こんな所で会うなんて
張り込み捜査は大使館が見渡せる
少し入口から離れた小屋で行われた。
今のところ怪しい様子はなく、総悟に
いたっては横になりアイマスクを
して堂々居眠りを始めている。
交代で見張りを続け、土方さんに変わって
貰えたので、少しだけ休憩兼ねて
買い出しへ出かける準備をした。
『私、コンビニでコーヒー買ってきますね。』
「すまねぇな、任せる。」
少しの自由を貰えた事に嬉しくしながら、
人数分のコーヒーと自分のご褒美に
おまけのお菓子も買って店から出る。
鼻歌混じりで袋を提げて現場に戻っていると、
男女の3人組が大使館で戌威族の番人と
揉めてる姿が見えていた。
『あの人達、何をしてるんだろ?』
あからさまに怪し過ぎるので彼らに
近づくと、突然の爆発音と爆風に反射で
腕を振ってしまい、買っていた荷物を
不覚にもドサッと落としてしまった。
『まさか、テロリスト!?』
テロリストだと疑うその3人組はこちらに
向かって走って来た。
そこから合流したのか、僧侶に紛れて
小太兄の姿も見えたので、剣を構えていたら
思わぬ人物の姿に足がすくんでしまった。
『銀ちゃん…?』
「お前は…!?」
私に気がついた小太兄はすぐに銀時、
連れてくぞ!と彼に声をかけ、それを聞いた
彼は私を軽々と担ぎ上げるように抱え、
走って逃げ出した!
『え、ちょっと待ってー!!!』
張り込みをしてる方向を確認して見ると、
ちょうど双眼鏡を覗いている土方さんの
姿が見え、『助けて!』と彼に合図を送る。
だが、私の声は届くことなく直ぐに
その姿も見失い、土方さんと山崎君は
呆れた顔でその姿を見ていたみたいだが、
私はそんなことを知ることはなく、
そのまま私は彼らの拠点まで連れてかれて
しまった。
「なーにやってんだ、アイツは。」
「これは…誘拐ですかね。」
テレビを見ながら現状を把握し、一緒に
逃走している間に仲良くなった夜兎族の
神楽ちゃん、新八君と蹲って並んでいた。
「ばっちりテレビに映っちゃってますよ。
どーしよ姉上に殺される。」
「テレビ出演、実家に電話しなきゃ」
『もー、始末書コースになっちゃった。』
久しぶりに会ったその人は昔と変わらない
様子で寝そべって。ぼーっとテレビを見た。
こんな人に誘拐されたなんて情けない。
でも、振り向いて彼と目が合えば、
いつものあの優しい笑みを返される。
それが少し嬉しくなる自分がいる。
そこで、言葉には出さないが向こうが私の
姿を見れた事に喜んでいることは伝わった。
「何かの陰謀ですかね、なんで僕らが
こんな目に。」
彼らの話を聞くと、知らない飛脚に
郵便物を頼まれたところ、今回の事件に
巻き込まれここに来たと教えて貰った。
『それは、災難だったね。』
「唯一、桂さんに会えたのが不幸中の
幸いでしたよ。」
と新八君は言っていたが、ここに小太兄が
いること自体がそもそも怪しくて、
それは幸いなのか?首を傾げる。
銀ちゃんも私と同じことを考えている
のでは無いだろうか。
「こんな状態の僕らを匿ってくれるなんて、
銀さんの知り合いですよね?
あの人は一体何者なんですか?
そして銀さんが連れ出したあなたも…」
新八君の質問に笑って誤魔化していると、
銀ちゃんが「んー、テロリスト。」と答える。
「はい?」と驚く新八君に私は違うからね!と
すぐさま否定をした。
「そんな言い方はよせ。」
襖が開き小太兄が姿を見せ自分達の活動内容を説明し、そこには3人巻き込んだ飛脚の姿も
あったそうで神楽ちゃんと新八君が
驚きの声を上げる。
どうやら、小太兄は銀ちゃんへ攘夷活動の
勧誘が目的だったそうな。
私は想像通りの展開にため息を吐いた。
「ところで葉菜。」
突然話を振られ『ん?』と小太兄を見ると、
明らかに機嫌が悪そうに私の服装を上から
下まで確認する。
「この前会った時と服装が違うがどうゆう事だ?なんだその破廉恥な服装は!お母さん、
そんな子に育てた覚えありませんよ!?」
今日に限ってタイツを履いていなかったことに
今更ながらに私は後悔した。
「え、それ。お前の会社の趣味?
