つぶやきの部屋

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2025/05/13 16:30

監督生は男女の力の差を思い知る
※乱暴な表現があります。直接的な表現はありませんが、そういった行為を匂わせる描写があります。この話ではキャラクターは出てきません。続くかどうかは知らん。※

ナイトレイブンカレッジは、誰しもが入学を望む名門校だった。

闇の鏡に選ばれることは勿論、日々の授業や課題、難易度の高い試験を突破する必要がある。だからこそ、魔力を持たず、魔法も使えない。挙句の果てには無条件で衣食住が保証されて先生や各寮の寮長たちからも目をかけられている監督生が嫉妬の対象にならないはずが無かった。

頭上から降ってくる水の塊や、すれ違いざまにかけられる罵詈雑言。時折無くなる教科書やノートは、ご丁寧にオンボロ寮の外にあるごみ箱に放られていた。相手が一人、二人であれば先生に相談する手も考えたが、毎度こちらにアクションを起こしてくる生徒が違う以上、下手に動くことが出来ない。

自分に対して悪意を持つ人物がどの程度いるのか分からない以上、下手に動けば火に油を注ぐことになってしまう。まあいずれ飽きるだろうと、放っておくことにしたのが運の尽き。どれだけ嫌がらせをしようともどこ吹く風の監督生に生徒たちが気分を害するのは早かった。

「何でお前みたいなのが」
「さっさと辞めろよ」
「辞めても行くとこねーけどな」
「ははっ、ウケる。どうしようもねえじゃん」
「いっそ、死ねばいいんじゃね?」
「先生達も大変だよな」
「迷惑かけてる自覚ねーのかよ」
「申し訳ないとか思わねーのかって話な」

そんな声は日常茶飯事。だがしかし、さすがナイトレイブンカレッジ生と言うべきか、監督生が一人の時を狙って文句を言っているため、監督生以外は誰一人としてこの現状に気付くことが出来なかった。

「……はぁ、しょうもな」

毎日毎日、飽きもせずに繰り返される同じような行動にため息を吐いた監督生のセリフが、引き金になった。各寮長たちは寮長会議、教師陣は職員会議。テスト明けということもあり、生徒たちは我先にと校舎を後にした。人のいなくなった校内で監督生を人通りの無い空き教室に連れ込むことは簡単だった。

埃の溜まった使われていない教室の床に突き飛ばされた監督生が、男子生徒達をキッと睨みつける。その視線が癇に障ったのか、男子生徒達は苛立たし気に舌を打つ。懐から取り出したマジカルペンで監督生の頭上に水の塊を出現させる。勢いよく落ちてきた水の塊で全身濡れ鼠になった監督生が小さく咳き込む。

「いつまでココにいるつもりだよ」
「……元の世界に変える方法が見つかるまでですけど」
「お前さあ、それが先生達の迷惑になってるとか思わねえの?」
「別に。生徒の為に動くのが教師の仕事でしょう」
「お前は生徒じゃねえだろうが!!!」

淡々と話をする監督生の態度に声を荒げた男子生徒がマジカルペンを振る。勢いよく吹いた風が地面の埃やごみを巻き上げて、監督生へ向けて飛んでくる。小さな石が頬をかすめて、ぴりりと走った痛みに堪らず眉間に皺を寄せた。

「お情けでココに置いて貰ってる分際で」
「さっさと辞めろよ。皆迷惑してんだからよ」
「…帰り方が分かるまでは辞めません」
「はあ…分かったわ」

「んじゃ、お前が辞めたいって思うようにしてやるよ」

毅然とした監督生の態度に男子生徒達の表情がスッと変わる。冷たい声で吐き捨てられたその言葉と、向けられる視線の奥に宿る欲の色に監督生の背筋にぞわりと嫌なものが走る。男子生徒達から距離を取るようにして後ずさりをすれば、先程まで涼しい顔をしていた監督生の表情が変わったことに気が付いた男子生徒達が愉しそうに表情を緩めた。

「へえ、イイ顔できんじゃねーか」
「そうそう。女なんだから、そういう顔してろよ」
「まあ今更泣いて謝っても許す気ねーけど」
「ぎゃははは!最初から許す気無かっただろ!」

伸びてきた手から逃げようとした監督生だったが、荒々しく押さえつけられて身動きが取れなくなる。下衆な笑みを浮かべる男子生徒達の手が無遠慮に体に触れて、ぞわりと鳥肌が立つ。喉の奥がきゅうっと苦しくなって声が出ない。本能的に感じた恐怖に涙が滲んで、カチカチと歯が鳴る。

「ゃ、やだ…ッ、やだ、はなして…!」
「ハイハイ大人しくしてような」
「最初からこうすれば良かったな」
「上手に出来んなら学校辞めた後も飼ってやるよ」
「ぜってぇ世話しねえくせに、よく言うぜ」
「いや…っ、やだ…はなして…!はなして…っ!」

拒否の言葉も、抵抗する手足も、何もかも勝てない。男女の力の差は歴然で、誰か気付いて、誰か助けて、そう願う事しかできない自分の無力さに涙が出る。監督生の精一杯の抵抗も虚しく、男子生徒達が華奢な監督生の体を蹂躙した。




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