あの人に会いに行く





『…あのー、見回りパトロール
じゃなかったんですかね?』


抜け出して荷物を持って出ているうちに、
総悟と土方さんは門で待ち構えており、
気がつけば三人で並んで歩いていた。
ボディガードなんて頼んだ覚えなんて
ないのになーとため息を吐く。



「たまたま方向が
一緒なだけでさァ。」


「何か事件起こったら、
すぐ駆けつけれるだろーが。」


そう言って道端に貼ってある
貼り紙をビリッと
破りながら歩く2人。
そういえば、人に会うって
言っちゃったなと
さっきの会話を振り返る。

何か怪しまれているのだろうから。
と思えば時折、こちらに
近づきそうになる男性がいれば
睨み、総悟が持っている
バケツにポイッと紙くずを投げ入れた。


『それにしても、銀髪の侍って
どんな人なんですかね。』


あの近藤さんを倒すなんて、
どんな戦い方したのか
気になりますよね。


「そいつを見かけたら、
即刻斬るけどな。」


土方さんの言葉に
私だけではなく
総悟も驚き顔を見合わせる。


「何ですって、斬る!?」


彼の言い分では、
あの一件で殺気立った隊士が
大きな事件を起こす前に
土方さんが肩をつけようとしていると。


「白髪って情報しか
こっちには入ってないのに。」


『無茶ですよ!
私も情報収集をしっかりしますから、
もう少し時間を作らないと…』


「近藤さん負かすには只者じゃねぇ。
見れば直ぐにわかるさ。」と
彼に言われて言葉を詰まらせていると
「おーい、兄ちゃん達危ねぇよ!」
と声が聞こえ見上げると、
鉄筋が降ってきた。

土方さんは驚く声と共に
私を突き飛ばして、
自分も避ける。
土方さんも抱えた
お重の中身も無事だったので、
ほっと胸をなでおろした。



「危ねーだろ!」


「だから、危ねーつったろ。」


「もっとテンション上げて言えや!
わかるか!」


土方さんの怒声に面倒臭そうに
鉄筋を落とした男の人が
ゆっくりハシゴから下りてきた。
他人からテンションの
ダメ出しされるまでの覚えはねーよと
悪態ついてヘルメットを外し、
その相手の姿にみんなが驚いた。


『銀ちゃん!!』


「葉菜!?
大丈夫だったか!?」

こちらの存在に驚いて、
焦るようにこちらへ彼は駆け込み、
私を引き上げる。
砂埃を手で払い、
怪我はないかと
両肩掴んでキョロキョロ確認をする。

「テメーは池田屋の!?」
と土方さんが声をかけても
無視をして彼は私の心配をした。


『そっか。銀ちゃんも
そういえば銀髪だったもんね。』


女の人を賭けて決闘したの?
と首を傾げると
なんの事?と
銀ちゃんも首を傾げる。
聞けやコラー!と土方さんが怒り、
私はあっち向いてね指をさした。


「えーっと…誰?」


銀ちゃんはあ、思い出した多串くんね!
と土方さんの方を叩き、
あの時金魚デカくなってんの?と
はぐらかすと再び仕事があるからと
ハシゴに登ろうとした。


『銀ちゃん!私渡したいもの
あるんだけど…』



「じゃあ、すぐ終わらせる。
そこで待ってろ!」


はーいと返事をすると
土方さんがちょっと待てと
顔を引きつらせる。
お前のお出かけっつーのは…と聞くから、
彼に会う用事ですよと
答えたら彼は黙る。


「…アイツだけは駄目だ。」


『えー、何でですか。
彼は、怪しい人なんかじゃないですよ。』


「なんでそんなにアイツのこと知ってるんだよ!」
彼の質問に正直に答えて、
さすがに銀ちゃんの素性を
知られるのはまずいと思い、
昔いたお店のお客さんで
良くしてもらってたんですよーと
へらっと笑って誤魔化した。


すると彼は私の言葉は無視して、
総悟に刀を貸せと言い、
銀ちゃんを追うように
ハシゴを登り出す。


『まさかあの二人…。』


私もお重片手に2人を追って
ハシゴを登ろうとしたら、
危ねーだろと
総悟に止められ
その場に立ち尽くした。
2人の姿はちょうど見えなくて、
ただここで待つしか無かった。