足出しすぎじゃね?セクハラ受けてない?
大丈夫なわけ??」
気がつけば2人に挟まれ、私の格好を
ああだこうだ言い始める。
円満に過ごしているとこちらが言っても
2人とも聞く耳を持たない。
銀ちゃんにいたってはスカートの裾を
ピラピラ捲り、おしりを触って下着まで
何か確認している。
そっちのがかえってセクハラじゃん。
神楽ちゃんと小太兄が一撃の鉄槌で
やっと大人しくなった。
小太兄は真選組の制服だと気がつき、
更に機嫌は悪くなった。
「どうゆう事だ。」
この状況で晋ちゃんに襲われていたなんて、
銀ちゃんにバレるときっと大変な事になる。
そう思い、小太兄にだけ耳打ちで一連の
流れを説明する。
それを聞いた彼は「はああぁぁ?!」
と目を血走らせ、顬に血管を浮かべていたが、
小太兄ならヤキモチ妬かずに冷静に聞いて
くれると思って!と両手を合わせると、
はぁと深くため息をついた。
「それなら、尚更お前も連れ出さないと
いけないじゃないか。」
そんな所に行かせてたまるかと彼に
手を引かれ、一緒に来てくれと頼まれるが
『…駄目よ。』と断るように首を振る。
何故なんだ!?と悲しそうな顔で
こちらを見つめられるとさすがに辛い。
「俺たちの戦は終わったんだよ。それを
ネチネチネチネチ、京都の女かてめーは。」
銀ちゃんが私の手を振りほどき、
私の間に入って遮るようにそう言う。
「馬鹿か貴様は。京女だけではなく
女子はみんなネチネチしている。
そうゆう全てを包む器量がないから
貴様はモテないんだ。」
途中から私を無視した小競り合いに、
小太兄がうっかりさっき話した事を
口を滑らせないかオロオロしていたら、
新八君が「アンタら何の話してんのよ!」
と2人の口喧嘩を止めてくれた。
「俺達の戦はまだ終わってなどいない。
貴様の中にとて残っていよう、銀時。
国を思い闘った
同士達の命を奪っていった、
幕府と天人に対する怨嗟の念が。」
その言葉は銀ちゃんだけでなく、
私に向けての言葉。
その怨嗟に囚われた彼を解放したい
気持ちが強くなる。
決して天人を潰したらって怨嗟の念が
消える訳では無い。
「天人を掃討しこの腐った世の中を立て直す。
我ら生き残った者が死んでいった奴らに
できることはそれぐらいだろう。」
そう言って彼らは次は天人の出入りが多い
ターミナルへの攻撃を狙っている
と私たちに告げる。
そのためには銀ちゃんに力を貸してほしいと。
既に銀ちゃんの周りを固めて、協力せざる
おえない状況。
手を汚して欲しくない人間が、そして関係ない人達が加害者として増えることを止められない私は悔しさからぎゅっと自分の手を結んだ。
「銀さん。」
『そんなこと、私が絶対にさせない…』
すると突然襖が蹴り破られ、御用改である!
と自分の上司の姿が見え、助けが来たことに
少し安心した。
「神妙にしろ、テロリストども!」
小太兄の逃げろの合図に一斉に飛び出す。
土方さん!と私はすぐに彼の元へ行こうと
していたのに、銀ちゃんに阻止され、
再び抱えられて物凄いスピードで
彼から離れようとした。
『ちょっと待って、なんで私までー!』
走りながら我が職場の説明をすると、
尚更あんな物騒なとこへ返すわけねーだろ!
と離してはくれなかった。
「何されるかわかんねーのに、お前を
置いて行けるか!」
『私ももう大人だから、大丈夫なの!』
「そうゆう問題じゃねー!」
「厄介なものにつかまったな、どうしますか
ボス?」
「だーれがボスだ!お前がいちばん厄介
なんだよ。」
「ボスなら私に任すヨロシ
善行でも悪行でもやるからには
大将なるのが私のモットーよ!」
「おめーは黙ってろ!!
何その戦国大名みたいなモットー!」
不動のボス争いはどうでもいいから、
この腕から解放して欲しいとため息を
吐いていたら、銀ちゃんの動きが止まり、
こちらの頭上目掛けて刀が降ってきた。
彼は私を覆って庇うように滑り込んだ。