」


『追手が何人来るかわからないから、
みんなで行くんでしょ?人手がいるの!』
 

どっちにしろ、一番隊は警備要請出るから!
と彼を必死に引っ張るも、起きるどころか
転がったままでふんぞり返っていた。


「あー、いいアングルだわ。」


下から私を除く彼はニヤリと笑ったままで、
本日はスカートの下がタイツでは無く、
ニーハイだった事を忘れて中を見られそうに
なった私は馬鹿!と咄嗟にスカートの裾を
彼の視界から逸れるように押さえる。
 

…なーんて、そんなセクハラを今更
恥ずかしがるわけないじゃない。
攘夷時代に散々くらってきたもんだから、
こっちなんて慣れっこだ。

私はなんの躊躇いもなくスカートを自分で
ひらっと捲りあげて彼にスパッツを見せた。



『布切れ一枚で喜ぶなんて、総悟君も
まだまだお子様ね。』


「なっ…」と顔を赤めて言葉を詰まらせる
総悟をふふんと得意げに鼻であしらう。
もっと恥ずかしい目にあったことあるもん。
こんなの朝飯前だっての。


『あ、ちなみにライン出さないように
中はTバックだから』


と留めの言葉を残しその場を去ろうとすると、
扉の前には、まさかの近藤さんが鼻から血を
流してこちらを見ながら、固まるように
立っていた。 


「葉菜ちゃん、
それはおじさん想像するからやめて…」


彼がそう言い残せばそのままバタンと
倒れ込み、キャー!ごめんなさいと
大きな声が出てしまうと、土方さんの
おせーよ!と怒りながら顔を出せば、
近藤さんを見て顔を引きつらせる。


「アンタが何してんだよ!」


出血大量で負傷中の近藤さんは任務に
出動出来なくなり、彼のお世話は他の隊士に
任せる事となり、情けねぇと頭を抱える
土方さんの横で私は申し訳ない気持ちで
苦笑いを浮かべた。