1116の日
今日私は休み。景光くんは仕事で出ているけどもうすぐ帰るよ、と着信があった。これはもうやるしかあるまい。デザートは昨夜の帰りに寄り道して用意しておいたし、晩ご飯も昼間のうちから仕込んでおく。
帰宅して手を洗いリビングのソファで寛ぐ景光くんに白のレースとフリルがふんだんに施されたブリブリのエプロンとバイト時代に使っていて何故か今も手元にあるままの黒のサロンを見せる。
「どっちがいい?景光くん」
「えっ?……こっち、かな?」
「OK。ハンバーグと煮付けどっちがいい?景光くん」
「…煮付けがいいなぁ」
「ありがと!じゃあ景光くんはコレとコレつけて座ってて!」
渡したのはモチモチのネックピローとホットアイマスク。休んでもらっている間に煮付けを仕上げる。実はどちらを言われても言いように途中まで仕込んでいたのだ。出来上がった食事をテーブルに並べる。
「起こしてもいい?景光くん」
「…若干ウトウトしちゃってた。用意してくれてありがとう、なまえ」
「ううん、いいの景光くん。食べよっか」
「…そうだね、いただきます」
「いただきます!」
動物の動画を紹介するテレビを見ながら、これ見た事ある、かわいい、犬賢すぎない?猫ってあんな顔になるの?など画面越しの動物達に癒されながら穏やかな時間を過ごす。
「ごちそうさまでした…すごくおいしかった」
「どういたしまして〜あ!デザートはどっちがいい?景光くん」
チョコレートプリンと抹茶プリンを両手に掴んで差し出しながら景光くんに問うと、何故か神妙な面持ちで呼ばれる。
「…なまえ」
「ん?」
「アイマスクとか、ご飯もデザートも勿論嬉しいんだけど…ごめん、今日何があったっけ…本当にごめん、考えたんだけど思い当たる事がなくて…」
「えっ?!違う!違うよ?!何もないよ?!いや違う、ないけど違うの!!」
「…落ち着いて、なまえ?」
「うん、えっと…今日は何月何日でしょう」
「11月16日…だよね?」
「うん。合ってます。…で、その、語呂合わせというか何というか…その、景光くんの日だなぁ、て思って…」
「オレの日…?……え、もしかして、いい、ひろ…?」
「……うん。で、更に追加で3つ2択をしてもらったんだけど…」
「(3つ…2択…)……エプロンとご飯とプリン…いい(11)、ひろ(16)、み、つ(3、2)…?」
「うん…(ウッ、思い付いた時はナイスアイデア☆とか思ったけど説明すると恥ずかしいな…?!)だから何かしたいなぁ、て思っ、」
ぎゅううと抱きしめられる。
「景光くん…?!」
「…そんな可愛い事考えてくれてたんだ…?嬉しい、ありがとうなまえ」
「〜〜〜!説明するとめちゃ恥ずかしいね〜?!」
「可愛い…あ、だから どっちがいい、景光くん、だった…?」
「わ〜!そんなとこまで推理しないで?!」
耳まで真っ赤になりわたわたと暴れる私を更にぎゅーっと抱きしめ直した景光くんにそっと口付けられる。
「プリン、半分こずつしようか…?」
「ウッ、景光くん大好き!!」
「オレも…大好きだよ、なまえ」
「えへ。はい景光くん、アーン♡」
「…ん、おいしい。なまえ、あーん」
「……ンンッ、思ったより照れる、ね…?」
「だね?はい、あーん、は…?」
「ウッ…アー、」
ちゅ。
口移しされたほろ苦い抹茶味と口に残るチョコレート味よりも甘い口付け。味わう様にねっとりとしたそれに頭が痺れる。
「ふふっ、抹茶チョコ味、だね…?」
「…も〜!!景光くん大好き!おいしい!好き!!」
「オレも大好き…ありがとう、なまえ」
end.