つぶやきの部屋
閲覧数:8483
2025/04/22 17:20
第2王子夫人が性悪すぎる話
監督生とレオナが卒業後に色々あったけど結婚した世界線の話。
第2王子夫人は魔力も無ければ当然魔法も使えない、どこの誰とも知れない異世界から来た怪しい女。男子校であるはずのナイトレイブンカレッジに何らかの手を使って通い、レオナを騙して第2王子夫人に上り詰めた卑しい女。挙句の果てに生まれた子供は、王位継承権を持つ男児ではなく、魔力を持たないただの人間の女児。監督生を良く思わない声が大きくなる要素しかない、そんな役満の状況にレオナは腹立たしそうに舌打ちをした。
「外野がペラペラうるせえんだよ」
「まあ大体合ってるんで反論の余地無いですよね」
「テメェがそうやって何でもかんでもヘラヘラ笑って受け入れるからだろうが」
正直なところ、好奇の視線も陰口も、ナイトレイブンカレッジの在学中に一頻り経験しているが故に何とも思わない。むしろ自由気ままに好きな時間に起きて、美味しいご飯を食べて、可愛い我が子を見守りながらレオナと一緒にいれるなんて、学生時代には有り得なかった贅沢だ。
「陰口を聞き流すだけでこんなに贅沢な暮らしができるのに、これ以上ワガママ言ったらバチが当たりそうです」
そう言って笑った監督生に、こういう奴だから一緒にいるんだった、と改めて思ったレオナは大きなため息を吐いてから「そうかよ」とだけ返した。とは言え、あまりにも露骨な嫌悪の態度に監督生よりも先にレオナの限界が来そうなのも事実だった。
「なんでレオナさんがそんなに怒るんですか」
「俺の決定に物申されてるようなもんだろうが」
「アッ私の心配では無く!?」
「テメェの心配なんざいらねえだろ」
驚きで目を見開く監督生にケラケラと愉しそうに笑ったレオナが、監督生の髪の毛をするすると梳くように撫でる。手に取った一房の髪の毛にちゅっと唇を落としてニヤリと笑ったレオナに監督生の頬がわずかに赤く染まる。やられた、と言わんばかりに苦虫を嚙み潰したような顔をした監督生にレオナが再び声をあげて笑う。
「心配してほしかったのかよ」
「お願いしたらしてくれるんですか?」
「頼み方次第だな」
「一ミリも心配する気ないですね、それ」
すうすうと寝息を立てる我が子を横目に顔を見合わせた二人がくつくつ喉を鳴らす。監督生が守ってあげなければいけない可愛らしいお姫様じゃないことをレオナは良く知っていた。だからこそ学生時代の監督生に惹かれ、こうして妻にと迎え入れている。それでも、いざという時には自分が出るつもりではあるが、今はまだその時ではないと分かっているからこそ監督生に全てを委ねていた。
「いやでも私の面倒なんて絶対見たくないです、みたいな顔した人達がレオナさんがいる手前面倒見ざるを得なくてめちゃくちゃ嫌そうにしながら私の言う事聞いてるの超面白いんで、暫くこのままでいいですよ」
「お前の方がよっぽど性格悪いじゃねえか」
「ふふっ、そう言う私が好きだから結婚したんでしょ?」
「生意気言うのはこの口か?」
監督生がナイトレイブンカレッジで学んだのは、この世界の常識と最低限の学力。そして、性格の悪さと強かさ。教えていないことに限って、どんどん吸収して育った監督生は立派なナイトレイブンカレッジ生として学園を卒業し、レオナの元に嫁いできた。ニヤリと意地の悪い顔で笑ってみせた監督生に釣られるように口角を上げたレオナが唇に噛みついて、ベッドが揺れる。
監督生が己の力のみで従者達をあっと言わせる日は、きっとそう遠くない。
prev / next
topつぶやきの部屋
ALICE+